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ポリス

古代ギリシアにおいて、自立した国家を形成し、市民による民主政が行われていた都市のこと。一般に都市国家と訳される。

 ミケーネ文明が崩壊し、暗黒時代といわれた約400年の間に鉄器の使用などが普及し、前800年頃からはギリシア本土に人々の集住(シノイキスモス)が進行し、ポリス(Polis)が形成された。ポリスは「都市国家」(city-state)と訳されるが、通常考える現代の都市とも国家とも違ったものである。
 都市とは言っても、商工業者や労働者や官僚たちの居住区ではなく、原則として土地所有農民を基幹として、商工業者とともに構成される市民団が居住する市域を中心に、周辺に彼ら農民のクレーロス(本来は共同体の共有地であったものを「持ち分地」としたもの)が広がっていた。また、国家とは言っても職業的な官僚や常備軍は存在せず、市民団が直接に国家の機構を運営し、軍事力を担っていた。
 ギリシア国土は平地も少なく、オリエントのような統一的な専制国家は出現しなかった。そのかわり、このようなポリスが発達し、大小200ほど存在した。その規模、内容はさまざまであるが、市民の数も数百から数千が普通で、アテネスパルタは例外的な広域ポリスである。<太田秀通『スパルタとアテネ』1970 岩波新書 などによる>
※このポリス(Polis)から、politics=国家を統治する「政治」、politician=「政治家」、police=武装して国家を保護する「警察官」、などのことばがうまれた。
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書籍案内

太田秀通
『スパルタとアテネ』
1970 岩波新書