中世ヨーロッパとイスラームの文化
キリスト教世界は、イスラーム文明に接触しながら、その影響を受けた。
中世ヨーロッパのキリスト教文明は、イスラーム教を異教として激しく排除し、レコンキスタや十字軍運動のような敵対行動もあったが、近接するイベリア半島のトレドや南イタリア・シチリアのパレルモなどでは早くからイスラーム文明の影響を受け、学問が盛んであった。トレドにもたらされた古代ギリシアの文献はイスラーム世界の文化の中心地バグダードの知恵の館でギリシア語からアラビア語に翻訳されたものであり、それがトレドの翻訳学校でラテン語に翻訳され、ヨーロッパ各地にもたらされたのであった。十字軍運動はむしろイスラーム世界との接触が強まる契機となり、12世紀ごろからイスラーム文化とイスラーム文化を通じてギリシアの古典古代の学問を取り入れる動きが活発になった。それが12世紀ルネサンスといわれる文化運動である。