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シュメール文化

前3000年頃、ウル、ウルクなどに楔形文字と青銅器をもつ文化が成立し、メソポタミア文明の都市文化に発展した。

 前3000年頃から、メソポタミアに起こったメソポタミア文明の中で、最初の都市国家文明を築いたのがシュメール人であり、その文化がシュメール文化と総称する。楔形文字青銅器の使用をはじめており、最古の「文明」段階とされる。

シュメール文化の特徴

 その他の特徴としては、彩文土器、ジッグラトの建設などがあり、ウルクウルなどの都市遺跡が発掘されている。ウルでは一般に「ウルの軍旗」といわれる工芸品が発掘され、注目されている。
 シュメールの都市国家は、前2300年頃、異民族のアッカド人によって征服されたが、前22世紀にアッカド王国が滅びるとウルを中心として復興し、ウル第3王朝が成立した。最近ではこの時代の楔形文字で粘土板に書かれた法律が多数の発見され、それらはシュメール法典と総称され、世界最古の法律であり、後のハンムラビ法典のもとになったものとして注目されている。

Episode 学校の起源-「粘土板の家」

 メソポタミア文明、シュメール人のウル第3王朝のシュルギ王は自らを讃える讃歌を残しているが、その一節に「少年のころから、私は学校に属し、シュメル語とアッカド語の粘土板で書記術を学んだ」と書いている。行政官、軍人は文字を読み書きできることが仕事とされ、王にとっても必須能力とされていた。学校はシュメール語でエドゥブバ「粘土板の家」と呼ばれ、書記つまり役人養成を目的としていた。古バビロニア王国では王宮から粘土製の長い椅子を並べた部屋が発見され、学校と考えられている。シュメール人の王名表や神名表なども教科書として使われたのであろう。学校を題材にした文学作品の残っており、学生の一日を伝える『学校時代』では、弁当を持って学校に行きった生徒のこんな話が載っている。
「・・・ぼくは(校舎に)入って座り、そしてぼくの先生はぼくの粘土板を読みました。先生は『間違っている』といいました。そして先生はぼくを鞭でたたきました。・・・ぼくの先生は『君の文字は下手だ』といいました。そして先生はぼくを鞭でたたきました。」誤字をしかられた生徒は父に先生を招いてもてなしてほしいと頼む。父は先生を招いてなつめやし酒を飲ませ、食事を出し、衣服などを贈ったところ、先生は手のひらを返したように生徒をほめた・・・という。<小林登志子『シュメル-人類最古の文明』2005 中公新書 p.204-210>
※メソポタミア文明の諸王朝では楔形文字を用いて公文書を作成した。そのため楔形文字を書くことの出来る書記が尊重され、書記学校がつくられていた。その書記学校の生徒が楔形文字を練習した粘土板が多数出土している。書記や書記学校については、仲田一郎『メソポタミア文明』(岩波ジュニア新書)に詳しく紹介されている。

生きているシュメル語

(引用)前2004年にウル第三王朝が滅亡し、シュメル人(シュメール人)は歴史の表舞台から退場する。「その後シュメル人はどうしたのでしょうか」と尋ねられることがある。シュメル人は全滅したわけではない。ペルシア語に近いシュメルの地で生きていた。だが、次第に圧倒的なセム人勢力の中に埋没していった。シュメル人はアッカド語を使う生活の中に組み込まれていき、やがてシュメル語は中世ヨーロッパにおけるラテン語のような位置づけになっていく。古バビロニア時代の学校ではシュメル語やシュメル文学が教えられていた。今に残る文学作品などはこの時期に学校で書かれた。
 だが、それでもシュメル人の社会が生み出した楔形文字、円筒印章は使われ続け、多民族共存社会のルールが楔形文字で明文化された法律というシステムも長く存続した。・・・シュメル人が建てた聖塔ジグラト(ジッグラト)(シュメル語ではウニル)は後代にも造られ続けた。・・・
 なお、シュメル語の単語の中にはアッカド語を経由して現代のヨーロッパ諸語にまで伝わっている単語もある。たとえばシュメル語の「鍬」mar はアッカド語で marru、ギリシア語からラテン語 marra を経てフランス語 marre として生きている。またシュメル語の薬用香料 gamun はアッカド語のkamunu になり、英語の cumin そして日本語でもクミンとして使われている。5000年の時代を生きた、長い寿命を保った単語と言うことになる。<小林登美子『五〇〇〇年前の日常-シュメル人たちの物語』2007 新潮選書 p.166>
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ノートの参照
第1章1節 イ.シュメール人の都市国家
書籍案内

小林登志子
『シュメル―人類最古の文明 』2005 中公新書

中田一郎
『メソポタミア文明入門』
2007 岩波ジュニア新書

小林登志子
『五〇〇〇年前の日常-シュメル人たちの物語』
2007 新潮選書