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第10章 ヨーロッパ主権国家体制の展開

3 17~18世紀のヨーロッパ文化

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ア.科学革命と近代的世界観 用語リストへ
ニュートン

 ニュートン と『プリンキピア』

1. 科学革命 
・a ニュートン  英 1661年 万有引力の法則を発見。微積分法を創始。
   『プリンピキア』1687年 → 近代物理学の基礎(ニュートン力学)
    ロンドン王立協会 (1662年王立となる)の会長となる。
・その他の主要な科学者(17世紀)
 b ガリレイ  伊  望遠鏡 を自作し地動説を立証。
  1633年、宗教裁判で異端とされる。
 c ケプラー  独 17世紀初め惑星の運行法則を発見。近代天文学の基礎を築く。
 d ホイヘンス  オランダ 17世紀中頃 振り子時計を発明、光の波動説を唱え、土星の環を観測。
 e ボイル  英 1662年 ボイルの法則 気体力学の基礎を築く。
 f ハーヴェー  英 1628年 血液の循環の発見。・18世紀の主な科学者
 g リンネ  スウェーデン 動植物の分類   h ラヴォワジェ  仏 1774 燃焼理論
 i ラプラース  仏 宇宙進化論       j ジェンナー  英 1796 種痘法を発見
 k フランクリン  米 避雷針の発明。政治家、外交官としても活躍。
 ▲l ビュフォン  仏 自然進化論の先駆。『博物誌』を著す。『百科全書』にも寄稿。
2.哲学(認識論)
 経験論   経験的(観察と実験)によって法則(真理)を導く=a 帰納法 を説く。
・17世紀初め イギリスで発達
 フランシス=ベーコン :1620年『新オルガヌム』 経験論の基礎を築く。
 → ホッブス、ロックに継承される。
 合理論   理性にてらして数学的に論証する = a 演繹法 を説く。
・17世紀 フランスなど大陸で発達
 b デカルト :1637年 『方法叙説』などで、すべての存在を疑ったうえで、
        ”われ思う、ゆえにわれあり”から認識が始まるとした。
 c パスカル :『瞑想録(パンセ)』(”人間は考える葦である”で知られる。)
 → オランダの スピノザ :『エチカ』などで、汎神論を展開。教会からは異端視される。
   ドイツの ライプニッツ :哲学では単子論を説き、数学では微分・積分学を創始する。
 ドイツ観念論 
 ・18世紀末 a カント  経験論と合理論の双方を批判的に統合し、観念論を大成する。
   『純粋理性批判』など三批判書。『永遠平和のために』では国際平和機関の創設を提唱。
  → 19世紀 ヘーゲルによって完成される。

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3. 自然法思想 
 ・17世紀、人為的な法律を超えた効力を持つ永久的、普遍的な法の存在が提唱される。
  a グロティウス :17世紀初め オランダ。三十年戦争でb 『戦争と平和の法』 を著し、
    国際法の必要を提唱。他に、『海洋自由論』(「自然法・国際法の父」と言われる。)
  c ホッブズ :17世紀前半 イギリス=ピューリタン革命期。d 『リヴァイアサン』 
   ”万人の万人に対する戦い”の状態から社会契約による国家権力の優越を説く。
  e ロック :17世紀後半 イギリス=名誉革命期。f 『統治二論』 などで、人間の
   自然法上の諸権利を国家権力の代表である政府に信託する契約を結んでいると説明し、
   人民の政府に対する抵抗権を認めた。→ g 社会契約説 の思想。
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イ.啓蒙思想 用語リストへ
ヴォルテール

 ヴォルテール  

1. 啓蒙思想   
・18世紀 封建社会のもとでの人間の不自由さを痛烈に批判し、人間の無知からの解放、
  知識の獲得をめざす思想。各国のa 啓蒙専制主義 をとる君主に影響を与える。
・18世紀の絶対主義時代のフランスで特に高まり、王権神授説を批判する。
 b モンテスキュー :18世紀前半 フランス 『法の精神』『ペルシア人の手紙』
   イギリスの議会政治を賛美し、絶対主義の国王への権力集中を批判、三権分立を説く。
 c ヴォルテール :18世紀前半 フランス 『哲学書簡』など言論の自由、
   信仰の自由を主張、カトリック教会を批判。
  → フリードリッヒ2世に招かれ、エカチェリーナ2世とは文通を通じ啓蒙思想を教えた。
 d ルソー :18世紀中ごろフランス。『社会契約論』『人間不平等起源論』など
  → e 人民主権 の実現をめざす思想を展開し、絶対王政を批判。
  → f フランス革命 の理念となる。
・その他のフランス啓蒙思想
 g ディドロ 、h ダランベール らi 『百科全書』 刊行。啓蒙思想を集大成。
2.経済思想(重商主義の克服)
・a 重農主義  18世紀中ごろフランス。
  b ケネー :『経済表』で冨の源泉を土地に求めつつ、絶対王政での重商主義政策を批判し、
         経済活動のc 自由放任(レッセ=フェール)  を主張。
・d 古典派経済学 の成立 18世紀後半のイギリス産業革命期
  e アダム=スミス :f 『諸国民の富』 などで、国民の生産活動の全体を冨の源泉とみなし、
         経済を市場原理(”見えざる手”)にゆだねる、自由主義経済の理論を確立する。
 → 資本主義の理論となる。

