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第16章 冷戦と第三世界の自立

4 米・ソ超大国の動揺と国際経済の危機

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ア.米ソ両大国の動揺
 ケネディ 大統領  民主党。初のカトリック教徒の大統領。
・1961年 a ニューフロンティア政策 を掲げ、国内改革の推進をめざす。
・対外政策 ソ連との全面対決を避けながら、各地の反米運動を抑える。
 ・b キューバ革命 への対応。アメリカののど元での社会主義国の誕生。
  1961年 断交し、他のラテンアメリカ諸国とのc 「進歩のための同盟」 を提唱。
 ・ベトナム問題
  1961年 d 南ベトナム 政権支持を強める。(前出)
   → 対ゲリラ部隊グリーンベレーを創設。
 ・対ソ関係
  1961年 ドイツ問題でソ連のe フルシチョフ とのウィーン会談、決裂。
   → 東ドイツ、f ベルリンの壁 を築く。
  1962年 g キューバ危機 の回避。(前出)
   → 核戦争への不安を米ソが共有、米ソホットラインの設置。
  1963年 米・英・ソの三国、h 部分的核実験停止条約 締結。
   → フランス、中国の反発(後出)。
ケネディ

A ケネディ  

・内政 黒人のi 公民権運動 への対応。差別撤廃の方針を打ち出す。
 1963年8月 j キング牧師 の指導で 「ワシントン大行進」 実施される。
・1963年11月 南部遊説中、ダラスでk ケネディ大統領暗殺 される。
 ジョンソン大統領  民主党。副大統領から昇格 ▲a 「偉大な社会」 計画を発表。
・1964年 b 公民権法 成立。黒人の差別撤廃をめざす。

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・ベトナム戦争を拡大
 1964年 c トンキン湾事件 。(前出)
   65年 d 北ベトナム空爆(北爆) 開始 →e ベトナム戦争 泥沼化。
  → 学生を中心とするf ベトナム反戦運動 が盛り上がり、世界各地に広がる。
・1968年 北爆を停止、パリで北べトナムとのg パリ和平会談 を開始。
  同  年 h キング牧師暗殺 される。黒人運動、 ブラックパワー に変質。
 ニクソン大統領  共和党。
・1969年  ニクソン=ドクトリン を発表、軍事介入抑制を図る。
・1970年 アメリカ軍北爆再開。
  → さらにa カンボジア 、b ラオス (71年)に侵攻し、ベトナム戦争拡大。
・二つのニクソン・ショック
 1971年 金ドル交換停止(c ドル=ショック )(後出)
 1972年2月 d 中国訪問 → 毛沢東と会談、中華人民共和国を事実上認める。
     → 大統領補佐官(後に国務長官)▲e キッシンジャー の活躍。
・ベトナム戦争終結
 1973年1月 f べトナム(パリ)和平協定  調印。アメリカ軍、 べトナム撤退
  同  年 第1次オイルショックがアメリカ経済を直撃。
・1974年8月 g ウォーターゲート事件  大統領陣営による民主党本部の盗聴が発覚。
   → マスコミによる批判拡大し、大統領辞任。任期途中で辞任した最初の大統領となる。
D 70年代のアメリカ大統領
・a フォード大統領 (共和党 1974~77)
  国務長官 b キッシンジャー が留任し、ソ連とのc デタント(緊張緩和) を進める。
  1975年 全欧安全保障協力会議を主導、d ヘルシンキ宣言 をまとめる(17章1節)。
・e カーター大統領 (民主党 1977~81) :f 人権外交 を提唱。
  1977年 ▲g 新パナマ運河条約 を締結。
  1978~9年 h エジプト=イスラエル和平 を仲介(17章3節)。
  1979年 i 米中国交正常化 が実現。
   同  年 j イラン革命 勃発。 アメリカ大使館人質事件 起き、人質救出に失敗(17章3節)。
   同  年 ソ連軍、アフガニスタン侵攻。
 デタント(緊張緩和)が終わり、再び米ソ対立へ。
○「プラハの春」の抑圧と社会主義体制の動揺
 フルシチョフ解任  
・1964年10月 キューバ危機の対応、農政の失敗、専横を非難され、解任される。
  → ソ連 a コスイギン 首相、b ブレジネフ 第一書記の体制となる。
  → 自由化やスターリン批判の流れは抑えられる。
  → ソ連共産党の高級官僚( ノーメンクラツーラ )の台頭。政治の停滞が始まる。
B 東欧各国の動き  COMECON、WTOの締め付けに対する反発が生じる。
・a アルバニア 
 1961年 ▲b ホッジャ 首相、中ソ論争で中国を支持。ソ連と国交を絶つ。
 1968年 c チェコ事件 でソ連を非難し、ワルシャワ条約機構から脱退。
・d ルーマニア 
 1964年 書記長 デジ 、ソ連のコメコン運営を批判。背景は石油などの資源が豊富。
 1965年 ▲e チャウシェスク  自主外交を掲げる。→西ドイツと国交樹立。
 1968年 c チェコ事件 で、ワルシャワ条約機構軍に加わらず。
 1974年から e チャウシェスク 大統領による独裁的な政治が続く。
・f ハンガリー 
 反ソ動乱後、 カーダール のもとで社会主義枠内での自由化が図られる。
 チェコ事件 
 a チェコスロヴァキア  東欧で最も工業が発達していた。
・b 1968 年 次第にソ連の抑圧に不満強まり、c 民主化運動 起こる。
  共産党第一書記d ドプチェク 、▲e 「人間の顔をした社会主義」 
  かかげ、自由化路線を推進。=f 「プラハの春」 と言われる。
・ 同  年8月 ソ連軍・g ワルシャワ条約機構 の4カ国軍が軍事介入。
         改革派を抑える。
  →h アルバニア はWTOから脱退、i ルーマニア は軍隊は派遣せず。
    ソ連の威信が揺らぐ。
チェコ事件

