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聖職者階層制組織/ヒエラルキア

中世ヨーロッパのローマ=カトリックに於ける聖職者の階層組織。教皇を頂点とし、大司教-司教-司祭などがピラミッド型の階層が形成された。

 キリスト教の主流であるローマ=カトリック教会教会が西ヨーロッパに広がる過程で、形成された聖職者の位階制度。階層制度ともいう。ヒエラルキア(ヒエラルヒー)ともいう。ローマ教皇を頂点に、大司教司教司祭というピラミッド型の階層が形成された。大司教や修道院長は高位聖職者として、大きな宗教的権威とともに、皇帝や国王から土地を寄進され、領地を経営する封建領主でもあった。また司教は司教座都市に置かれた教会で教区を管理し、司祭は村々の教会で村人を管理し、十分の一税を徴集した。 → 封建社会
 聖職者は結婚しないのが原則であるから、その地位は世襲されることはなく、信仰の深さに応じてそれぞれの地位が選挙で選ばれるのが建前であったが、実際には国王や領主が自己の所領の教会の聖職者任命権を持っており、時として自己の一族を任命したり、聖職売買が行われるなどの腐敗が生じてきた。11世紀にクリュニー修道院出身の教皇グレゴリウス7世が、熱心に叙任権闘争に取り組むようになるのはそのような背景があった。

二種類の聖職者 

 聖職者は基本的には男性であるが、修道院には共同生活をする修道女もいる。聖職者は独身であるが、中世の最初の数百年には女性と暮らして子供をもうける司教や司祭もいた。12世紀以降、教会は最終的に聖職者の妻帯を禁止し、やがて厳禁となった。
 聖職者は<在俗>聖職者と<修道>聖職者に区別される。司祭は信徒とかかわり、信徒とものにあり、一つの教区の信徒を束ねる。いくつかの教区の司祭を統括するのが司教である。彼らは<俗界>すなわち世間に生きる聖職者で、<在俗(教区つき)>聖職者といわれる。他方、世間から引きこもり、戒律を守って自分たちだけで生活するのが<修道>聖職者(律修聖職者)であり、彼らは修道士(隠修士)と言われる。彼らが共同生活を送るのが修道院である。<ジャック・ル・ゴフ/川崎万里訳『子どもたちに語るヨーロッパ史/子どもたちに語る中世』2009 ちくま学芸文庫 p.198>
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書籍案内

ジャック・ル・ゴフ/川崎万里訳
『子どもたちに語るヨーロッパ史/子どもたちに語る中世』
2009 ちくま学芸文庫