メキシコ内乱
1861~67年、ナポレオン3世がメキシコに建てた傀儡政権マクシミリアン皇帝軍に対するメキシコ共和国(大統領フアレス)の戦い。「内乱」といっても、実質はフランスの支配に対してメキシコが抵抗した戦争である。
メキシコでレフォルマ戦争(1858~61年)を勝ち抜いたフアレスが1861年に大統領に選出され、自由主義政権が成立した。メキシコは改革派と保守派の内戦で疲弊していたので、すでにアメリカ=メキシコ戦争でメキシコ北部で領土を拡張していたアメリカ合衆国がさらに介入してくる恐れがあったが、ちょうど南北戦争が勃発、その余裕がなくなった。
メキシコ共和国のフアレス政権(大統領)は首都を放棄し、メキシコ各地で逃亡生活を送りながらゲリラ戦で抵抗を続けた。こうしてメキシコ共和国軍とのフランスに支援された皇帝軍の内戦が続くこととなった。内戦とは言え、本質はメキシコ民族によるフランス侵略軍に対する抵抗戦争であった。
ナポレオン3世のメキシコ出兵
それに対して、フランスのナポレオン3世はメキシコを勢力圏に治め大陸に進出する好機と捉え、改革派政権が外国債利息返済停止をしたことを口実に1861年にメキシコ出兵を強行した。各地でメキシコ共和国軍を破り、1863年には首都メキシコ=シティを占領、さらに翌1864年には、ハプスブルク家のマクシミリアンを新皇帝に据えて傀儡政権とした。改革派に抑えられていた、メキシコの地主や教会勢力などの保守派も皇帝を支持した。メキシコ共和国のフアレス政権(大統領)は首都を放棄し、メキシコ各地で逃亡生活を送りながらゲリラ戦で抵抗を続けた。こうしてメキシコ共和国軍とのフランスに支援された皇帝軍の内戦が続くこととなった。内戦とは言え、本質はメキシコ民族によるフランス侵略軍に対する抵抗戦争であった。
メキシコ軍の抵抗と勝利
皇帝軍およびフランス軍はメキシコ共和国軍を壊滅することができず、戦闘が長期化するなか、フランスのメキシコ干渉が財政的に困難になっていったため、ナポレオン3世は、1867年に一方的に軍を引き揚げてしまった。後ろ楯を失った皇帝マクシミリアンはメキシコに残ったが、皇帝軍は各地でメキシコ共和国側の軍に敗れ、ついに皇帝自身が捕らえられ、6月に処刑されてしまい、その帝政は短命に終わった。 → マクシミリアンの処刑映画 『ヴェラクルス』
ゲーリー=クーパー、バート=ランカスターの二大西部劇スターが競演する『ヴェラクルス』(1954 MGM 監督ロバート=アルドリッチ)は、メキシコを舞台にした二人のガンマンの友情と対決を描いたものだが、背景がこの戦争に設定されている。おりから南北戦争が終わり、南部の無法者が一攫千金を狙ってメキシコに流れ込んでいた。南軍士官だったベン(クーパー)とならず者のジョー(ランカスター)はふとしたことで知り合い、メキシコ市でマクシミリアン皇帝に雇われ、フランス貴族夫人をヴェラクルスまで送り届ける護衛を引き受ける。実は馬車には300万ドルの金貨が隠されていた。ヨーロッパで皇帝軍を募集するための資金だった。途中で荷物が金塊であったことを知り、二人はその奪取を狙う。さらに輸送の途中ではフアレスの革命軍も金塊を狙って襲撃してくる・・・。ガンファイトをふんだんに盛り込んだ西部劇だが、マクシミリアン皇帝が登場したり、ゲリラ戦の状況が描かれていたりで、興味深い。オール・メキシコロケで撮影されたというだけあって、テオティワカンの「太陽のピラミッド」が実物が出てきてその周りでガンガン撃ち合うのだからすごい。ぜひ一見を。