印刷 | 通常画面に戻る |

リディア王国

前7~6世紀、4国分立時代の小アジアに生まれた国家。世界で最初に金属貨幣を鋳造した。都はサルデス。

 リディア Lydia はリュディアとも表記することが多い。前7世紀~前546年、4国分立時代の小アジア(現在のトルコ)西部にあったインド=ヨーロッパ語族系統の王国。都はサルデス。前612年にアッシリア帝国が滅亡してオリエント世界が新バビロニア王国(カルデア王国、メソポタミア地方)、メディア王国(イラン高原)、およびこのリディア王国(小アジア)の四王国に分立、その最も西部のエーゲ海に面した地域を支配した。
 前6世紀中頃のクロイソス王(在位前560~前546)のころ全盛期となり、エーゲ海に面したエフェソスを支配して、巨大なアルテミス神殿を建造した。しかし、東方のカッパドキアの領有を巡ってアケメネス朝ペルシアキュロス2世と対立し、デルフォイの神託にしたがって開戦したが、敗れてリディア王国は滅亡した。

世界で最初の貨幣を鋳造

 リディア王国ではエーゲ海に面したイオニア地方にも隣接していたことから交易が盛んで、商工業が発達し、前7世紀に世界で最初の貨幣を使用したことで知られる。同時にリディア王国はギリシア文化にも大きな影響を及ぼした。しかし、東方のイラン高原に起こったペルシアに次第に圧迫され、前546年にペルシアのキュロス2世によって滅ぼされた。

Episode 最後のリディア王クロイソスの名言

 「平和より戦争をえらぶほど無分別な人間がどこにいるだろうか。平和の時には子が父の葬いをする。しかし戦いとなれば、父が子を葬らねばならない。・・・」
このことばは、ヘロドトスの『歴史』に見える、リディアのクロイソス王の言葉である。リディアはアケメネス朝ペルシアのキュロス2世に攻撃され、その王クロイソスは首都サルデスで捕らえられ、火あぶりにされることになった。燃えさかる薪の上でクロイソスがアポロンの神に祈ると、突如雲があつまって大雨になり、火が消えてしまった。キュロス王はクロイソスが神に愛された立派な人間だと知り、彼を薪の上からおろし、「わしの友とならず敵となったのはだれのしわざか」と訊ねた。それに対する答えの一節が先ほどの言葉であった。その言葉を聞くとキュロス王はクロイソスを傍らに座らせ丁重にもてなし、その後もご意見番として重んじた。<ヘロドトス『歴史』巻一 87節 松平千秋訳 岩波文庫(上)p.72 >

Episode クロイソス王とターレス

 クロイソス王と同時代のミレトスの自然哲学者タレースは、王のためにハリュス河の流れを変えることによって橋を架けることなしにその河を渡れるようにしてやった。またタレースはリディアとメディアの戦いの時に、日蝕が起こることを予言してみごとに的中させたという。<ラエルティウス『ギリシア哲学者列伝』上 岩波文庫 p.40>

Episode 賢者ソロンとのクロイソス王

 クロイソスは、ソロンが、僭主ペイシストラトスと対立してアテナイを去ったことを知り、サルディスに招いた。そのときの話。
 クロイソスは自分をきらびやかに飾り立てて玉座につきながら、ソロンに向かって、何かこれよりも美しい観物を観たことがあるかと訊ねた。するとソロンは、「見ましたとも、雄鶏や雉子や鳩おね。これらの鳥は、もって生まれた色で一万倍も美しく身を飾っていますからね」と答えた。<ラエルティウス『同上書』 p.50>
印 刷
印刷画面へ
ノートの参照
1章1節 カ.古代オリエントの統一
書籍案内

ヘロドトス『歴史』上
松平千秋訳 岩波文庫