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文選

南朝の梁の昭明太子が編纂した文集で六朝文化の傑作とされ、日本にも伝えられて強い影響をあたえた。

 もんぜん。六朝文化を代表する散文集。南朝のの皇太子、昭明太子の編纂した、周から魏晋南北朝時代の文章家127名の名文を集めたもの。平安時代の日本にも伝えられ、平安文学に大きな影響をもたらした。

日本文化に与えた影響

 2019年4月1日、新年号「令和」が発表されたとき、その出典が『万葉集』であると官房長官が述べたことから、中国の漢文から取るというこれまでの慣例を破り、日本の古典とされたことが称賛される一方、違和感を感じる人も多かった。実は万葉集にあるこの文字が使われている文章は、もともとは『文選』にある後漢時代の文人であり科学者である張衡の文章を下敷きにしていたのだった。くわしくは、張衡の項、及び、元号の項を参照。

Episode 金沢文庫の国宝『文選』

 梁の昭明太子蕭統が、当時の学者のたすけを得て撰輯した名文集『文選』は隋唐時代にもよく読まれて、官吏の採用試験にもしばしば出題されたので「文選を覧る者は天下の半ばを識る」とまでいわれていた。日本でも平安時代から鎌倉時代に、貴族や文学者の間で愛好された。『枕草子』に「文は文集、文選、はかせの申文」とあり、徒然草には「書は文選のあはれなる巻々」などと記されている。なお、枕草子で文集と言っているのは言うまでもなく白居易の『白氏文集』のこと。特に大陸からもたらされた宋版の文選は白氏文集とともに高貴な方への贈り物として尊ばれたという。
 横浜市の称名寺境内にある金沢文庫は、鎌倉時代に北条実時によって設立され、北条氏が蒐集した当時の貴重な文献が今も蔵されている。その中の一つ、『文選集注』(もんぜんしっちゅう)は、文選の注釈書を総合して120巻にまとめた内の19巻で国宝に指定されている。奥書が欠けているので正確な編集過程はわからないが、平安時代の写本を一説には金沢実時が蒐集したという。<金沢文庫『特別展金沢文庫名宝コレクション』1996 解説書 p.128>
 たしか金沢文庫の常設展でも国宝『文選集注』(レプリカかも)が展示されているとおもう。『白氏文集』その他の典籍や仏像・仏具、宋から伝えられた青磁の焼き物など、身近なところで国際色豊かな鎌倉時代の文化財を見学できるなので一度訪ねてみて下さい。京浜急行金沢文庫下車、徒歩15分。 → 金沢文庫ホームページ
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