Text p.218

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ウ.宮廷文化と市民文化 用語リストへ
・17・18世紀の芸術:a 絶対王政 のもとで国王の権威の誇示に利用される。
  一方で、b 市民階級 の成長に伴い、その生活感情を反映するようになる。
ヴェルサイユ宮殿

 ヴェルサイユ宮殿  

 バロック様式  主として17世紀 ルネサンス様式に続く様式
・特徴:a 君主の権威を誇示する豪壮華麗な文化 
・建築:b ヴェルサイユ宮殿  1661年c ルイ14世 
    パリ郊外に離宮として建設開始。1682年に政府機構も移る。
・絵画:フランドル派(南ネーデルラント) 現在のベルギー。ハプスブルク家の宮廷を中心に発達。
     d ルーベンス  イタリアで学んだ後アントワープで活躍。『マリ=ド=メディシスの生涯』など。
     e ファン=ダイク イギリスに渡り宮廷画家として活躍。『チャールズ1世の肖像』など。
    オランダ(北ネーデルラント) 都市の繁栄を背景に市民生活を題材とした作品が発展した。
     f レンブラント  明暗を駆使した油絵技法の完成。『夜警』、『毛織物商組合役員像』など。
     他にフェルメール(『手紙を読む女』)など
    スペイン 17世紀はスペイン絵画の黄金時代といわれる。
     g エル=グレコ  ギリシア人でヴェネツィアで修行し、スペインで活躍。
     h ベラスケス  宮廷画家。『宮廷の侍女たち』 などが有名。
     他にムリリョ(『乞食の少年』など貧しい民衆の生活を描いた)など
・文学:フランス i 古典主義 宮廷演劇の3大劇作家
ポンパドゥール夫人

D ロココ様式 の肖像画
ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人

       (悲劇)j コルネイユ ・k ラシーヌ 
       (喜劇)l モリエール  『タルチェフ』、『人間嫌い』など。
・フランス学士院(m アカデミー ) リシュリューが創設、フランス語の統一と洗練。
 ロココ様式  18世紀(1710~60年代)
・特徴:a 王侯貴族や富裕市民の愛好する繊細優美な文化 
・建築:b サンスーシ宮殿 (フリードリヒ大王がポツダムに建設。無憂宮。)
    シェーンブルン宮殿(ハプスブルク家がウィーンに建造。外観はバロック式。)
・絵画:c ワトー 、ブーシエ、フラゴナールなど(いずれもフランス)
・音楽:17~18世紀 音楽史ではバロック音楽という。
    d バッハ  ブランデンブルク協奏曲など多数の作品がある。
    e ヘンデル  ドイツに生まれイタリアで学びイギリスで活躍。
  → 18世紀後半には古典派音楽(ハイドン、モーツァルト)が登場。

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C 市民文化の成立
・17~18世紀 西ヨーロッパで「a 生活革命 」が起きる。
 = b 茶 ・c 砂糖 ・d コーヒー などの普及。 → 文化の面でも、市民層の役割が増大。
・絵画:17世紀 オランダのe レンブラント が市民生活を題材とした新しい画風を産みだした(前掲)。
・文学:17世紀 f ピューリタン文学  イギリスの市民革命の展開と共に生み出された。
       g ミルトン 『失楽園』 旧約聖書の楽園喪失を題材に神の摂理を説く。
       h バンヤン 『天路歴程』  信仰上の苦悶を描いた寓意物語。
    18世紀 イギリスの貿易・植民活動を背景に市民的な文学が生まれた。
     = i デフォー 『ロビンソン=クルーソー』 
       j スウィフト 『ガリヴァー旅行記』 イギリスの政治、社会を風刺。
・17世紀なかばから、イギリスでk コーヒーハウス が出現。
  → 市民の交流の場となり、文芸活動やジャーナリズムが発展し、新しい文化が生み出される。
補足:
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この節の小見出し
ア.科学革命と近代的世界観
イ.啓蒙思想
ウ.宮廷文化と市民文化

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界