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宗教戦争

16~17世紀のヨーロッパで展開されたキリスト教新旧両派の戦争。

 1517年、ルターによって切り開かれた、宗教改革の中から生み出されたプロテスタント(新教)とカトリック(旧教)の対立が激化し、16世紀中頃から17世紀前半の約1世紀間、ヨーロッパで吹き荒れた戦争。
 まずドイツにおける、シュマルカルデン戦争(1546~47)に始まり、フランスのユグノー戦争(1562~98)などの同一民族が争う内戦が起こった。さらにオランダ独立戦争(1568~1609)は旧教国スペインから新教徒の国オランダが独立を求めて戦ったもので宗教戦争の要素が強い。
 ドイツでは1555年のアウクスブルクの和議で領主と都市のルター派の信仰が認められ、フランスでは1598年のナントの王令でカルヴァン派の信仰が認められ、それぞれ和解が図られたが、いずれも不十分なもので、宗教対立はなおも続いた。

三十年戦争

 そして宗教改革開始から百年後に起こった、ドイツの三十年戦争(1618~1648)は最大の宗教戦争となる。三十年戦争は、ドイツの新旧両派の領邦の争いに、ヨーロッパの新旧両派の国家が介入して、国際的な宗教戦争となったが、拡大するにつれて次第に宗教対立の枠組みから外れていった。たとえば、旧教国フランスが、ドイツの新教徒を支援して、同じカトリック国スペインと戦うという事態となっていることでわかるように、宗教という建前を捨て、主権国家が国家利益を求めて争う、近代的な戦争へと変質した。
 三十年戦争は1648年のウェストファリア条約で講和となったが、それによってカルヴァン派も含めて新教徒の信仰が認められたことにより、宗教戦争の時代は終わったと言える。この後は、宗教的な寛容が進み、宗教的対立より、政治的・経済的利害の対立から戦争になる時代に移行する。
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