印刷 | 通常画面に戻る |

カフカス地方/コーカサス地方

黒海とカスピ海の間に東西に延びるカフカス山脈沿いの地帯。民族混在域で紛争が多発している。

 コーカサス地方ともいう。カフカス山脈の最高峰は5642mのエルブルース山。山脈の南側をザカフカースといい、そこにはグルジアアルメニアアゼルバイジャンの三国がある。北側は現在はロシア連邦に属するが、チェチェン人などの激しい独立運動が起こっている(チェチェン紛争)。
 カフカス地方の東部は18世紀にカージャール朝イランの支配を受けていたが、南下政策をとるロシアの圧力が強まり、19世紀前半の2度にわたるイラン=ロシア戦争の結果、1813年のゴレスターン条約ではグルジアとアゼルバイジャンが、さらに1828年のトルコマンチャーイ条約ではアルメニアの大部分(東アルメニア)のロシアへの割譲を認めた。北カフカスではチェチェン人の抵抗が続いたが、1816~61年にわたるカフカス戦争でロシア軍に平定された。
 20世紀に入り、東端のアゼルバイジャンのカスピ海に面したバクーで油田が発見され、ソ連にとっても経済的にも重要さを増し、ソ連の独裁者スターリンはグルジアの出身であったので、特にカフカス地方を重視した。
 第二次世界大戦では、バクーの石油資源に目を付けたナチスドイツが、独ソ戦でこの地の支配を目指して進軍したが、スターリングラードの戦いで敗北して撤退した。

コーカサス地方の民族紛争

ソ連崩壊に伴うコーカサス地方の民族紛争(赤字が紛争地域)

 コーカサス山脈の北と南には、多くの民族が交錯し、州境も混在している。そのため民族対立が絶えなかったが、特に1991年にソ連の解体の後は、東ヨーロッパ地域と同じような民族紛争が表面化している。コーカサス山脈の南側のザカフカースでは、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンの三国がそれぞれ独立したが、内部に民族問題を抱え、またコーカサス山脈北側のロシア連邦内でも、チェチェン紛争という民族紛争が起こっている。1980年代から2000年代にかけて、コーか冊地方で起こった民造紛争には次のようなものがある。
  • チェチェン紛争:ロシア連邦内のチェチェン共和国のチェチェ人独立派が1994年に連邦からの分離独立を求めて蜂起。一旦、ソ連軍に鎮圧されたが、1999年に再発した。独立派はイスラーム過激派と連携していると言われ、モスクワでの劇場爆破などの激しいテロ活動を展開したが、2009年頃までにプーチン政権によって押さえ込まれた。
  • グルジア紛争:ソ連解体によって独立したグルジア共和国の中で、グルジア人以外の民族の居住民の多いアブハジア地方と南オセチア地方で、それぞれ分離独立運郷が起こった。ロシアは分離独立を支援してグルジア領内に侵攻し、2008年の南オセチア紛争ではグルジアとロシアの戦争状態となった。グルジアは日本での表記が2014年からジョージアに変更されている。
  • ナゴルノ=カラバフ紛争:同じくソ連から独立したアゼルバイジャンにおいて、隣国のアルメニア系住民の多いナゴルノ=カラバフ地方でアルメニアへの併合運動が起きたことをきっかけに、1988年~1994年、アゼルバイジャンとアルメニア両国軍が衝突、ロシア軍は前者を支援した。
印 刷
印刷画面へ
ノートの参照
第13章1節 エ.イラン・アフガニスタンの動向