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ヴェントリス

1953年、ミケーネ文明期の線文字Bを解読したイギリス人。

 1953年、古代ギリシアの線文字Bの解読に成功したイギリス人。建築家であったが、言語学者チャドウィックの協力で、解読に成功した。1856年に交通事故死。
 線文字Bはクノッソス遺跡の他にもギリシア本土のピュロスでも大量に見つかり、その解読によって、エーゲ文明の後半にあたるミケーネ文明に使用されていた文字であることが判り、その社会のあり方が判るようになってきた。

Episode 34歳で交通事故死したヴェントリス

 1936年、14歳のイギリス人ヴェントリスは、クレタ文明の発見者エヴァンスの講演を聴き、クレタの線文字に興味を持った。建築家となった彼は、第2次大戦後、仕事の傍ら線文字の解読に取り組んだ。当時はエーゲ考古学の大家であったエヴァンスが、クレタやミケーネの文明は非ギリシア人の文明であり、彼らの文字もギリシア語とは関係がないと言う説が通説となっていたが、ヴェントリスは研究をするめるうちに線文字Bで書かれているのは古いギリシア語ではないかと気がついた。1952年、若い言語学者チャドウィック(彼は日本語にも通じ、仮名文字を研究していた)の協力を得て研究を進めたところ、ギリシア語として解読できることをついに証明し、1953年に学会で発表し、大きな反響を呼んだ。ヴェントリスはその研究を完成することなく、1956年わずか34歳で交通事故で死んだ。現在では線文字Bの解読は大いに進み、エーゲ文明期の社会と文化についてシュリーマンやエヴァンスの見解は書き改められている。<高津春繁・関根正雄『古代文字の解読』1964 p.243 岩波書店による>
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ノートの参照
1章2節 イ.エーゲ文明
書籍案内

高津春繁/関根正雄
『古代文字の解読』1964 岩波書店

J・チャドウィック/細井敦子訳『線文字B―古代地中海の諸文字 (大英博物館双書―失われた文字を読む)』1996 学芸書林

A・ロビンソン/片山陽子訳『線文字Bを解読した男』2005 創元社