第2章 アジア・アメリカの古代文明
第2節 東南アジアの諸文明
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ア.東南アジアの風土と人びと
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・西からのインド文明と、東からの中国文明との双方の影響を受けながら、独自の文明を築く。
1.a 大陸部 (半島部) b インドシナ 半島。
主要河川=c 紅河 、d メコン川 、e チャオプラヤ(メナム)川 、f イラワディ川 など
→ g モンスーン の影響を受け、夏の高温多湿 → 稲作農業地帯を形成。
主要河川=c 紅河 、d メコン川 、e チャオプラヤ(メナム)川 、f イラワディ川 など
→ g モンスーン の影響を受け、夏の高温多湿 → 稲作農業地帯を形成。
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2.h 諸島部 (島嶼部) i マレー半島 と多くの島々からなる。
=j スマトラ島 、k ボルネオ島 、l ジャワ島 、m モルッカ諸島 、フィリピン諸島など。
→ 湿潤熱帯気候地帯。 → 香辛料、果樹、漁業などをもとに、交易が盛んに行われる。
=j スマトラ島 、k ボルネオ島 、l ジャワ島 、m モルッカ諸島 、フィリピン諸島など。
→ 湿潤熱帯気候地帯。 → 香辛料、果樹、漁業などをもとに、交易が盛んに行われる。
・東南アジア世界の特徴
・海や河川を交通路とする、多数の港市が発達し、多くの政治権力が生まれる。=a 港市国家
・b 香辛料 の産地として重要。(特に、モルッカ諸島)
→ ▲c 南シナ海交易圏 とインド、中国、イスラーム世界との交易が展開される。
・b 香辛料 の産地として重要。(特に、モルッカ諸島)
→ ▲c 南シナ海交易圏 とインド、中国、イスラーム世界との交易が展開される。
・東南アジア世界と外界のつながり
・15世紀 d イスラーム勢力 が進出。マラッカを中心に活発な交易活動を展開。
・16世紀からはヨーロッパ勢力の進出が始まる。 ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスが進出。
・19世紀 資本主義諸国の植民地支配が及び、世界市場に組み込まれる。
→ モノカルチャー化が進む。大陸部では稲作中心の農業開発、諸島部では錫やゴムなどの資源開発が進む。
→ 並行して、インド人移民(印僑)と中国南部からの移民(南洋華僑)が増加する。
・16世紀からはヨーロッパ勢力の進出が始まる。 ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスが進出。
・19世紀 資本主義諸国の植民地支配が及び、世界市場に組み込まれる。
→ モノカルチャー化が進む。大陸部では稲作中心の農業開発、諸島部では錫やゴムなどの資源開発が進む。
→ 並行して、インド人移民(印僑)と中国南部からの移民(南洋華僑)が増加する。
◎東南アジアの重要地名
a インドシナ 半島
b マレー 半島
c マラッカ 海峡
d ルソン 島
e ミンダナオ 島
f ボルネオ 島
g スラウェシ 島
h モルッカ 諸島
i ジャワ 島
j スマトラ 島
1 紅河
2 メコン川
3 チャオプラヤ川
4 イラワディ川
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イ.インド・中国文明の受容と東南アジア世界の形成
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A 文明の形成
・前2000年紀末 ベトナム・タイ東北部に青銅器文明が起こる。
・中国文明の影響 前5世紀頃、a ベトナム の北部にb ドンソン文化 が成立。 → c 銅鼓 (右図)が特徴 → 東南アジア全域に広がる。 同じ頃、中南部ベトナムの海岸には漁撈文化のサーフィン文化があった。 ▼ |
c 銅鼓 |
B 中国王朝のベトナム北部支配(次章で詳述)
・前3世紀末 a 秦の始皇帝 中国南部とベトナム北部に進出、南海郡など三郡を置く。
→ その死後、b 南越 が一時自立。
・前2世紀末 c 漢の武帝 ベトナム北部に交趾、九真、日南の三郡を置いて支配。(後出)
▲後1世紀 後漢の支配に対し、d 徴姉妹の反乱 起きる。
→ その後も中国各王朝のベトナム北部の支配続く。
→ その死後、b 南越 が一時自立。
・前2世紀末 c 漢の武帝 ベトナム北部に交趾、九真、日南の三郡を置いて支配。(後出)
▲後1世紀 後漢の支配に対し、d 徴姉妹の反乱 起きる。
→ その後も中国各王朝のベトナム北部の支配続く。
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C 扶南 の建国 東南アジア最古の王朝。
・紀元前後 a メコン川 の下流域、現在のベトナム南部からカンボジアにかけて建国。
人種系統はクメール人説とマライ=ポリネシア系説がある。
・建国神話 インドから来航したバラモンとこの地の女性が結婚して建国したと伝える。
