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資本主義/資本主義社会

18世紀の産業革命によってヨーロッパで形成された社会のしくみ。

 資本主義経済とは、一般に生産手段を所有する資本家が、労働者を雇用して商品を生産し利潤を追求する経済体制をいう。そのような経済体制はヨーロッパ(特にイギリス)で、16~17世紀の絶対王政の時代に工場制手工業の形成という形で準備され、18世紀の産業革命によって成立したと考えるのが一般的である。

資本主義経済の成立

 生産手段を所有する資本家が、労働者を雇用して商品を生産し利潤を追求する経済体制である資本主義は、一般に16~17世紀のヨーロッパ絶対王政の時代に、家内制手工業から工場制手工業(マニュファクチュア)が形成されると共に、資本の形成と労働力の出現という原始的蓄積を経て準備され、18世紀後半から19世紀中頃までの産業革命の進行によって産業資本が成立したこともって完成した、と説明されている。ただし、最近では資本主義的世界経済の形成を、15~16世紀のいわゆる大航海時代に求める見解も出されている。

資本主義社会の展開

 資本主義社会とは資本家と労働者という利害の相容れない階級的対立が基本的な社会関係となる時代と考えられる。その経済理念は、自由な利潤競争による市場原理に則り、アダム=スミスの言う「神の見えざる手」にゆだねるというものである。
 そのような資本主義は必然的に好況と不況を繰り返し、時として恐慌という急激な不況に見舞われる。不況と恐慌期に資本は淘汰され大資本に吸収され、独占資本が形成される。特に銀行などの金融資本が産業資本を配下に収めた段階に、国家権力と結びついて領土や植民地を拡大し、市場と原料供給地を確保しようという帝国主義段階に至る。それが19世紀末から20世紀の初めであり、帝国主義はついに第1次世界大戦をもたらすこととなる。
 また資本家による労働者に対する搾取は、当初は放置され(すべてがブラック企業であった!)、労働者は低賃金・長時間労働に曝され、また女性や児童を働かせることが日常的に行われていたため労働問題は次第に深刻となっていった。そこから労働者の待遇改善や、解放をめざす労働組合の結成、ストライキなどの労働運動が起こってくるが、帝国主義段階になるとさらに資本家と労働者の対立は先鋭化していった。

社会主義の出現と資本主義の修正

 資本主義の矛盾による崩壊を歴史的な必然と考え、資本主義に替わる社会体制を創出して労働者の解放をはかる思想として社会主義が19世紀中頃のマルクスやエンゲルスによって理論化された。その影響を受けて、労働者の権利拡大を目ざす労働組合運動と社会主義運動は帝国主義段階に至って最も活発となり、第一次世界大戦中の1917年にロシア革命(第2次)が最初の社会主義革命として成功し、計画経済や集団化という社会主義国家の建設が始まった。五カ年計画を進めるソ連は1929年に始まった世界恐慌の影響を受けず、社会主義の優位を示すかに見えた。一方、大戦後、恐慌や失業者の増大という資本主義のリスクを回避するために、イギリスの経済学者ケインズは国家の財政運用による経済への介入を強める修正資本主義を打ち出し、アメリカのニューディール政策に大きな影響を与えた。第2次大戦後はそれが主流となった。

現代の資本主義

 第二次世界大戦では資本主義陣営と社会主義陣営はファシズムに対する共同戦線を作って戦ったが、戦後はイデオロギー的な対立を表面化させ、東西冷戦の時代をもたらした。戦後の1970年代になると資本主義陣営ではケインズ的な財政出動や公共事業による経済運営は「大きな政府」として批判されるようになり、1980年代からはイギリスのサッチャーやアメリカのレーガンに見られる新自由主義の経済運営(規制緩和や「小さい政府」がキャッチフレーズ)がもてはやされるようになった。一方、社会主義はソ連型の官僚統制がゆきづまり、1980年代末に崩壊し、残る中国も政治権力は社会主義体制を維持しているものの経済はまったく市場経済化した。こうしてソ連の停滞が明らかになる一方、資本主義経済はマルクスの予想に反して崩壊することなく21世紀を迎え、市場経済万能の様相を呈している。現在は世界恐慌の再発は避けられているが、多極化が進み、また南北の対立や環境問題、資源問題という世界共通の問題を抱えており、より困難な段階に来ているとも考えられる。2008年のリーマン=ショックは現代資本主義の病理を浮き彫りにした。