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オーストリア4カ国共同管理

第二次世界大戦後、オーストリアはドイツと分離され、米・英・仏・ソの4カ国に分割のうえ、共同管理下に置かれた。

 1938年3月、ナチス=ドイツのオーストリア併合によってドイツ第三帝国に組み込まれたオーストリアでは、ドイツと同様に国民の基本的人権と自由は奪われ、軍事優先の経済政策によって国民生活は圧迫され、また多数のユダヤ人が逮捕されてポーランドの強制収容所に送られた。第二次大戦の末期、東部からソ連軍が侵攻し45年4月にウィーンを解放、また西部には米英軍がドイツ軍を追って侵攻した。こうしてオーストリアはドイツの支配から解放されたが、戦後はドイツと同じく米英仏ソの連合国4ヵ国によって分割占領され、共同管理下に置かれることとなった。

4国分割占領とドイツとの相違

 アメリカはザルツブルクと上オーストリア、イギリスはシュタイアーマルク、ケルンテルン、東ティロル、フランスは北ティロルとフォアアールベルク、ソ連が下オーストリアとブルゲンラント、ミュール地区を占領した。ウィーンはソ連占領地域に含まれたが、ベルリンと同じように都市自体がさらに4国によって分割された。ただドイツと違い、オーストリアでは社会党、人民党、共産党など復活した政党が連立してカール=レンナーを首相とする臨時政府が生まれ、ドイツとの合邦の解消を宣言し、連合国4ヵ国から中央政府として承認された。

主権回復と永世中立宣言

 分割占領下で東西冷戦の境界線上にあったことから、オーストリアをめぐる米ソの綱引きは厳しく、その完全な主権回復は(1951年の日本よりも遅く)1955年を待たねばならなかった。その年、連合国諸国とオーストリア国家条約を締結して主権回復を認められるとともに永世中立を宣言した。 → 現在のオーストリア

Episode 『第三の男』

 1949年に公開されたイギリス映画、キャロル=リード監督の『第三の男』は、あの主題曲とともに優れた映像美で知られる作品ですが、戦争直後の4ヵ国分割占領期のウィーンを舞台にしたサスペンスです。原作は数多くのスパイもので有名なグレアム=グリーン。ウィーンの中心部を管轄する国際警察が、闇市で違法なペニシリンを横流ししている男を追う話を軸にしていますが、古都の石畳や地下水道の映像が緊迫感を盛り上げます。まだ見ていない人はDVDでぜひ一度見てください。
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ノートの参照
第16章1節 ア.戦後の国際政治・経済秩序
DVD案内

デヴィッド・リーン監督
『第三の男』
オーソン・ウェルズ/ジョセフ・コットン/アリダ・ヴァリ