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スロヴァキア

スロヴァキア人は西スラブ系の民族。チェコスロヴァキアの東部を構成していたが、1993年にチェコと分離して一個の主権国家となった。

スロヴァキア共和国 GoogleMap

スロヴァキア人はチェック人(チェコ人)と同じ西スラヴ人系の民族で、本来は同一であったが、10世紀頃からマジャール人(ハンガリー)の支配を受けた地域の人々を、スロヴァキア人として区別するようになった。その後も、チェコ(ボヘミア、モラビア地方)がドイツやオーストリアとの関係が深く、その影響を受けたのに対し、スロヴァキア人は長くハンガリーの支配を受けた。
注意 スロヴェニアとは違う 東欧には、似たような地名、民族名でこのスロヴァキア Slovakia とスロヴェニア Slovenia があるので注意しよう。スロヴェニア人はクロアティア人と同じく南スラヴ人系の民族で、後にユーゴスラヴィア連邦を構成し、現在では分離して独立している。また、似たような地名にスラヴォニアがあるが、こちらはクロアティアの東部地域を指している。地図などではスロヴァキアをスロバキア、スロヴェニアをスロベニアと表記することもあるのでややこしいことになる。

チェコとの連邦共和国形成

 第一次世界大戦後に初めて主権国家を建設し、チェック人と合同してチェコスロヴァキア共和国(第一共和国)を建国した。
 チェコとスロヴァキアは単一の国家となったが、主導権は工業化の進んでいたチェコ地方が握り、スロヴァキア地方は経済的な後進地域となったため、潜在的な不満が残った。

ドイツの実質的な保護国に

 1930年代にドイツに登場したナチス=ドイツは、その生存圏の拡張を主張して、周辺地域への領土拡張をあからさまに進めるようになった。ヒトラーはオーストリアを併合した後、国境を隔てたチェコのズデーテン地方に居住するドイツ人が希望しているとの理由にして、その併合を要求してきた。チェコスロヴァキアのベネシュ首相はそれを拒否したが、1938年9月ミュンヘン協定によってズデーテン地方のナチス=ドイツへの割譲が認められてしまった。そのためさらにチェコスロヴァキア解体が進み、チェコはドイツの保護領となり、スロヴァキアは形式的に独立国となったが、ドイツの強い影響下に置かれ、事実上はその保護国となった。1940年11月には、スロヴァキアはドイツに強要されて日独伊三国同盟に加入させられている。

チェコスロヴァキア共和国の復活

 スロヴァキアはいわばナチス=ドイツの手によって、歴史上初めて単独の国家となることができた。しかし、実質的にはドイツの支配下にある状態であったので第二次世界大戦中に次第に自立への動きが強まった。1944年にはスロヴァキア国民蜂起と言われる大規模な反ナチスの蜂起も起こっている。ドイツ軍を追って進撃してきたソ連軍によって、1944年4月、スロヴァキアは解放され、翌月にはチェコのプラハも解放されて、ドイツの敗北とともに、再び単一のチェコスロヴァキア共和国を形成することとなった。

チェコスロヴァキア社会主義共和国

 しかし共和国内部では、複数政党制による議会制民主主義を維持しようという政府と、ソ連の影響を強く受けた共産党の対立が激しくなり、それはマーシャル=プランの受け入れをめぐって決定的となり、ソ連は圧力をうけた共産党が1948年2月チェコスロヴァキアのクーデターを実行、権力を握り、チェコスロヴァキア社会主義共和国に改めた。  こうして社会主義圏の東欧諸国の一つとなったチェコスロヴァキアで、チェコとスロヴァキアは一体となって国家を運営することとなったが、以前と同じようにスロヴァキアは山地が多く、平野が少ないことから農業生産は多くはなく、工業化も遅れたため人口もチェック人の半分ぐらいだったことから、チェコの優位が続いた。
 1968年のプラハの春ではスロヴァキア出身のドプチェクが進めた改革の中で、チェコとの対等な連邦制が打ち出されたが、チェコ事件が起こり、ソ連軍などの軍事介入によってつぶされた。
 スロヴァキア人はチェコ人とは言語においてもさほど異なることはなく、長く同一の国家を継続していたが、1968年の「プラハの春」でのチェコとの対等な連邦制が実現しなかったこともあって、経済面でのチェコに対する従属的関係は次第に不満を醸成していたようだ。

チェコとの連邦解消

 1989年のチェコスロヴァキアの民主化が実現すると、スロヴァキア側の民族意識が強まり、分離独立を要求する声が高まった結果、1993年1月1日チェコスロヴァキアの連邦解消が実行された。単独の国家となったスロヴァキア共和国は、面積約5万平方km。人口は約500万。首都はブラチスラヴァ。
 スロヴァキアはその後、2004年にはNATOの東方拡大にあわせて加盟し、さらにEUへの加盟を実現した。 → チェコ 

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