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金属器

石器・土器についで人類が獲得した、金属原料を加工する用具。新石器時代に続いて金属器時代とし、その中は青銅器時代と鉄器時代に分けられる。

文明段階の指標

 まず、メソポタミア文明において7000年前に銅の鉱石を溶かして銅器を造ることが知られていた。そして4500年ほど前、メソポタミアで銅に錫(スズ)を加えて、より堅い青銅器を造ることが始まったらしい。この銅、青銅の製造技術はしだいに周辺に広がり、中国文明でも4000年前から青銅器が造られるようになる。またインダス文明も青銅器文明であった。
 このような冶金技術はすぐれた専門性を有する集団が存在したことを推定させ、またその用途は実用よりも祭祀用具とされたことと合わせ、金属器の出現とともに社会が複雑に分化し宗教的な権威も出現したことが考えられ、いわゆる「文明の形成」段階の指標とされる。

青銅器から鉄器へ

 西アジアの鉄器は遺跡としては5000年前にメソポタミアに現れているが、本格的に使用したことが確認されるのは、3400年前ごろ小アジアに出現したヒッタイトである。ヒッタイトに始まる鉄器文化は3000年前頃にはメソポタミア全域に及ぶ。さらに中央アジアのスキタイを通じて東方に伝えられ、中国では2700年前の春秋時代から鉄器が現れてくる。鉄器の出現は、武器や農具として実用的であり、生産力を高め、国家の統一を進めることとなった。