国際連合総会
国際連合の総意を決定する主要機関。1946年1月に加盟51カ国の参加で第1回総会をロンドンで開催。本会議場は現在はニューヨークに置かれている。現在の総会参加国は193カ国(2014年現在)。
総会は国際連合の主要機関であり、国際連合としての意志を決定する。加盟国(2014年8月現在、193ヵ国)が一国一票の投票により、多数決で議決する。決議は法的拘束力はないが、国際的な総意としての重みを持っている。
採決:総会は、すべての国際連合加盟国で構成し、1国1票の表決権を持ち、重要事項は3分の2以上、通常は過半数で議決する。国際連盟では総会の決議は原則として全会一致であったため、なかなか決定できずに、その実行力が発揮できない原因となっていたが、国際連合では多数決で決定できるようになったので、総会決議を出しやすくなった。
権限:総会の権限は「審議」と「勧告」にとどまり、立法府ではないのでその決議には法的拘束力はない。しかし、世界のほぼ全国が加盟し、平等に議論をしたうえで民主的に決議されたことは、正当性があり、加盟国はその決議を尊重する義務がある(国際条約化されたものは批准されれば遵守義務が生じる)。
第1回 総会 1946年1月10日の国際連合第1回総会はロンドンで開催され、51ヵ国の加盟国が参加し、決議第1号として国際原子力委員会の設置と、核兵器および大量破壊が可能なすべての兵器の廃絶を目指す事を定めた。1月12日に総会は安全保障理事会設立を決議、17日にその第1回が同じくロンドンで開催された。しかし、安保理でのイランにおけるソ連軍駐留問題でソ連が拒否権を行使するなど、早くも米ソ間の駆け引きが始まり、冷戦時代への予感となった。
国連総会の重要決議 翌1947年11月29日にはイスラエル建国に伴う中都情勢の緊迫化を調整するため、パレスチナ分割決議が出された。しかしこの決議はアラブ側に強い不満が起こり、翌年のパレスチナ戦争勃発となって長い中東危機の始まりとなった。1948年の第3回総会は世界人権宣言を採択し、国際連合の大きな任務として人権擁護に取り組む方向性を示した。
総会特別臨時会合 東西冷戦が深刻化するなか、総会の運営も困難が続き、1950年の朝鮮戦争に際しては、ソ連の欠席や拒否権で安保理が機能しなくなることを恐れたアメリカの主導によって安全保障に関して安保理の採決が無くとも総会特別臨時会合において多数決で制裁行動をとることができるという「平和のための結集」決議が採択され、国連の重要な機能となっている。
アメリカの単独行動主義 最近はアジア・アフリカ・ラテン=アメリカの小国家グループの動向が総会の意志決定に大きな影響力を持つようになり、アメリカ合衆国はむしろ総会決議に縛られることを避けるようになった。特に、2000年代に入り、国連の根幹である安全保障の分野でも、単独行動主義(ユニラテラリズム)をとることが多くなった。それはブッシュ親子とトランプの共和党政権に顕著であったが、オバマ・バイデンの民主党政権では是正がみられる。
国連総会の中の多数派グループ G77とNAM 安保理が常任理事国(P5)のもつ拒否権によって、実効ある決議が出せないでいる状況を打開するために緊急特別総会で「平和のための結集」決議が成されるようになると、総会のかなでの多数派工作が重要となっている。現在、国連の中で採決で同調することの多いグループには、発展途上国グループであるG77と、中立主義・非同盟主義を掲げるグループである非同盟諸国(NAM)である。
G77は、1964年、第1回国連貿易開発会議(UNCTAD)で結成された発展途上国グループで、当初は77カ国であったが、現在は中国、インド、サウジアラビアなどを含む134カ国になっている。
非同盟諸国(NAM)は、1961年にベオグラードで開催された非同盟諸国首脳会議に結集した25カ国に始まり、現在はインド、インドネシア、イランなど120カ国(中国はオブザーバー)が参加している。NAMには核兵器禁止条約の推進国が多い。
これらのグループに影響力を持っているのが中国でり、2010年代には国連専門機関のトップ人事を中国が制することが多くなっている。国連におけるG77とNAMが「数の力」で総会をリードする傾向に対して、アメリカは神経をとがらせているのが現状と言えるだろう。<小林義久『国連安保理とウクライナ侵攻』2022 ちくま新書 p.250>
ロシアのウクライナ侵攻 2022年2月の安保理常任理事国のロシアによるウクライナ侵攻は、国連のあり方にも重大な疑義が投げかけられている。 → 安全保障理事会・常任理事国/P5・拒否権の項を参照
国連総会の規則
