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セヴァストーポリ

クリミア半島南端のロシアの要塞で、クリミア戦争の激戦地。

 セヴァストーポリはクリミア半島の南端、黒海に面した都市で、ロシアの南下政策の拠点として要塞が築かれていた。1853年に始まったクリミア戦争では、54年にオスマン帝国を支援して参戦したフランス軍がロシア軍が守るセヴァストーポリ要塞を攻撃、翌年に及ぶ攻防戦となり、結局55年8月、陥落してロシア軍の敗北が決定した。セヴァストーポリ要塞の陥落はロシアに大きな衝撃を与え、西欧に対するロシアの近代化の遅れを自覚させることとなった。

トルストイの『セヴァストーポリ』

 26歳の青年トルストイは、砲兵少尉としてセヴァストーポリ要塞の激戦に参加した。そのときの体験をもとに発表したのが『セヴァストーポリ』である。そこには生々しい戦場体験が物語られており、その筆力は当時大いに称讃され、彼のデビュー作となった。三つの短編から構成されており、第一編はいわば戦場ルポルタージュで、負傷者のうめきが充満する繃帯所が描かれている。第二編は爆弾が目の前で爆発するわずか1秒の間の心の葛藤を描き、第三編で愛国心から戦場に来た青年将校兄弟が、フランス軍の総攻撃に遭う・・・という内容になっており、早い時期に近代戦争の真実を描いたものとして重要である。<トルストイ『セヷストーポリ』1856 中村白葉訳 岩波文庫 1954刊>