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第15章 二つの世界大戦

1 第一次世界大戦とロシア革命

Text p.298

ア.第一次世界大戦の勃発 用語リストへ
 サライェヴォ事件  a 1914年  6月28日:b ボスニア の州都で

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・c オーストリア の皇位継承者( フランツ=フェルディナント )夫妻が
 d セルビア 人の民族主義者に狙撃され死亡。
・7月28日 c オーストリア がe セルビア に宣戦布告。第一次世界大戦始まる。
  → f ドイツ はオーストリア支持、g ロシア はセルビアを支持。
  → 8月、f ドイツ がg ロシア ・h フランス に宣戦。
    さらに中立国i ベルギー に侵入。j イギリス 、それを口実に参戦。
 第一次世界大戦  1914年~1919年
・ ┌───── a 連合国  ──────┐ ┌──── g 同盟国  ────┐
  │                   │ │                │
  │┌──── b 三国協商  ────┐│ │┌─── h 三国同盟  ──┐│
  ││                 ││ ││              ││
  ││c イギリス・フランス・ロシア  ││対││i ドイツ・オーストリア  ││
  ││                 ││ ││              ││
  │└─────────────────┘│ │└──────────────┘│
  │                   │ │                │
  │ d セルビア  モンテネグロ   │立│  j オスマン帝国 ・    │
  │                   │ │                │
  │ e イタリア  f 日本   など │ │  k ブルガリア       │
  │                   │ │                │
  └───────────────────┘ └────────────────┘
・e イタリア は、「未回収のイタリア」の回収を目指し、l ロンドン秘密条約 
   三国同盟を離脱。 → 1915年、連合国側として参戦。
・f 日本 はl 日英同盟 に基づき参戦。(イギリスは日本の本格参戦には反対。)
   → 1914年 ドイツ領n 南洋諸島 を占領、ドイツの租借地膠州湾のo 青島 を占領。
・p 第2インターナショナル 傘下の社会主義者も戦争を支持 → 事実上解体する。
・主要国のq 挙国一致体制  :諸政党が戦争遂行の立場で政府を支持。
  イギリス:▲r ロイド=ジョージ 内閣  フランス:▲s クレマンソー 内閣
C 大戦の長期化  ドイツは▲a シュリーフェン計画 にもとずく戦略を実施。
・1914年9月 ドイツ軍、b フランス に侵入。c マルヌの戦い で阻止される。
 同  年10月 イープルの戦い ベルギー西部で両軍が17年秋まで対峙。
  → c 西部戦線  膠着状態に。両軍による塹壕戦が長期化。

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 1914年8月 e タンネンベルクの戦い  独軍、露軍を破る。f 東部戦線 も膠着。
 1915年4月 イギリス軍、ダーダネルス海峡の ガリポリ上陸作戦  →トルコ軍に阻まれる。
  → ▲オスマン帝国軍によるアルメニア人に対する虐殺事件起きる( アルメニア問題 )。
 1916年 ▲ドイツ軍g ヴェルダン要塞 攻撃、連合軍h ソンム の反撃、いずれも失敗。
 同  年 英独主力艦隊、▲i ユトランド沖 で衝突。 → ドイツ軍劣勢となる。
・新兵器の出現
 i 航空機 ・j 毒ガス ・k 戦車 ・l 潜水艦 など
毒ガス

 毒ガス  

戦車

 戦車  

潜水艦

 潜水艦  

 アメリカの参戦  当初a モンロー主義 により、参戦せず中立を守る。
・戦争の長期化 → 連合国側による経済封鎖で、ドイツと海外の貿易を断つ。
  → ドイツの潜水艦による無差別攻撃 →
 1915年 イギリス商船b ルシタニア号 撃沈され、アメリカ人乗客犠牲に。
 1917年 ドイツ c 無制限潜水艦作戦 を宣言。
 同  年4月 アメリカ合衆国、協商側に参戦。a モンロー主義 の基本方針を転換した。
 → 経済援助を強化。軍需物資供給や借款を増大。
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イ.戦時外交と総力戦 用語リストへ
 秘密外交 の展開
・a ロンドン秘密条約  1915年 英・仏・露がb イタリア に対し、大戦後の
   「c 未回収のイタリア 」の割譲を約束。その見返りに連合国側に参戦。
・イギリスの秘密外交の矛盾:
 d サイクス=ピコ協定  1916年 大戦後のe オスマン帝国領 を英仏で分割を密約
   → 次いでロシアも加わる。同時にパレスチナの国際管理を取り決めた秘密協定。
 f フセイン=マクマホン協定  1915年 英とメッカの総督 フセイン との協定。
   → 戦争協力を条件に、現地のg アラブ人 には独立を約束。
   1916年 フセインが ヒジャーズ王国 を建国。英人▲h ロレンス が支援、指導。
 i バルフォア宣言  1917年 大戦後のj ユダヤ人 の国家建設支援を約束する。
   → ユダヤ系財閥などの経済協力を期待。
 影響k アラブとユダヤ双方に矛盾する約束を与え、現在に続くパレスチナ問題の要因となった。 
・他にl インド自治の約束 。戦争協力を条件に戦後の独立を約束。→履行されず。
 総力戦体制   a 帝国主義戦争 であることが必然的に総力戦をもたらした。
・政府に強力な権限を集中。軍事最優先の施策。
  b 軍需工業 中心の産業再編成。 → 女性、青少年の軍需工場への動員。
  c 食料配給制 などの国民生活の統制。
  経済統制の強化。輸出入の制限。
  反戦、反国家的な言動の取り締まりなど、d 言論統制 の強化。
 → 海外からの資源に依存する度合いの強いドイツ、オーストリア、ロシアで矛盾強まる。
 → 食糧暴動、反戦ストライキが頻発。戦争協力の条件としての参政権拡大要求も強まる。

