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総督(ローマ)

ローマ属州統治のために設けた官職。元老院議員が任命され利益を得た。

ポエニ戦争で獲得したシチリアから始まり、マケドニア戦争ではギリシアなど東地中海に広がったローマの海外領土である属州を統治する最高責任者。属州知事とも言う。公職としては執政官(コンスル)に次ぐ地位である法務官の中から元老院によって任命される。総督は戦時には軍隊を指揮し、平時には裁判を行って治安を維持する任務を持つだけではなく、徴税権も有し、属州の広範な統治権が任されていた。任期は1年で、任地は抽選で決められるルールであったにもかかわらず、総督になると莫大な利益を得ることが出来た。

総督の収益のカラクリ

 属州では「十分の一税」という租税を徴収するが、総督には一定の税収を上げることが義務づけられる。総督が一人で徴税は出来ないので、徴税実務を担当する徴税請負人を置くことが出来るが、徴税請負人は競争入札で最も高い税収を提示した者が総督と契約を交わすことになる。総督から徴税代行権を与えられた徴税請負人は定められた税収を元老院に納め、実際の税収額との差は総督個人の収入に出来る。こうして総督と徴税請負人が結託して属州民を収奪するしくみが出来上がった。属州総督の不正は元老院で問題にされたこともあり、前70年にはキケロが検察官となってシチリア総督を告発した裁判が行われている。
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ノートの参照
第1章3節 イ.地中海征服とその影響