キング牧師
アメリカの黒人公民権運動の指導者。1963年にワシントン大行進を実現し、運動を前進させたが1968年に暗殺された。

Martin Luther King,Jr.
アメリカの黒人運動の指導者で牧師。1955年のアラバマ州モントゴメリーでのバス・ボイコット運動にかかわり、公民権運動の指導者となる。常に非暴力の方法をとり、ボイコット戦術や、シットイン(座り込み)などによる差別への抵抗を指導し、その人格と弁舌で親しまれた。奴隷解放宣言が出されてから100周年にあたる1963年8月28日には画期的なワシントン大行進を成功させ、翌年の公民権法成立という成果を上げた。1964年には、ノーベル平和賞を授与された。この頃から深刻となったベトナム戦争の反対運動にかかわるようになった。1968年、全国遊説の途中、テネシー州メンフィスで人種主義者の凶弾に倒れた。 →キング牧師暗殺
→ キング牧師 「私には夢がある」演説 YouTube より
資料 「私には夢がある」演説
リンカンによる奴隷解放宣言の百周年にあたる1963年8月28日に行われたワシントン大行進で、黒人と白人リベラル20万の群衆を前にリンカン記念堂でキング牧師は後世に残る感動的な演説をした。(引用)今から百年前に、私たちがこうしてその像の下に立っている一人の偉大なアメリカ人が、奴隷解放宣言に署名しました。しかしそれから100年たった今も、黒人はまだ自由にはなっていないという悲劇的な事実に直面しなければならないのです。100年たった今も、黒人の生活は分離という手錠と差別という鎖のため、悲しくも無力にされているのです。100年たった今も、黒人は物質的な繁栄という広い海のなかの、貧困という孤独な島で暮らしているのです。演説に出てくるアラバマ州はキング牧師が指導したバス・ボイコット運動が始まったモントゴメリーがある州で、ウォーレス州知事は最も強硬な白人優越主義者として知られていた。右上の写真はリンカン記念堂の前で演説するキング牧師。
さあみなさん、私は今日皆さんに向かっていいたい。私には夢があるのです。いつの日かこの国が立ち上がって、『すべての人は平等につくられたことを我われが自明の真理と考える』という信条の真の意味に生きるようになる夢が。
私には夢があるのです。いつの日かジョージアの赤土の丘の上で、昔の奴隷の息子たちと、昔の奴隷主の息子たちが、兄弟として一緒にテーブルにつくことができるような日のくる夢が。
私には夢があるのです。いつの日か不正と抑圧の熱気のために荒廃した州ミシシッピ州でさえも、自由と正義のオアシスに変貌するような夢が。
私には夢があるのです。いつの日か私の幼い四人の子供たちが、皮膚の色によってではなく、どんな内容の人間かということによって評価される国に住むようになる夢が。
私には夢があるのです。いつの日か、今は知事の唇が(連邦政府の)介入拒否と州権の主張で満たされているアラバマ州で、情勢が変わって幼い黒人の少年少女たちが、幼い白人の少年少女たちと手を結びあい、兄弟姉妹として一緒に仕事ができる環境ができるようになる夢が。
私には夢があるのです。いつの日かあらゆる谷間は高められ、あらゆる丘や山は低められ、凸凹の場所は平らにされ、曲がりくねった場所は真っ直ぐにされ、神の栄光が輝いて、あらゆる生き物が一緒にそれをみるようになるという夢が。
それが私たちの願いなのです。<猿谷要『キング牧師とその時代』1994 NHKブックス p.114-116>
→ キング牧師 「私には夢がある」演説 YouTube より
キング牧師暗殺
1968年、黒人公民権運動指導者のキング牧師が暗殺される。