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五経博士

儒教の基本経典の五経を説く学者。漢の武帝の時に任命された。

 前漢の武帝は、董仲舒の意見をいれて儒学を漢の正統な政治理念として採用し、儒学の官学化を進めた。その際、儒学の根本の経典である『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』を五経として定め、それぞれの経典ごとにその教義の解釈、教授、普及を担当する学者を官職として五経博士を任命した。武帝はまた都長安に大学を設け、五経の各経ごとの専門の博士の下に、一〇〇人の定員で学生をおき、政府から俸給を支給して勉学にあたらせた。この五経博士のもとに全国から優秀な学生が集まってきたという。漢代の儒学は各経個別の研究にとどまり、訓詁学として発展したが、哲学的・体系的な深まりはまだ生まれなかった。
 なお、513年に朝鮮の百済の武寧王は、日本(大和政権)に対して五経博士として段楊爾を派遣しており、此が日本への儒学の伝来とされている。
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