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南宗画/南画

中国絵画で文人画の系列にある流派。南画とも言う。明代の董其昌がその代表的画家。

 なんしゅうが。南画ともいう。中国絵画の中で、文人画の系譜をひく流派を明末の董其昌が名付けた。文人画は官僚であり知識人である文人が余技として描いたもので、それに対して宮廷の画院の職業的な画工によって描かれたものを北宗画と名付け、董其昌は南宗画が優れていることを主張した。董其昌が南宗画・北宗画と名付けたのは、禅宗の分派から借用したものらしい。南宗禅は頓悟といって一ぺんに悟りを開くことを目指し、北宗禅は漸悟といって段々に修行を積んで悟りに達することをよしとした。この禅宗の悟道にいたる型の違いが、文人画家と職業画家との作画態度や修行の相違に通じるところがあると考えたわけである。<松原三郎編『改訂東洋美術全史』東京美術  p.304> → 明の文化

南宗画の系譜

:南宗画の画家は明初の沈周、文徴明など江蘇省呉県(現在の蘇州市)出身者が多かったので呉派という。この南宗画と北宗画の違いは、文人による余技として絵画と職業的画家による専門的な絵画という違いであり、画風や技法の違いではない。題材はいずれも山水や花鳥風月を描いており共通している。それでも南宗画には哲学的な深みのある作風が見られ、水墨画の技法は禅宗の僧侶にも好まれた。なお、文人画の系譜にある主な(教科書に出てくる)画家を整理すると次のようになる。
 唐の王維 → 宋の蘇軾・米芾・牧谿 → 元の趙孟頫元末四大家 → 明の董其昌 
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