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集団安全保障

国際連合憲章に定める、国際連合の世界平和維持のための基本的な理念。国際連盟から継承した理念であり、現代の平和理論の柱となるものであるが常に脅かされている。

国際連合憲章第1章第1条に国際連合の目標として「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること。」とあるように、集団的安全保障の理念に基づく国際平和機関として設立された。

歴史的意義

 集団的安全保障とは、国際連盟規約にも定められているように「戦争または戦争の脅威は、連盟加盟国のいずれかに直接の影響があるか否かを問わず、すべて連盟全体の利害関係事項」(連盟規約11条)であるとし、「約束を無視して戦争に訴える加盟国は、当然に他のすべての加盟国に対して戦争行為を為したものと見なす」(同16条)ということである。19世紀までの特に欧米近代ではそれぞれの国家が「国家の交戦権」(または「戦争の自由」)を当然の権利(自然権)として行使し、また「勢力均衡論」にもとづいて軍事同盟(しかも秘密外交によって)を結び抗争しあうこととなり、第一次世界大戦の悲惨な戦禍をもたらしたことへの痛切な反省から、アメリカ大統領ウィルソンなどによって提唱されたものであった。

集団的安全保障の規定

 国際連合もその精神を受け継ぎ、国連憲章第1章第1条に集団安全保障の理念を掲げたのだった。さらに集団安全保障の前提としての各国の個別の武力所持を「慎まなければならない」(憲章第2条4項)と言う表現ではあるが、原則禁止とした。
 その上で、安全保障理事会に対し、国際平和に敵対する行動に対する武力的制裁を行う権利を義務を与えたのである。当然その行使にあたっては、紛争の平和的解決(交渉、仲介、調停など)をはかり(第33条)、処置も暫定処置(第40条)、非軍事的措置(第41条)、軍事的措置(第42条)という段階を踏まなければならないと規定されている。

個別的または集団的自衛権との矛盾

 以上のように国際連合の理念は、武力の所持・行使の禁止と集団的安全保障による紛争の解決であるが、にもかかわらず、なおも各国が軍備を所有し、しかも大国は核兵器という大量殺戮兵器を持ち、また軍事同盟が締結されつづけているのはなぜだろうか。それは、国連憲章第51条で各国の個別的および集団的自衛権が認められたからであった。個別的・集団的自衛権の規定は、武力行使禁止・集団的安全保障の規定とは矛盾するが、これはいわば現状との妥協的な規定である。この51条の規定をもって自衛権は国家固有の自然権として認められていると解釈するのは、第一次世界大戦後の世界が、国際連盟規約や不戦条約、ハーグ平和条約などで積み重ね、国際連合憲章で確定させた「戦争の違法性」の観点からみて誤っている。現状は過渡的に各国が武装していても、軍縮への努力を進めるべきであり、ましてや核武装して先制的な自衛権を行使することや集団的自衛権を強化するのは歴史に逆行する愚行であることは明らかである。
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ノートの参照
第16章1節 ア.戦後の国際政治・経済秩序