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インペラトル

共和制末期のローマでカエサルに与えられた地位。ローマ帝国初代皇帝とされるアウグストゥスもインペラトルの称号を受けたので、後に「皇帝」を意味するようになった。

 本来はローマ共和政で、高級政務官、つまり執政官(コンスル)と法務官(プラエトル)は、「命令権(インペリウム imperium)」を持つとされ、政治を主導し。裁判をおこない、さらに軍隊を指揮する権限を有していた。
 共和政末期(前2~1世紀)になると、属州総督にも属州の命令権が与えられるようになり、さらに軍隊を指揮する将軍も命令権を持つとされるようになり、特に外敵を討伐するなどの業績を上げた将軍(軍司令官)に対して「無限の権をもつもの」という意味の称号としてインペラトルと呼びかけるようになった。

カエサルとアウグストゥス

 前45年、敵対勢力を全て打ち負かしたカエサルがローマに凱旋したとき、元老院が正式にこの称号を贈り、カエサルも終生それを用いた。強いて訳語を充てれば、「最高司令官」とか「凱旋将軍」となる。カエサルの養子となり、その権力を継承してたオクタウィアヌスもアントニウスなどを倒して主導権を握ると、この称号で呼ばれるようになった。さらに彼は、前27年にほぼ半数の属州の命令権を与えられ、元老院からアウグストゥス(至尊者)との称号を受け、実質的なローマ帝国の初代皇帝となった。その称号の冒頭は「インペラトル、カエサル、神の子アウグストゥス」というものであったので、インペラトルとカエサルには共にローマ皇帝の意味をもつようになった。英語の emperor はこのインペラトルを語源としている。
 また、ローマが地中海世界を統一して支配し、広大な領土に多くの民族や文明を包含するようになったことから、19世紀後半の資本主義世界で、広大な領土・植民地の獲得をめざすような国家のありかたを帝国主義と言うが、英語では Imperialism という。
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1章3節 ウ.内乱の一世紀