規定:その任務は国際連合憲章に「国際の平和及び安全の維持についての協力に関する一般原則を、軍備縮少及び軍備規制を律する原則も含めて、審議し、並びにこの様な原則について加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告をすることができる(第11条)」などとなっている最も重要な機関である。採決:総会は、すべての国際連合加盟国で構成し、1国1票の表決権を持ち、重要事項は3分の2以上、通常は過半数で議決する。国際連盟では総会の決議は原則として全会一致であったため、なかなか決定できずに、その実行力が発揮できない原因となっていたが、国際連合では多数決で決定できるようになったので、総会決議を出しやすくなった。
権限:総会の権限は「審議」と「勧告」にとどまり、立法府ではないのでその決議には法的拘束力はない。しかし、世界のほぼ全国が加盟し、平等に議論をしたうえで民主的に決議されたことは、正当性があり、加盟国はその決議を尊重する義務がある(国際条約化されたものは批准されれば遵守義務が生じる)。
国連加盟国と推移
加盟国:国連の総会は原加盟国51カ国から始まり、現在(2014年8月)193ヵ国まで増加している。安全保障理事会と異なり、拒否権は認められず、多数決で採決される。ただし、総会決議には法的拘束力は無い。第1回 総会 1946年1月10日の国際連合第1回総会はロンドンで開催され、51ヵ国の加盟国が参加し、決議第1号として国際原子力委員会の設置と、核兵器および大量破壊が可能なすべての兵器の廃絶を目指す事を定めた。1月12日に総会は安全保障理事会設立を決議、17日にその第1回が同じくロンドンで開催された。しかし、安保理でのイランにおけるソ連軍駐留問題でソ連が拒否権を行使するなど、早くも米ソ間の駆け引きが始まり、冷戦時代への予感となった。
国連総会の重要決議 翌1947年11月29日にはイスラエル建国に伴う中都情勢の緊迫化を調整するため、パレスチナ分割決議が出された。しかしこの決議はアラブ側に強い不満が起こり、翌年のパレスチナ戦争勃発となって長い中東危機の始まりとなった。1948年の第3回総会は世界人権宣言を採択し、国際連合の大きな任務として人権擁護に取り組む方向性を示した。
総会特別臨時会合 東西冷戦が深刻化するなか、総会の運営も困難が続き、1950年の朝鮮戦争に際しては、ソ連の欠席や拒否権で安保理が機能しなくなることを恐れたアメリカの主導によって安全保障に関して安保理の採決が無くとも総会特別臨時会合において多数決で制裁行動をとることができるという「平和のための結集」決議が採択され、国連の重要な機能となっている。
アメリカの単独行動主義 最近はアジア・アフリカ・ラテン=アメリカの小国家グループの動向が総会の意志決定に大きな影響力を持つようになり、アメリカ合衆国はむしろ総会決議に縛られることを避けるようになった。特に、2000年代に入り、国連の根幹である安全保障の分野でも、単独行動主義(ユニラテラリズム)をとることが多くなった。それはブッシュ親子とトランプの共和党政権に顕著であったが、オバマ・バイデンの民主党政権では是正がみられる。
国連総会の中の多数派グループ G77とNAM 安保理が常任理事国(P5)のもつ拒否権によって、実効ある決議が出せないでいる状況を打開するために緊急特別総会で「平和のための結集」決議が成されるようになると、総会のかなでの多数派工作が重要となっている。現在、国連の中で採決で同調することの多いグループには、発展途上国グループであるG77と、中立主義・非同盟主義を掲げるグループである非同盟諸国(NAM)である。
G77は、1964年、第1回国連貿易開発会議(UNCTAD)で結成された発展途上国グループで、当初は77カ国であったが、現在は中国、インド、サウジアラビアなどを含む134カ国になっている。
非同盟諸国(NAM)は、1961年にベオグラードで開催された非同盟諸国首脳会議に結集した25カ国に始まり、現在はインド、インドネシア、イランなど120カ国(中国はオブザーバー)が参加している。NAMには核兵器禁止条約の推進国が多い。
これらのグループに影響力を持っているのが中国でり、2010年代には国連専門機関のトップ人事を中国が制することが多くなっている。国連におけるG77とNAMが「数の力」で総会をリードする傾向に対して、アメリカは神経をとがらせているのが現状と言えるだろう。<小林義久『国連安保理とウクライナ侵攻』2022 ちくま新書 p.250>
ロシアのウクライナ侵攻 2022年2月の安保理常任理事国のロシアによるウクライナ侵攻は、国連のあり方にも重大な疑義が投げかけられている。 → 安全保障理事会・常任理事国/P5・拒否権の項を参照