b オケオ遺跡 の発掘。ローマの貨幣やインドの神像が出土。 = インド化の始まり。
→ 6世紀ごろまで、海上貿易に従事しc 港市国家 として繁栄。
人種系統はクメール人説とマライ=ポリネシア系説がある。
・建国神話 インドから来航したバラモンとこの地の女性が結婚して建国したと伝える。
b オケオ遺跡 の発掘。ローマの貨幣やインドの神像が出土。 = インド化の始まり。
→ 6世紀ごろまで、海上貿易に従事しc 港市国家 として繁栄。
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D チャンパー ベトナム中部に建国
・2世紀末 インドシナ半島東南部(中部ベトナム)でマライ=ポリネシア系のa チャム人 が建国。
= 中国でb 林邑 (後に環王、占城)と言われる。海上交易、中継貿易で活動。
→ 後漢の支配から自立し、インド文化を受容しはじめる。
→ 北のベトナム人、南のクメール人と抗争しながら、17世紀ごろまで存続する。
= 中国でb 林邑 (後に環王、占城)と言われる。海上交易、中継貿易で活動。
→ 後漢の支配から自立し、インド文化を受容しはじめる。
→ 北のベトナム人、南のクメール人と抗争しながら、17世紀ごろまで存続する。
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E インド化 の進展
・4~5世紀 インドにおけるa グプタ朝 の繁栄。 → インド船の活発な来航。
その内容:b ヒンドゥー教・仏教の伝来
c 王権の概念やインド神話の影響
d サンスクリット語やインド文字の使用
他に、インド式建築様式の影響などが見られる。
その内容:b ヒンドゥー教・仏教の伝来
c 王権の概念やインド神話の影響
d サンスクリット語やインド文字の使用
他に、インド式建築様式の影響などが見られる。
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・メコン川中流域の諸国家
A クメール人 の国家形成
・6世紀 メコン川中流域にa カンボジア を建国 = 中国ではb 真臘 という。
7世紀 メコン下流に進出、c 扶南 を滅ぼす。クメール文字をつくる。(右図)
8世紀 北の陸真臘、南の水真臘に分裂。
7世紀 メコン下流に進出、c 扶南 を滅ぼす。クメール文字をつくる。(右図)
8世紀 北の陸真臘、南の水真臘に分裂。
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B アンコール朝 の統一
・9世紀 カンボジア北西部を中心にクメール人の統一国家(真臘)を再建。都a アンコール 。
9世紀末に王城=b アンコール=トム (「大きな都」の意味)を建設。
9世紀末に王城=b アンコール=トム (「大きな都」の意味)を建設。
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C アンコール朝の全盛期
・12世紀前半 a スールヤヴァルマン2世 がb アンコール=ワット を建設。
= はじめc ヒンドゥー教 寺院として造られた東南アジア最大の文化遺産。 『マハーバーラータ』や『ラーマーヤナ』などの物語のレリーフがある。 ・13世紀初め h ジャヤヴァルマン7世 仏教を信仰し、 b アンコール=ワット を仏教寺院に造り替える。 → 一時インドシナ半島全域に支配を及ぼすが、その死後、次第に衰退する。 ▼ |
b アンコール=ワット |
・イラワディ川流域(現在のミャンマー)の諸国家
A 諸民族の活動
・下流域にはオーストロネシア系のa モン人 が、チャオプラヤ川流域にかけて居住。
→ 9世紀ごろ、港市国家ペグーがベンガル湾交易で繁栄。
・中流域にはシナ=チベット系のb ピュー 人が国家を形成。
→ 8世紀ごろ、上座部仏教を受け入れ、仏教文化が栄える。9世紀に衰退。
・中国南西部からチベット=ビルマ系のc ビルマ人 が南下。8、9世紀に先住のモン人やピュー人を制圧。
→ 9世紀ごろ、港市国家ペグーがベンガル湾交易で繁栄。
・中流域にはシナ=チベット系のb ピュー 人が国家を形成。
→ 8世紀ごろ、上座部仏教を受け入れ、仏教文化が栄える。9世紀に衰退。
・中国南西部からチベット=ビルマ系のc ビルマ人 が南下。8、9世紀に先住のモン人やピュー人を制圧。
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B パガン朝 の成立
・11世紀 a ビルマ人 が建国。現在のビルマ(ミャンマー)ほぼ全域を初めて統一。
→ スリランカと交流しb 上座部仏教 を受け入れ、多くのc 仏塔・寺院 を建設。
▲そのためd 建寺王朝 といわれる。財政難に陥り衰退。
→ ▲インド系の文字からビルマ文字を作る(右図)。
・13世紀 e 元 の侵入によって滅びる。
→ ▲北部:シャン人のアヴァ朝、中部:ビルマ人のトゥングー朝、南部:モン人のペグー朝が分立。
→ スリランカと交流しb 上座部仏教 を受け入れ、多くのc 仏塔・寺院 を建設。
▲そのためd 建寺王朝 といわれる。財政難に陥り衰退。
→ ▲インド系の文字からビルマ文字を作る(右図)。
・13世紀 e 元 の侵入によって滅びる。
