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第9章 近代ヨーロッパの成立

3 宗教改革

Text p.191

ア.宗教改革の始まり 用語リストへ
ルター

 ルター 

 宗教改革 の開始
・ドイツ中部ザクセンのa ヴィッテンベルク 大学神学教授 b ルター 、(右図)
 魂の救済は善行によるのではなく、c 福音信仰 のみによると確信。

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・d 1517 年 e 『九十五ヶ条の論題』 を発表。
  → ローマ教会のf 贖宥状 ※の販売を批判。
  メディチ家出身のローマ教皇g レオ10世 がh サン=ピエトロ大聖堂 
  新築資金の調達のためにドイツ※※で発売した。
 ※免罪符とも言う。教会のために喜捨(寄付)などの善行を積めば罪が許されるとされた。
 ※※ドイツ:ローマ教皇の搾取を受けたので、i 「ローマの牝牛」 といわれた。
・ルターの主張

 聖書のみを信仰のよりどころとすることを説き、ローマ教皇の権威、聖職者の特権を認めず、信仰のあるものの平等を説いた。 

  = キリストの福音( 聖書 の言葉)のみを信じるc 福音信仰 
  → ローマ教皇庁の搾取に反発する諸侯や、市民、領主に搾取されていた農民らが幅広くルターを支持。
B.宗教改革の展開
・1519年 ▲ライプツィヒ討論 神学者エックとの神学論争。
  → ルター、教皇の至上権を否定。さらにフスの説を擁護。ローマ教皇との対決が鮮明になる。
 1520年 a 『キリスト者の自由』 刊行 → ローマ教皇、ルターを異端として破門。
・1521年 神聖ローマ帝国皇帝b カール5世 、ルターをc ヴォルムスの帝国議会 に召喚。
  → その説の撤回を迫るが拒否。皇帝、彼の権利奪う。
  → d ザクセン選帝侯 フリードリヒ、ルターをかくまう。その保護のもと、
   ヴァルトヴルク城『新約聖書』のe ドイツ語訳 を完成させる。
 1522年 騎士戦争 ジッキンゲンフッテンら、ルター派の没落騎士の反乱。 → 鎮圧される。
C. ドイツ農民戦争  起こる。
 ▲1522年春頃から、民衆の中に聖霊の働きを重視し、聖書を軽んじる急進派生まれる。
・1524~25年 a トマス=ミュンツァー を指導者とする農民反乱起きる。
  = 福音主義をかかげ、b 農奴制 の廃止などを要求。

Text p.193

 → ルター、初めは農民反乱を支持したが、運動が過激化するに従い、批判的となる。
 → 封建諸侯によって弾圧され、指導者も処刑される。
D.対立の激化
・ザクセン選帝侯など、ルターの教えを採用、カトリック教会の権威を否定。
  → 諸侯が領内の教会の首長となるa 領邦教会制 を成立させる。
  その他、ルター派諸侯の改革:修道院の廃止、典礼の改革など。
  → ドイツの諸侯にルター派が広がり、皇帝およびカトリック諸侯との対立深まる。
・1526年 皇帝b カール5世  シュパイエル帝国議会 でルター派の信仰の自由認める。
  背景:フランス(フランソワ1世)とのc イタリア戦争 の危機が続く。
     オスマン帝国(スレイマン1世)のバルカン進出 d モハーチの戦い でキリスト教軍が敗れる。
・1529年 皇帝、信仰の自由を取り消す → ルター派「抗議文」を出す。
  → ルター派はe プロテスタント と言われるようになる。旧教徒との対立激化。
  同年、オスマン帝国軍のf ウィーン包囲 (第1次)をうける。
・1530年 ▲皇帝、アウクスブルク帝国議会を召集。メランヒトンが「アウクスブルク信仰告白」を提起し
    和解を図る。ルター、カトリック教会共に妥協を拒否。
  同 年末、ルター派の諸侯と都市が結束してg シュマルカルデン同盟 を結成。
  = 反皇帝をかかげるプロテスタント側の同盟。カトリックを支持する皇帝・諸侯と対立深刻化。
 宗教戦争 
・1546~47年 a シュマルカルデン戦争 起こる。
  = 旧教徒(カトリック)皇帝支持の諸侯と新教徒(プロテスタント)支持の諸侯の戦争。
  → プロテスタントの同盟軍、敗れる。 1546年 ルター死去。
 アウクスブルクの和議 成立
・a カール5世 、長引く戦争に疲れ引退。実権を弟フェルディナントに譲る。
・1555年 アウクスブルク帝国議会でF アウクスブルクの和議 ※成立。
  b ルター派 の信仰が認められる。
  ただし、b 領主の宗教がその地に行われる という原則によどまり
  領民(農民)の信仰の自由は認められなかった。=c 領邦教会制 の確立。
 → d ルター派 はその後、北欧諸国に広がる。
補足: 和議の内容
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イ.カルヴァンと宗教改革の広がり 用語リストへ
 ツヴィングリ   の改革
・1523年 ルターの影響を受けスイスのa チューリヒ で開始。
  → 市政府と協力し改革を進める。 → 中世以来の幼児洗礼は認める。
 1529年 穏健な改革を望むルターと対立。
  → 1531年 旧教勢力と戦い戦死。
・図と解説:宗教改革