C チェコ事件  

・ 同  年 ソ連、▲j ブレジネフ=ドクトリン を発表、k 制限主権論 を唱える。
   内容=「社会主義国全体の利益は各国の個別の利益に優先する」としてソ連の内政干渉を正当化。

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D 70年代の動き
▲1970年 a ポーランド  政府の物価政策に民衆が反発しb ゴムウカ 政権倒れる。
 1977年 チェコの知識人がc 「憲章77」 を発表。ヘルシンキ宣言の具現化を要求。
1970年代の特徴
 アメリカはベトナム戦争の敗北、ソ連は経済・社会の停滞と東欧諸国の離反により、ともにその権威が動揺した。 
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イ.国際経済体制と戦後政治のゆき詰まり
 ドル=ショック    
・1960年代 アメリカ経済のゆき詰まりの原因

  a ベトナム戦争の戦費支出   ┐ ┌ 1958年以来、d 財政赤字 が続く。
                  │ │
  b 社会政策費の増大      ┼→┼ 1971年、e 貿易収支赤字 に転落。
                  │ │
  c 日本・西ヨーロッパの躍進  ┘ └  =アメリカにとって百年ぶり

   → ドルの価値が急速に下落。 → f ドル危機 とも言われる。
・1971年8月 g ニクソン大統領  アメリカ経済の救済策を発表。
  内容=h ドルと金の交換停止 とi 10%の輸入課徴金 の導入を決定(ドル防衛策)。
  ねらい j 輸入を抑え、輸出を伸ばしてドルの流出を抑えてアメリカ経済の回復をはかること。 
   → 同年12月 ▲主要10ヵ国蔵相会議を開催、 スミソニアン協定 を締結しドル切下げを決定。
  意義 ・国際経済のk ブレトン=ウッズ体制 の終焉 = ドルが国際基軸通貨の地位を失う。
     ・世界経済のアメリカ・西ヨーロッパ・日本のl 三極構造 への移行。
     ・通貨の固定相場制から▲m 変動相場制 へ。(73年から移行)
 オイル=ショック (第1次)
・1973年 a 第4次中東戦争 勃発 エジプト・シリア軍、イスラエルと交戦。(17章3節)
  → サウジアラビアなど、b アラブ石油輸出国機構(OAPEC) 、イスラエル支援の諸国
   に対するc 原油輸出停止 または制限を宣言。
   同時に、d 石油輸出国機構(OPEC) はe 原油価格 を大幅引き上げ。
  影響 f 安価な中東の原油に依存して経済を維持していた日本など先進工業国は打撃を受けた。 
C 世界経済の転換
・1971年のa ドル=ショック と1973年のb オイル=ショック の影響
  → 西側工業先進国に大きな打撃を与え、第2次世界大戦後続いた経済成長の時代が終わる。
・その後の世界経済の動き
  経済停滞とインフレが同時に発生する、▲c スタグフレーション が各国で進行。
  d 日本 の経済はまもなく回復。西ヨーロッパ、アメリカ合衆国の経済成長は減速する。
  西ヨーロッパで経済統合の動き強まる。
 → 1973年 e 拡大EC (イギリスなどの参加) → ヨーロッパ統合への歩み早まる。
・先進国の対応 1975年 フランスの提唱で、先進国首脳会議(f サミット )を開催。(後出)
1970年代後半の世界
 まとめ → g 西側資本主義世界の変質 + 東側社会主義世界の停滞 = 冷戦の終結へ 
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この節の小見出し
ア.米ソ両大国の動揺
イ.国際経済体制と戦後政治のゆき詰まり

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界