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アラブ帝国

イスラーム世界で正統カリフ時代からウマイヤ朝まで、アラブ人の支配が優越していた時期のこと。アッバース朝から非アラブが進み「イスラーム帝国」に移行する。

 アラビア半島から興ったイスラーム教世界は、622年ムハンマドヒジュラから始まり、正統カリフ時代ウマイヤ朝時代に急激に西アジアに広く領土を拡張した。しかしそこまではあくまでアラブ人主体の国家であり、非アラブ人は言語、政治、税制などの面で従属性が強かったので、この段階を「アラブ帝国」と言って後の時代と区別する。

ウマイヤ朝

 特にウマイヤ朝時代には、アラブ人の言語であるアラビア語が、コーランに用いられていたことから広くアラビア語の公用語化が進んだ。また税制では、本来異教徒からのみ徴収する人頭税(ジズヤ)地租(ハラージュ)を非アラブ人のイスラーム改宗者(マワーリー)からも徴収することになったので、同じムスリムでのアラブ人と非アラブ人の間に税負担などで大きな差が生じ、次第に非アラブ人の不満がたかまった。
 その不満を背景にウマイヤ朝を倒して権力を握ったアッバース朝では、アラブ人と非アラブ人は同じイスラーム教徒(ムスリム)であれば平等であるという本来の理念に戻り、「イスラーム帝国」としての実態をもつようになった。 
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