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C 第一次世界大戦の終結 1917年以降、ドイツ国内の食糧不足が深刻となる。
・1917年 a ロシア革命 勃発(後述) → 1918年3月 ドイツと単独講和。
  → ドイツ、西部戦線で大攻勢にでるが、連合軍が反撃。
・1918年1月 アメリカ大統領ウィルソン、14カ条の平和原則提唱(後出)
 1918年秋 ブルガリアとオスマン帝国が降伏。オーストリア、単独で休戦協定締結。
  → b オーストリア=ハンガリー帝国 の解体。ハンガリー分離し共和国となる。
・1918年11月 ドイツ c キール軍港の水兵反乱 。→ d ドイツ革命 始まる。
  → 皇帝ヴィルヘルム2世オランダに亡命、 e ドイツ共和国 成立。
 f 1918 年11月11日 ドイツ、連合国と休戦協定締結し大戦終結。
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ウ.大戦の結果 用語リストへ
 第一次世界大戦の結果のまとめ
 ・a ドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー帝国帝国・ロシア帝国の旧帝国の消滅。 
   → 中世以来の専制国家がここで終焉した。
 ・b イギリスの没落 : 戦勝国であったが、戦争で疲弊し、植民地の独立運動にも直面。
   → 「大英帝国」の繁栄が終わった。

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 ・新たな情勢
  c 社会主義国ロシアの出現  ┐ 
                 ├─ 新たな国際秩序と対立軸の成立。
  d アメリカ合衆国の繁栄   ┘  
 
 ・e 東欧諸国の独立  : ハンガリー・チェコスロヴァキアは旧オーストリアから分離独立。
   ユーゴスラビアの成立。ポーランド、バルト三国がロシア帝国の支配から自立。(後出)
 ・f 民族主義運動の激化  :アジア各地の植民地や従属国で「民族自決」の気運が高まる。
   = 三・一運動、五・四運動、インドの独立運動、トルコ共和国の成立、エジプトの独立など。(後出)
 ・国民合意の形成、国家による強力な経済介入、社会政策といった現代国家のスタイルが出現。
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エ.ロシア革命 用語リストへ
A 大戦の長期化 東部戦線でのロシアの敗北 → 資本家層の政府への不満。
・戦争の長期化 → 食料・燃料の不足 → 労働者・農民の不満強まり各地の蜂起始まる。
・宮中では皇帝a ニコライ2世 がb ラスプーチン を重用し、政治が混乱。
  → 1916年 中央アジア諸民族が、動員反対の暴動。
・1917年 c ロシア革命 勃発。(1904年の第1次につぐ、第2次)
 三月革命 (ロシア暦二月革命)
・a 1917 年3月 b ペトログラード でデモ、ストライキが起こる。
  → 労働者・兵士の反乱に発展。労働者と兵士のc ソヴィエト が成立。
・d ニコライ2世 退位しロマノフ朝崩壊。(ロシア暦で二月革命)

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 立憲民主党を中心としたe 臨時政府 樹立。= 資本家・地主層の支持するブルジョア政権。
 社会革命党とメンシェヴィキも臨時政府支持。議会の招集と戦争継続を決定。
  → 臨時政府とソヴィエトとのf 二重権力 の状態となる。
※意義:g 帝政から共和制に移行したが、ブルジョワ権力と労働者農民の権力が並立した。 
レーニン

