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メキシコ銀

スペインが、メキシコ産の銀で鋳造した銀貨をメキシコ銀という。スペインがアジア貿易の決済に用いたので、アジア各地に流入した。

 16世紀の南米のポトシ銀山で採掘されたは、スペイン銀貨としてヨーロッパに大量にもたらされ、価格革命がもたらされたが、スペインがフィリピンのマニラを拠点にメキシコのアカプルコとを結ぶガレオン貿易を行うようになると、中国商人から買い取る絹織物や陶磁器などに対する対価としてメキシコ産の銀が使われるようになった。このような、スペインがアジア貿易で決済手段として用いた、メキシコ産の銀で鋳造したスペイン銀貨のことをメキシコ銀といった。
 このメキシコ銀は18世紀ごろにはそれまでの日本銀を上回って流通するようになり、アジアの基軸通貨の働きをするようになった。このメキシコ銀の中国への大量の流入は、清朝の税制を地丁銀へと転換させ、経済を潤し、人口を増加させた。しかし、19世紀に、イギリスによるアヘン密貿易が盛んになると中国の銀の流出が急増するようになり、清朝はアヘンの蔓延とともに財政の危機に見舞われることになる。

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