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中距離核戦力全廃条約/INF全廃条約

1987年、ゴルバチョフとレーガンの米ソ首脳が中距離核戦力(INF)全廃に合意して締結した。

ゴルバチョフとレーガン
INF全廃条約に調印するゴルバチョフとレーガン 1987年ワシントンDC
 1987年、アメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長の間で締結された、中距離核戦力(INF)の全廃を約束した条約。中距離核戦力=INF(Intermediate-Range Nuclear Forces とは、戦略核兵器(相手の政治中枢を破壊する目的の核兵器。およそ米ソ国境間の距離5500kmを超えてとばすもの)と戦術核兵器(敵部隊との遭遇戦で使用する核兵器)との中間にある核兵器という意味で、戦域核ともいう。米ソ本国よりもその中間にあるヨーロッパ地域で配備され、70年代末にソ連がトレーラーで移動可能な中距離ミサイルであるSS20を開発したことから現実的な脅威として問題となった。NATO側も中距離核戦力パーシングⅡの配備を進め、70年代の戦略兵器制限交渉(SALT)、さらに戦略兵器削減交渉(START)の網にかからないところで配備競争が続いた。

新冷戦下の交渉

 1979年のソ連のアフガニスタン侵攻、さらに1980年代にアメリカのレーガン大統領が戦略防衛構想(SDI)を打ち出したため米ソ間は新冷戦と言われるようになったが、西ドイツなど中距離核兵器の脅威にさらされているヨーロッパ諸国の働きかけもあって、交渉が始まった。
 交渉を劇的に進捗させたのは、1985年にソ連にゴルバチョフ政権が登場し、それまでの硬直した外交方針を改める新思考外交を打ち出したことであった。交渉は難航したが、1986年10月にアイスランドの首都レイキャビクでレーガン・ゴルバチョフの首脳会談がもたれ、ゴルバチョフが積極的にINF削減、廃止を提案し、急速に合意にむかった。レイキャビク会談の後、1987年12月にワシントンDCにおいて正式にINF全廃条約に調印、全廃が約束された。

実際の廃棄と抜け道

 その合意に基づき、1991年までに中距離核戦力(INF)は全廃された。ソ連を継承したロシアとアメリカの間で相互査察が10年間にわたって実施され、2001年には完全履行を相互確認して終了した。アメリカとロシアはそれぞれが使用しなくなったINFを、冷戦時代の遺物として博物館に飾っているという。しかし、ここでの中距離核戦力は陸上のみに限定されたので、空中および海中から発射されるものは含まれていないという抜け道がある。
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ノートの参照
第17章1節 ア.米・ソ軍縮と緊張緩和