印刷 | 通常画面に戻る |

ナーランダー僧院

グプタ朝の5世紀に創設され、ヴァルダナ朝でも栄えた仏教の僧侶養成学院。玄奘と義浄も学んだ。

 5世紀頃、グプタ朝の王の保護のもとに建てられた仏教の教学を学ぶ学院で、7世紀のヴァルダナ朝でも栄え、唐から訪れた玄奘義浄もこの学院で学んだ。ガンジス川流域のビハール州南部、マガダ国の古都ラージャグリハに創建され、現在は遺跡が残っている。ナーランダ僧院は一時は数千人の学僧を集め、仏教教学を中心に、バラモン教の教学や哲学、医学、天文学、数学などを研究する、総合大学の感があった。ヴァルダナ朝、次のパーラ朝でも保護を受けたが、1200年頃、アフガニスタンから侵攻したイスラーム教徒のゴール朝によって破壊され、インドにおける仏教の繁栄は終わりを告げた。20世紀になってその遺跡が発掘されている。

Episode 超難関校、ナーランダー僧院

(引用)ナーランダー僧院での勉学にあこがれてインド内外から秀才たちが集まってくるが、かれらを待ち受けているのは厳しい入学試験である。10人のうち、7、8人が難関を突破できずに帰国した。無事に入学できても、仲間たちと競い合う日々がつづく。中途で挫折する者も、論争に敗れみじめな思いをする者も多く出た。その一方、学問と徳行に秀でた者は、大きな名声をえることになる。玄奘はこの僧院で最高の学僧として尊ばれていたシーラパドラ(戒賢)のもとで学び、その学識の深さを称讃されるまでになった。そしてすべての雑徭を免除され、外出には象の輿に乗ることが許されるなど、僧院内でも一〇人のみに与えられる特別待遇を受けたという。<山崎元一『古代インドの文明と社会』中央公論社版世界の歴史3 1997 p.309-610>

世界遺産

 インドのビハール州ナーランダの、ナーランダ僧院遺跡。2016年に世界遺産に登録された。
ナランダ
ナランダ

ナーランダ僧院遺跡 トリップアドバイザー提供


※ユネスコ 世界遺産センター ビハール州ナーランダ・マハーヴィハーラ(ナーランダ大学)の遺跡