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カウディーリョ

独立から1860年代までラテンアメリカ各地に出現した軍事的力地域ボス。

1810~20年代に次々と独立を達成したラテンアメリカ諸国であったが、その社会は現地生まれの白人であるクリオーリョに握られていた。その中でも地主=アシエンダ(大農園)の経営者として経済力を蓄え、独立戦争に参加して名声を上げ、私兵を要してボスとなり地域を実質的に支配するものが現れた。カウディーリョたちは利権をめぐって互いに争うようになり、その中にはラテンアメリカ諸国独立後の混乱に乗じて政治権力を奪う者も現れた。このような混乱は1860年代まで続き、ラテンアメリカの歴史の中ではカウディーリョ時代と言われている。19世紀後半には民主主義政治も行われるようになるが、現代に至るまで、このような地域的ボスが政権を握り、独裁者となるケースがたびたび現れている。

主なカウディーリョ

 ラテンアメリカの歴史の中で、カウディーリョから一国の独裁的な権力を握るに至った人物としては、次のような例がある。
メキシコサンタ=アナ:メキシコ独立戦争で活躍して国民的英雄となる。1833年から55年の間に11回大統領に選出された。その間、1836年にテキサスの独立を許し、1846~48年のアメリカ=メキシコ戦争ではカリフォルニアを失うなど、多くの国土を奪われた。売国的な独裁政治に失望した民衆の間に民主化の気運が高まり、55年にサンタ=アナは失脚し、保守派と民主派のレフォルマ戦争ナポレオン3世メキシコ出兵によって成立したマクシミリアンの帝政を経てフアレス大統領による最初の民主的政権が実現するが、この政権も後に独裁化する。次にクーデターによって権力を握ったディアスも長期的な独裁政治を行い、1911年のメキシコ革命で倒されるまでつづく。
アルゼンチンロサス:ブエノスアイレスの農園主。州知事となり、1832~51年、実質的な独裁者として君臨。隣接するウルグアイへのイギリス、フランスの侵略と戦うなど愛国者として人気があったが国内政治では圧政を行った。
ベネズエラパエスボリバルと共に独立戦争を戦って英雄となったが、大コロンビアからの分離を画策し、1829年にベネズエラ共和国を分離させ、30年その初代大統領となる。大地主・大商人を基盤とした独裁政治を行ったが、58年から自由主義派との内乱が激化し、63年に亡命して、祖国に戻らず73年にニューヨークで死亡した。<国本伊代『概説ラテンアメリカ史』2001 改訂新版 新評論 p.141-144>
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ノートの参照
第12章1節 イ.ウィーン体制の動揺
第14章2節 ウ.ラテンアメリカ諸国の従属と抵抗
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国本伊代
『概説ラテンアメリカ史』
改訂新版 2001 新評論