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ゼノン

ヘレニズム期のアテネのひと。その学派はストア派といわれる。

 ゼノンはヘレニズム時代の前3世紀にアテネで活動した哲学者。ゼノンがアテネのアゴラに面するストア(列柱)の下で、哲学を講じたので、その学派をストア派といわれるようになった。彼は、理性(ロゴス)によって感情(パトス)を制して、不動心(アパティア)に達することを理想とし、確固たる自己の確立をめざした。ストア派の哲学はローマに伝えられ、ローマ帝国時代にエピクテトスセネカマルクス=アウレリウス=アントニヌス(五賢帝の一人)などが現れた。

ストア派の祖ゼノン

 ストア学派の祖、ゼノンはキプロス島の生まれで商人であったが、フェニキアからペイライエウス港(アテネの外港)に染料を運ぶ途中で難破して、アテネに漂着し、クセノフォンの著作をつうじてソクラテスと哲学とに出会ったという。伝承によるとアテネに滞在している間、残された最後の船が荷を積んだまま遭難したとつたえ聞いて、自分を「すり切れた外套」へとみちびいた偶然の女神に感謝したという。「すり切れた外套」とは当時の哲学者のいわば制服であり、ゼノンが最も影響を受けたキュニコス派、とりわけシノペのディオゲネスに相応しい姿であった。<熊野純彦『西洋哲学史』2006 岩波新書 p.120>
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1章2節 コ.ギリシアの生活と文化