→ ▲北部:シャン人のアヴァ朝、中部:ビルマ人のトゥングー朝、南部:モン人のペグー朝が分立。
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・チャオプラヤ川流域(現在のタイ)の諸国家
A ドヴァーラヴァティ王国 の成立
・7世紀ごろ オーストロネシア系のa モン人 (現在のタイ人とは別系統)が建国。
→ 唐にも遣使。b 上座部仏教 ひろがる。
→ 唐にも遣使。b 上座部仏教 ひろがる。
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B▲ タイ人 の南下
11~12世紀 中国南部の雲南地方から南下し移住、インドシナ半島各地に広がる。
13世紀 a モンゴル人 に圧迫され、チャオプラヤ川流域に移住。(後出)
→ はじめ、クメール朝の支配を受ける。15世紀までに自立してタイ人の国家を建設。
13世紀 a モンゴル人 に圧迫され、チャオプラヤ川流域に移住。(後出)
→ はじめ、クメール朝の支配を受ける。15世紀までに自立してタイ人の国家を建設。
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・ベトナムの動向
A 大越国 の建国
・ベトナム北部:10世紀に中国のa 唐 の衰退し、周辺諸民族の自立が進む。
・1009年 b ベトナム人 が自立し、最初の王朝c 李朝 を建て、国号をA 大越国 とする。
都は昇竜(ハノイ)。紅河流域一帯を支配。
→ 科挙制度、儒教、仏教など中国文明を受容しつつ、宋の侵入を撃退。
・ベトナム中部:チャム人のd チャンパー 、インドの影響を受けた寺院建築を残す。
→ 中国では占城と言われ、この地原産のe 占城稲 が宋に伝えられる。(後出)
→ 北部のA 大越国 、および南部のf アンコール朝 と抗争する。
・1009年 b ベトナム人 が自立し、最初の王朝c 李朝 を建て、国号をA 大越国 とする。
都は昇竜(ハノイ)。紅河流域一帯を支配。
→ 科挙制度、儒教、仏教など中国文明を受容しつつ、宋の侵入を撃退。
・ベトナム中部:チャム人のd チャンパー 、インドの影響を受けた寺院建築を残す。
→ 中国では占城と言われ、この地原産のe 占城稲 が宋に伝えられる。(後出)
→ 北部のA 大越国 、および南部のf アンコール朝 と抗争する。
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B 陳朝 の成立
・13世紀 李朝の外戚陳氏が王位を奪い建国。李朝と同じく科挙制度、儒教、仏教を受容。
→ a 元 のフビライの侵攻を受け撃退。(後出)
→ 漢字をもとに独自の文字であるb 字喃(チュノム) ※をつくる。※補足:
→ a 元 のフビライの侵攻を受け撃退。(後出)
→ 漢字をもとに独自の文字であるb 字喃(チュノム) ※をつくる。※補足:
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・諸島部のインド化
A シュリーヴィジャヤ王国
・7世紀 マレー人が建国。中心都市パレンバン。中国名を室利仏逝(または三仏斉)といった。
→ a スマトラ島 を中心にb マラッカ海峡 など海上交通の要地を抑え、港市国家として繁栄。
→ 唐僧c 義浄 、インド往復の際に訪れ、d 大乗仏教 の繁栄の状況を伝える。(後出)
→ 海上交易に積極的に乗りだし、一時インドシナ半島にも進出。唐にも使節を派遣。
→ a スマトラ島 を中心にb マラッカ海峡 など海上交通の要地を抑え、港市国家として繁栄。
→ 唐僧c 義浄 、インド往復の際に訪れ、d 大乗仏教 の繁栄の状況を伝える。(後出)
→ 海上交易に積極的に乗りだし、一時インドシナ半島にも進出。唐にも使節を派遣。
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B シャイレンドラ朝
・8~9世紀 a ジャワ島 中部を中心に海上交易で栄えた港市国家。
a 大乗仏教 を手厚く保護した。 → b ボロブドゥール 寺院※の建造。 ※14世紀ごろ倒壊、1814年ジャワ副総督のラッフルズ(英人)が発見した。 ▼C ヒンドゥー文化の形成
・8世紀 ジャワ島中部のa マタラム朝 (古マタラム国)
b ヒンドゥー教 を信仰する。 → ▲ヒンドゥー寺院のプランバナン寺院を建設。 |
b ボロブドゥール |
・▲10世紀 ジャワ島東部のc クディリ朝 『マハーバーラタ』・『ラーマーヤナ』の翻訳。
→ ワヤン=クリ(影絵芝居)が始まる。 →13世紀のシンガサリ王国、元の侵攻を受ける。(後出)
→ ワヤン=クリ(影絵芝居)が始まる。 →13世紀のシンガサリ王国、元の侵攻を受ける。(後出)
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15世紀から島嶼部のイスラーム化が始まる。
7~8世紀の東南アジア
a カンボジアb チャンパー
c ピュー
d ドヴァーラヴァティ
e シュリーヴィジャヤ
f シャイレンドラ
1 オケオ 遺跡
2 アンコール=ワット
3 パレンバン
4 ボロブドゥール