チェルノブイリ原子力発電所/チェルノブイリ原発事故
1986年4月、ソ連(現ウクライナ)チェルノブイリ原子力発電所で、人為的なミスから原子炉が溶解し、大事故が起こった。
チェルノブイリ原子力発電所 Google Map
事故の概要
事故直後は公表されず、翌日スウェーデンで異常な放射能物質が検出され、28日ソ連がはじめて事故を公表した。死者の数は5月の鎮火後には31人と発表されたが、その後も地域住民や作業員の死亡が続き、公表数値は最終的には4万人に達したとされたが、現在にいたるまでその実数は不明である。死者を約30万人、被害者を数百万人とする推定もある。事故後も残った原子炉は稼働していたが、2000年にすべてが停止、チェルノブイリの住民もほとんど移住し、現在はゴーストタウンとなっている。原子炉は現在コンクリートに覆われているが、そのコンクリートの劣化などから新たな被害が心配されている。事故の影響
事故の報告が硬直したソ連の組織の中でゴルバチョフ大統領の元に届かず、対策も後手に回り国際的な非難が起こった。ゴルバチョフ政権はこの事態に苛立ち、グラスノスチ(情報開示)を強く指示し、改革の速度を速めざるを得なくなった。またソ連の軍部の中にも核戦争の実態を想起させ、翌年1987年の中距離核戦力(INF)全廃条約締結に向かわせた。Episode チェルノブイリと終末論
新約聖書に採録されているヨハネ黙示録ではキリスト教世界の「普遍史」のなかの終末への過程が描かれていると信じられている。封印が解かれたり、ラッパが鳴らされるごとに起きるとされている天変地異も、大事件が起きるたびに想起され、人々を恐怖におとしいれた。1755年のリスボンの大地震、ハレー彗星の出現、近くは1986年のチェルノブイリ原発事故もその例となるだろう。
(引用)チェルノブイリが「苦(にが)よもぎ」という植物をさす言葉だと知ったヨーロッパ人のなかには、終末が近いと真剣に考えた人々も多かったとつたえれられている。それは、第三のラッパが鳴らされると天から星が落ち、水の三分の一が苦くなって多くの人が死ぬと書かれているのだが、この星の名が「苦よもぎ」(8-11)だと記されているからである。<岡崎勝世『聖書VS世界史』講談社現代新書 1996 p.27>