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人類とは 

人類は約700万年前に類人猿から分岐して出現し、いくつかの種を形成しながら進化、分化した。その一種である現生人類(ホモ=サピエンス)は約20万年前、アフリカで生まれ、世界中に拡散した。現生人類以外の化石人類は絶滅した。

定義と特徴

 人類は生物学上の分類では「哺乳綱霊長目ヒト科」に属する。大型類人猿と近い関係にあり進化の過程で分化してきた。現在地球上に生存している人類はすべて同一の種(交配できる生物集団)であり、人類学上はホモ=サピエンス(現生人類)と言われる。人類の特徴は、人類学的には「直立二足歩行」と「犬歯の消滅」が目安とされている。人類は、ある時期から脳容積が大きくなり、知能を発達させ、道具言語を使用するようになった。そして他の動物には見られない、文化を継承・発展させるることによって「歴史」を形成してきたのが人類である。

「人類の進化」の見方が変化している

 人類にはわれわれホモ=サピエンス以外に、絶滅してしまった「種」があったことが化石の発見と研究によって判ってきた。それらの化石人類には形態の違いから、現在まで25ほどの種があったことが報告されているが、ホモ=サピエンス以外はすべて絶滅してしまった。つまり、「人類」は何種類もあったのであり、「われわれ」を除いて絶滅してしまったのである。<更科功『絶滅の人類史―なぜ「私たち」は生き延びたか』2018 NHK出版新書>
段階的「進化」は、現在は否定されている かつては、化石人類は猿人原人旧人、そして現生人類である新人という4段階に分けられ、段階的に「進化」してきた、と考えられていた。しかし、最近の分子生物学の進歩によって化石人類のDNA分析が進んだ結果、このような見方は否定されている。最近の研究によれば、化石人類から現生人類に至る人類の進化は単線的なものではなく、それぞれ複雑に進化、分化、絶滅、置換を繰り返しているのであり、現在の人類学では猿人、原人、旧人、新人という分類は用いられていない。例えば化石人類のネアンデルタール人とクロマニヨン人の関係は、前者が後者に進化したのではなく、別々に進化し、しかも併存していたと考えられている。
注意 人類進化図は今は使われていない 教科書や参考書には今でも、猿人→原人→旧人→新人という4段階で人類が進化したことを、よちよち歩きから次第に立ち上がっていく姿で表している図をよく見かける。これは現在の研究水準からすると、間違っており、誤解を与えるだけであるという。

人類の起源

 人類の出現年代は、近年、アフリカで化石人類の発見が相次ぎ、その年代はどんどんさかのぼっている。
 2013年度版山川出版社『詳説世界史B』(最新版)では、約700万年前、とされるようになった。旧版の2007年版山川出版社『詳説世界史B』改訂版から約500万年とされていた。さらに前年の2006年版までは約450万年前とされていた。1994年に新課程になったときは、400万年前だった。さらにそれ以前は250万年前とされていた時期もある。これは現在までの急速な研究の発展により、特に21世紀に入って新たな発見が相次いだためである。現在では最古の人類は約700万年前にアフリカに出現というのが定説となりつつある。  現在報告されている化石人類で、約700万年前で最も古いとされているものは、アフリカ中央部のチャドで発見されたサヘラントロプス=チャデンシスとされている。 → 化石人類の項を参照

現生人類の登場

 現在のわれわれと同じ種の人間であるホモ=サピエンス(現生人類。かつては新人とも言われた)の発生についても、かつては各地の原人たちが、それぞれの地域で新人に進化したとする多地域進化説がとられていたが、現在では分子生物学などの発達により、アフリカで単独に進化したという「アフリカ単一起源説」が有力であり、アフリカから全世界に生活の場を広げた(アウト・オブ・アフリカ=人類の拡散)と考えられている。またホモ=サピエンスの登場は教科書などでは代表的な現生人類の化石人類クロマニヨン人の年代として4~3万年前とされているが、最近の研究では約20万年前(つまりかつて旧人と言われたネアンデルタールよりも早く)にアフリカに登場したという説が有力になっている。このように人類の起源について新たな知識が増えたのは、人類学の発達と並んで分子生物学(DNAの分析)の研究が急速に進んだためである。
<更科功『絶滅の人類史―なぜ「私たち」は生き延びたか』2018 NHK出版新書>
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ノートの参照
序章1節 ア.人類の進化
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更科功
『絶滅の人類史―なぜ「私たち」は生き延びたか』
2018 NHK出版新書