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三極構造

第二次世界大戦後の資本主義社会は、ながくアメリカが唯一の経済大国であるという体制が続いたが、ベトナム戦争長期化あたりからアメリカ経済の停滞が始まり、1970年代からの世界経済は、アメリカ、西欧(EC)、日本の三極化の傾向が顕著になった。しかし90年代からのNIEsの台頭、21世紀から顕著となった中国経済の急成長によって、現在はより多極化を遂げている。

 1960年代までのアメリカ合衆国の経済が世界経済を支えていた時代は、ベトナム戦争によってアメリカ経済の行き詰まりがあきらかになり、他方でヨーロッパの統合(1967年にECとなった)が進み、日本の高度経済成長がなされたことで終わり、1970年代からは、アメリカと西ヨーロッパと日本の三つの極を持つようになった。その転換を明確に示したのが、1971年、アメリカのニクソン大統領によって打ち出された、金・ドル交換停止発表にともなうドル=ショックであった。世界経済でのアメリカ一極集中の時代が終わり、三極化が明確になった。
 ヨーロッパ統合はさらに質的に深化し、1993年にヨーロッパ連合(EU)となった。この段階の三極の人口、GDPを比較すると次のようになる。
   EU 人口 4億5700万人 GDP 10兆2890億ユーロ
   日本 人口 1億2700万人 GDP  3兆7580億
   米国 人口 2億9100万人 GDP  9兆4330億
(欧州委員会統計局2004年の数値)<脇阪紀行『大欧州の時代』2006 岩波新書 p.46>

三極構造の終わり

 しかし1980年代後半から90年代前半には、アジア地域の韓国・台湾・香港・シンガポールの新興工業経済地域(NIEs)諸国の台頭がめざましく、また1990年代から21世紀にかけて、改革開放政策から社会主義市場経済へと進んで実質資本主義国化した中国の経済成長が著しくなっており、単純な三極構造とはいえなくなった。また三極の中のヨーロッパは2004年に東方拡大を実現し、最大の経済圏となった。日本は1986年~91年のバブル経済の後、長期不況が続いて低迷している。
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