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インド化

中国文化の影響が強かった東南アジアにインド文化の影響が強まったこと。

 東南アジアへのインド文化の伝来は、二段階にわけて考えられる。まず、前1世紀の末に、南インドに成立したサータヴァーハナ朝(アーンドラ朝)のインド人が西方のローマとの交易に必要な金や香料などの品々を求めて東南アジアの半島部の海岸や諸島部の港にやってくるようになったのが第一段階であり、商人とともにバラモンが渡来してヒンドゥー教やサンスクリットなどのインド文化を伝えた。この時期に起こったインドシナ南部に起こった扶南はインドから渡来したバラモンと現地の主張の娘が結婚して王となったという建国神話を持っていることが、「インド化」の一端を示している。
 東南アジアの「インド化」が顕著になるのは、3世紀からであり、4世紀にインドでグプタ朝が成立して豊かな都市を背景としたインド古典文化の全盛期となった時期にさらに進展した。4世紀から5世紀にかけて、バラモンの渡来によってヒンドゥー文化が東南アジア全域に広がり、半島部では北部ベトナムを除いて中国文化の影響は薄くなり、特に「インド化」が進んだ。<石澤良昭・生田滋『東南アジアの伝統と発展』中央公論社世界の歴史13 などによる>
 一般的に、「インド化」の指針としては、・インド的な枠組みでの王権の成立、・ヒンドゥー教と仏教の信仰、・インド的な神話と法律、・サンスクリット語の使用、があげられている。ベトナムの中部から南部にかけてチャム人が建設した港市国家も、はじめ中国文化の影響を受けていたが、次第にインド化してチャンパーと言われるようになった。

補足 インド文字の伝播

 現在の東南アジア諸国で使用されている文字の中で、カンボジア(クメール文字)、ビルマ文字タイ文字はいずれも古代インド・アショーカ王時代のブラーフミー文字をもとに作られたもので、「インド化」の結果といえる。ジャワ島にもかつてインド文字系のジャワ文字があったが現在は使われていない。なお、ベトナムとインドネシアの文字はラテン文字(ローマ字)表記が正式となっており、マレーシアやシンガポールは英語なのでアルファベットが普通に使われている。<東京外国語大学AA言語文化研究所編『図説・アジア文字入門』河出書房新社>
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ノートの参照
第2章2節 イ.インド・中国文化の受容
書籍案内

『東南アジアの建国神話』弘末雅士 世界史リブレット 山川出版社

『図説・アジア文字入門』東京外国語大学AA言語文化研究所編 河出書房新社