安全保障理事会
国際連合の主要機関で国際間の平和と安全の維持をはかる機関。アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の5大国が常任理事国となっている。
国際連合はその目的を国際連合憲章第1章第1条(目的)で「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること、並びに平和を破壊するに至る虞(おそれ)のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。」をあげ、「集団安全保障による平和の維持」を理念として掲げている。
また第2条(原則)の4項で「武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」と規定し、武力行使の禁止を原則として掲げている。この集団安全保障の任務を遂行する国連の機関として設置されたのが安全保障理事会で、固定された常任理事国5カ国と加盟国から選出される非常任理事国から構成され、国際的な紛争の平和的解決に大きな役割を与えられている。
任務及び権限:(第6章~7章)
また第2条(原則)の4項で「武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」と規定し、武力行使の禁止を原則として掲げている。この集団安全保障の任務を遂行する国連の機関として設置されたのが安全保障理事会で、固定された常任理事国5カ国と加盟国から選出される非常任理事国から構成され、国際的な紛争の平和的解決に大きな役割を与えられている。
国連憲章の規定
安全保障理事会に関する国連憲章の規定を要約すると次のようになる。任務及び権限:(第6章~7章)
- 国際連合加盟国は、国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任を安全保障理事会に負わせるものとする。
- 国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、次のいずれかの措置をとるか決定する。
〔非軍事的措置〕:兵力の使用を伴わない措置。経済関係などの中断並びに外交関係の断絶をなど。
〔軍事的措置〕:非軍事的措置では不十分であろうと認めた場合、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。(この規定が「国連軍」創設の根拠となっている)
- 安全保障理事会は、15の国際連合加盟国で構成する。中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国は、安全保障理事会の常任理事国となる。(中華民国は、1971年に中華人民共和国に交替。ソ連は1991年にロシア連邦が継承。)
- 総会は、地理的分配に特に妥当な考慮を払って、非常任理事国10カ国を選挙する。 非常任理事国の任期は2年。(非常任理事国は当初6ヵ国であったが、1966年から10カ国に拡大された。)
- 評決は、常任理事国は大国一致の原則にのっとり、5カ国全体の同意が必要(従って1ヵ国でも拒否すれば案件は成立しない拒否権を持つ)であり、非常任理事国を含む15ヵ国中の9票以上で可決される。
安保理改革の停滞
国連の安全保障理事会が、現在も第二次世界大戦の戦勝国であるアメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国を常任理事国として、一ヵ国でも反対すれば決議案が通らないというあり方には、現在見直すべきではないか、という声が高まっている。特に、日本、ドイツ、インド、ブラジルの4ヵ国は常任理事会入りを目指し、共同歩調を取っているが、現在の常任理事国の同意を得られる道筋は立っていない。拒否権は2005年以来、ロシア・中国による発動件数が増加しており、特に最近はアメリカ対中国の対立が表面化している。2020年のコロナ禍の中での地域紛争に対する停戦呼びかけも、安保理が機能しないために進んでいないという現状がある。<朝日新聞 2020/9/23>