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ソフォクレス

古代ギリシアの三大悲劇作者の一人。前5世紀のアテネで活躍、悲劇の上演形態を完成させた。代表作は『オイディプス王』など。

 ソフォクレス(Sophokles 前496?~406年、ソポクレスとも表記)アテネの悲劇作家で、ギリシア悲劇の三大悲劇作者の一人とされアイスキュロスエウリピデスと並び称されている。アイスキュロスより一世代若く、前468年に彼を破って作劇の競演に勝ち、第一線に立った。ソフォクレスは合唱隊を複数にするなどの手法の革新を行い、大衆にも受け入れれれた。代表作は『オイディプス王』、『アンティゴネー』などでいずれも神話に題材を取り、人間の残酷な運命を凝視している。劇作家として以外にもアテネ市民に人気があり、将軍職の一人に選出されたりしている。

ギリシア悲劇の形式変革

(引用)ソポクレスは、全般的には悲劇の形式的伝統の忠実な継承者であったが、他方・・・いくつかの重要な変革をももたらしているのである。すなわち、三部作形式による劇の構成法を実質的に捨てて、同時上演の三つの劇をそれぞれ完結した独立の作品としたことと、同時登場の俳優の数を二人から三人に増やしたこと、合唱隊(コロス)の数を十二人から十五人に増やしたこと。舞台における背景画(書割り)の使用、等々。<ソポクレス/藤沢令夫『オイディプス王』岩波文庫 解説 p.117-8>
 このソフォクレスの悲劇形式の改革、とくに三部作をやめて一つ一つの作品を独立させたことによって、劇中の出来事のテンポを早め、構成を緊密化し、その文だけ劇中での合唱隊の占める割合を減少させた。合唱隊はしかし、割合が少なくなった分、内容が凝縮され、踊り場における歌舞のコントラストを鮮明にし、劇全体の効果を高めることが期待された。その成功した例が『オイディプス王』や『アンティゴネ』などである。<ソポクレス/藤沢令夫『同上』p.118>

作品 『オイディプス王』

 ギリシアの三大悲劇作者の一人、ソフォクレス(ソポクレス)の作品で、ギリシア悲劇を代償する演劇。ギリシアのボイオティア平原にあったポリスのテーベが舞台。建国の祖カドモスの血筋を引く王ライオスは、デルフォイのアポロン神殿の神託が、やがて生まれるわが子に殺されるという運命にあるというものであったため、生まれた子を牧人に命じて捨てさせた。その後再びデルフォイに向かう旅の途中、別の旅人と争いになり殺されてしまった。一方、山中に捨てられた男の子はコリントス王に拾われて愛され、その王子となるが、やはりデルフォイの神託で父を殺すことになるという運命を知り、恐ろしくなってコリントスを離れ、テーベにやってきた。
 ちょうどテーベでは王が亡くなって混乱し、スフィンクスという怪物の謎を解くことができず困っていたところ、オイディプスがその謎を解いて民衆の困苦を救ったので、人々は彼を新たな王として迎えた。オイディプスは王宮の臥所に入り、前王ライオスの妃イオカステと交わり妻とする。しかし、テーベでは疫病や飢饉が続き、人々の不安が募る。王は高名な占い師をまねき、その原因を尋ねると、前王殺害の犯人が許されずにいることだという。王がその犯人は誰かと問い詰めると、占い師は「それはあなた」だと言う。驚いた王が前王が殺されたときに従っていた従者を呼び出し、子細を聞いてみると、自分がかつてコリントスを出て旅をしていたとき、旅人を殺したことと一致していた。オイディプスは、自分が本当の父親を殺し、母親と交わってしまったことを知ったのだった・・・・。こうしてオイディプスの悲劇がクライマックスを迎える。
 父親を殺し、母と交わるという宿命を負ったオイディプス王の悲劇は、ほかの悲劇作者も題材としているが、ソフォクレスの作品が最も劇的な緊張感にすぐれ、ギリシア悲劇の傑作とされている。また、近現代の文学や芸術にも大きな影響を与え、日本も含めて上演されている。また、20世紀に精神分析の理論を展開したフロイトも、オイディプス(エディプス)=コンプレックスという概念を用いている。
 なお、山川世界史用語集では作品名を『オイディプス』としているが、ソフォクレスには別に『クロノスのオイディプス』という作品があるため、一般的にはこちらを『オイディプス王』として区別している。
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ノートの参照
1章2節 コ.ギリシアの生活と文化
書籍案内

ソポクレス/藤沢令夫訳
『オイディプス王』
1967 岩波文庫<>