 カルヴァン の改革
カルヴァン

B カルヴァン 

・1541年 a ジュネーヴ で改革を始める。
  フランス人の人文学者。ルターの影響を受けb 『キリスト教綱要』 を著す。
・その思想
 ・神の絶対主権を強調する厳格な禁欲主義。
   → ジュネーブの市政においてc 神権政治 を行う。
 ・d 予定説 
   = e 魂が救われるか否かはあらかじめ神によって定められている 
   → 神から与えられた現世の職業労働に務めるのが神の栄光をあらわす道である
     であるとする。f 商工業者(中産市民) の思想と合致する。

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・f 長老主義  ルター派は司教制度を維持したのに対し、カルヴァン派は廃止。
  → 教会員の中から長老を選び牧師を補佐させる。
補足: カルヴァンの思想の影響
 プロテスタント の成立と広がり
・16世紀後半 a カルヴァン派 の信仰が西ヨーロッパに広がり、各地で次のように呼ばれる。
  フランス = b ユグノー 
  ネーデルラント = c ゴイセン 
  スコットランド = d プレスビテリアン 
  イングランド = e ピューリタン 
・f ルター派 はドイツ(各領邦、自由都市)および北欧諸国にひろがる。
・これらのローマ教皇の権威と聖職者の特権を否定しg 万人祭司主義 をとる新教徒を総称して、
 h プロテスタント という。
・イギリス国教会の成立
ヘンリ8世

 ヘンリ8世 

 イギリスの宗教改革  テューダー朝のもとで、カトリック教会と国王が対立。
・a ヘンリ8世 、王妃とのb 離婚問題 でローマ教皇と対立し、宗教改革始まる。
・1534年 c 首長法 (国王至上法):d イギリス国教会 の成立。
  イギリスの教会は国王を首長とすることを宣言し、教皇と絶縁する。
  → さらにe 修道院の解散 を強行し、その土地財産を没収し貴族などに与える。
・f エドワード6世  1549年 ▲g 一般祈祷書 制定。
  → プロテスタントの教義を採用。
・h メアリ1世 (スペイン王と結婚)の時、カトリック復興をくわだてる。
  → 新教徒を弾圧、「血のメアリー」と言われる。
 イギリス国教会 の確立。
・a エリザベス1世 の治世
 1559年 b 統一法 制定:国教会の制度を確立。
 1563年  信仰箇条  39ヶ条を制定
   特徴:教義ではカルヴァン主義を採用しているが、司教制度の維持など、外面的には
      カトリック(旧教)に似かよっている。=イギリスの宗教改革といえる。
  =イギリス国王が教会の首長を兼ねるので、c 国教会 という。
  → 16世紀後半 イギリス絶対王政の全盛期となる。(後出)

Text p.195

補足: その他の新教各派
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ウ.対抗宗教改革 用語リストへ
 対抗宗教改革   宗教改革の進展に危機感を持ったカトリック側の改革運動
・プロテスタントに対抗して、教義の明確化と内部改革によって勢力の回復に努める。
・1545年 a トリエント公会議 :教皇パウルス3世が召集。3回開会し、1563年に閉会。
  教皇の至上権、救済は信仰と行動によることなどの教義を確認。聖職者の生活の粛正などを決議。
禁書目録の作成、b 宗教裁判所 の設置など、カトリック教会の体制強化を図る。
ロヨラとザビエル

 ロヨラ とb ザビエル 

 イエズス会 の活動   1534年結成  ”屍の如く”がモットー。
・スペイン人のa イグナティウス=ロヨラ とb フランシスコ=ザビエル 
  が結成した修道士会。(c ジェスイット教団 ともいう。)(右図)
 = 教皇の許可を受けて、厳格な軍隊的規律により積極的な布教と教育活動を展開。
 → 特に、南ヨーロッパで新教の波及をはばみ、南ドイツでは地域を挽回。
・積極的な海外布教 → アジア・ラテン・アメリカ大陸への布教を展開。
 1549年 b フランシスコ=ザビエル  日本に布教。さらに中国に向かう。
 → ポルトガル、スペインの植民活動と結び付く。
ヨーロッパでd 宗教戦争 の展開、非科学的なe 「魔女狩り」 が17世紀まで続く。
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この節の小見出し
ア.宗教改革の始まり
イ.カルヴァンと宗教改革の広がり
ウ.対抗宗教改革

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界