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国際刑事裁判所/ICC

1998年に設立が決定され、2003年に発足した、戦争犯罪や集団虐殺、人道に反した罪、さらに侵略の罪を犯した個人を裁く国際裁判所。

 国際刑事裁判所 The International Criminal Court 通称 ICC 戦争犯罪や集団虐殺、人道に反する罪を犯した個人を裁く常設の裁判所。1998年、ローマで開催された各国外交官会議で採択された裁判所設置に関するローマ規定によって設立が決定し、60ヵ国以上の批准を経て2003年にオランダのハーグ(「国際法の街」と言われ国際司法裁判所もあるところ)に設置され、活動を開始している。
 従来の旧ユーゴスラビアやルワンダ、カンボジアなどの個別の国際法廷とは異なり、常設であり、独立性が高い。EU諸国は全面的に賛同しているが、アメリカは自国の兵士が標的にされることを懸念して終始批判的で、クリントンは渋々署名したが、ブッシュ(子)は署名を撤回、ICCから脱退した。このようなアメリカは反国連、単独行動主義と非難されている。ロシア・中国という大国も加盟していない。日本も長く未加盟であったが、2007年10月に105ヵ国目の加盟国となった。2009年には常設の国際裁判所ととしては初めて、現職の国家元首であるスーダン共和国のバシル大統領をダルフール紛争の残虐行為の責任者として逮捕命令を出し注目されている。
 なお、国際司法裁判所(ICJ)は国際連合の司法機関で、国家間の紛争を裁く裁判所であり、ICCはそれとは異なる機関である。国際刑事裁判所の裁判官は各国から選ばれており、日本人では齋賀富美子(2007~2009)、尾崎久仁子(2009~)が選出され、就任している。

「侵略の罪」

 1998年に締結された国際刑事裁判所設立条約(ローマ規程)では、集団殺害(ジェノサイド)、人道に対する罪、戦争犯罪は盛り込まれたが、「侵略の罪」については定義や管轄権をめぐって合意が得られず、条約批准後の検討会議で詰めることになった。2010年、ウガンダの首都カンパラでその再検討会議が開催され、条約非加盟国であるアメリカ、中国も参加し、侵略の定義および管轄権行使の手続きに関する改正が合意、成立した。
 争点は「侵略の定義」と「管轄権行使の手続き」(どこが侵略行為と認定するか)であった。国際連合憲章では、ある国が侵略行為を行ったかどうかを判断する権限は安全保障理事会に与えられている。安保理が一致して侵略と判断すれば、ICCは捜査に踏み出せるという点は各国に異論はないが、全会一致を前提とする常任理事国が対立して動けないときどうするか。ベルギー、ドイツなどと多くの途上国はICCの独立性を尊重し、捜査を認めるべきだと主張したのに対し、アメリカ、中国、イギリスなど安保理常任理事国は安保理の決議がなければICCは捜査には入れないとすべきだと主張した。討議の結果、6月11日に次のような内容(概略)で採決された。
・侵略の定義 「侵略犯罪」とは「国連憲章」の明白な違反を構成する侵略の行為の計画、準備、着手または実行をいう。その「侵略の行為」とは、他国の主権、領土保全または政治的独立に対する一国による武力の行使、または国際連合憲章と両立しない他のいかなる方法によるもので、1974年の「国際連合総会決議3314」(侵略の定義に関する決議)に一致して侵略の行為とみなすもの、とされた(細目省略)。
・管轄権の行使 侵略行為の認定は国際刑事裁判所又は国際連合安全保障理事会の決定により行うことができるが、国際刑事裁判所は、裁判所以外の機関による「侵略行為」の決定に影響されない。その行使は、締約国の自発的付託によるか、国連安保理の付託によるか、いずるかによる。
<朝日新聞 2010年5月28日記事、および Wikipedia 侵略犯罪の項>
 つまり、侵略の定義は1974年の国連決議をもとにして、ここで再度確認され、管轄権の行使に関しては「玉虫色」の規定となったと言うことができる。
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