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中国の少数民族

中国の少数民族は、公認されているもので55民族にのぼる。憲法上、各民族は平等であるとされ、自治が認められているが、一部には現在も独立運動を続けている民族もある。

 中華人民共和国においては、漢民族以外に現在公認されている少数民族として55民族がある。現在の「中華人民共和国憲法」では「各民族は一律に平等である」と定められている。中国の戸籍登録や公的機関が発行する証明書や免許証には、かならず「民族」の欄がある。この「民族籍」は人為的なもので、異なる民族出身の夫婦間に生まれた子供は、どちらの民族籍を選んでも自由であり、一定の条件を満たすと、選択や変更もできる。中国の少数民族(マイノリティ)はむしろ漢民族より多くの権利を享受することができるので、最近は少数民族の籍を選ぶ傾向が多くなっている。中国の総人口における少数民族の比率は、1953年の第1次人口調査では5.89%であったが、2000年第5次調査では8.41%に増加している。

中国の主な少数民族

 少数民族は、「共同の生活地域、共通の言語、共同の経済生活、共有する文化を基盤とした共通の心理要素民族意識」を基準に中華人民共和国政府が認定する。現在までに漢民族以外に55の民族が認定されており、5つの自治区(一般の省と同じ)、30の自治州・120の自治県などが設置されて自治が認められている。
5自治区
  • モンゴル人 約580万 1947年、内モンゴル自治区が成立。
  • チベット人 約540万 1965年、チベット(西蔵)自治区が成立。ほかに青海、雲南、四川、甘粛の各省に、10の自治州と2つの自治県がある。
  • ウイグル人 約840万 1955年、新疆ウイグル自治区が成立。
  • 回族 約980万 1958年、寧夏回族自治区が成立。回族とはイスラーム教徒(ムスリム)のこと。中国ではかつてイスラーム教を回教といったので、ウイグル人以外のイスラーム教徒を回族という。 
  • チワン族 約1600万 1958年、広西チワン族自治区が成立。チワン族は壮族と表記する。かつては獞族と書き、中華人民共和国成立後は僮族に改められたが現在では壮族の文字が使われている。中国南西部に広く分布する、中国で最も多い少数民族である。
その他の主な少数民族
  • 満州族(約1068万 遼寧・河北・黒竜江の各省に13の自治県を持つ)
  • ミャオ族(約894万 貴州などに自治州、自治県をもつ)
  • イ族(約776万 雲南省など)
  • ヤオ族(約263万 広西省など)
  • 朝鮮族(約192万 吉林省などに自治州あり)など。
  • ほかに、中には人口3000人ほとどのロッパ族(チベット自治区)のような文字通りの少数民族もある。

少数民族の独立運動

 中国の少数民族はそれぞれ漢民族と同等の権限が与えられ、自治も認められているが、中には強い民族的自覚を持ち、中国からの独立を求める運動も存在している。その中で特に活発で、国際問題ともなるのが、チベット独立運動の続く新疆ウイグル自治区と、東トルキスタン独立運動を展開している新疆ウイグル自治区である。前者はチベット仏教、後者はイスラーム教という根強い宗教的背景があることが運動を持続させていると考えられる。<王柯『多民族国家 中国』岩波新書 2005> 
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ノートの参照
第2章3節 ア.東アジアの風土と人びと/イ.中国文明の発生
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王柯『多民族国家 中国』岩波新書 2005