 レーニン  

 四月テーゼ  a レーニン 、亡命先のスイスから 封印列車 で急きょ帰国。
・1917年4月 ボリシェヴィキの指導者a レーニン が発表。
   = 戦争の即時中止と「b すべての権力をソヴィエトへ 」と主張した。
  同  年7月 エス・エル右派のc ケレンスキー 内閣、ボリシェヴィキ派を弾圧。
  同  年8月 反革命派コルニーロフのクーデタを起こす。臨時政府、鎮圧できず。
   → 武装したボリシェヴィキ派が反革命クーデターを鎮圧。
 十一月革命 (ロシア暦十月革命) 1917年11月 a ボリシェヴィキ武装蜂起 
・1917年11月7日 冬宮を占領。b レーニン 、c トロツキー が指導、ケレンスキー内閣を倒す。
  → 翌日、d 全ロシア・ソヴィエト会議 、新政権(e 人民委員会議 )の樹立を宣言。
  → ボリシェヴィキを中心に、エス・エル左派が参加した革命政権= ソヴィエト政権 が成立。
・革命の基本方針を発表
 f 「平和についての布告」 :g 無賠償・無併合・民族自決 による講和を提唱。
 h 「土地についての布告」 :地主の土地を補償無しに没収、農民に与える。
  → 11月 i 憲法制定議会 総選挙、社会革命党が第一党、ボリシェヴィキは第二党に終わる。
※意義 j ブルジョワ共和政に代わり労働者のソヴィエト政権が樹立された社会主義革命。 
・18年~19年 ロシア領からk フィンランド 、l バルト三国 、m ポーランド 独立。
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オ.ソヴィエト政権と戦時共産主義 用語リストへ
 ボリシェヴィキ独裁 体制を樹立
トロツキー

 トロツキー  

・1918年1月 レーニン指導のボリシェヴィキ、a 憲法制定議会 を武力で閉鎖、
  → 議会政治を否定、ソヴィエトを基盤としたb 社会主義 政権の樹立をめざす。
・ 同  年3月 ドイツと単独講和 c ブレスト=リトフスク講和条約 を締結。
    外務委員d トロツキー 、領土割譲を認めたがドイツの敗北で無効となる。
  → エス・エル左派、講和条約に反対して連立政権から離脱。
  同  年3月 ボリシェヴィキ e 共産党 と改称、首都をf モスクワ に移す。
・ 同  年7月  ロシア=ソヴィエト社会主義連邦共和国 (RSFSR)成立。新憲法を制定。
  全国にg ソヴィエト を設け、国家権力の基盤とする。
  選挙権は18歳以上の労働者・農民・兵士に与え、男女同権を認める。
  h 共産党 以外の政党は禁止される。
  i 地主の土地を無償で没収し国有地とし、農民に分配。 
  労働者が工場を管理し、h 工業の国営化 を進める。銀行、外国貿易の国家管理。
  → プロレタリア独裁による社会主義国家の建設をめざす。
 反革命政権  との戦い
・帝政派、社会革命党などが各地に反革命政府を樹立。コルチャーク、デニーキンなど。
  → 白軍と言われ、イギリスや日本などの干渉軍と協力して、革命政権の赤軍と戦う。
・1918年4月 イギリス・フランス、チェコ兵救出を口実に出兵 a 対ソ干渉戦争 始まる。
  同  年8月 日本・アメリカのb シベリア出兵 → ニコライエフスク事件起きる。
・反革命、干渉戦争に対する革命の防衛強化。
 1917年 c チェカ (非常委員会):反革命やサボタージュの取り締まり。
 1918年 d 赤軍 を組織、徴兵制。反革命軍と干渉軍を破る(e トロツキー 指導)
 戦時共産主義   1918~21年 反革命と干渉軍から革命を防衛のための政策。
・a レーニン の指導で、”すべてを戦線へ”を掲げ、次のような施策をとる。
 私企業の一切禁止、中小工場の国有化。
 労働義務制と食料配給制をとる。
 労働者、兵士の食料の確保のため、b 農民から穀物を徴発 
・その結果、c 農民の生産意欲が落ち、生産が低下 し、経済混乱。飢饉が起こり、餓死者も出る。
 一方、1920年頃までに反革命勢力は抑えられ、干渉軍も撤退する。→ 日本は22年まで。
 コミンテルン の設置 社会主義の世界革命をめざす指導機関。本部a モスクワ 

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・1919年3月結成 共産主義インターナショナル(b 第3インターナショナル )の略称
  → c ドイツ革命 の失敗。同年、コミンテルンが指導したd ハンガリー革命 も失敗。
  → ポーランド・トルコ・中国などの民族運動を支援。 → e 中国 を除いて失敗。
 1920年 ▲f ソヴィエト-ポーランド戦争  ポーランドが領土拡大を狙い、ロシア侵入。
  → ソヴィエト赤軍が反撃したが、1920年、ワルシャワでポーランド軍に大敗する。
 1921年 ▲g クロンシュタット反乱 起こる。軍港の水兵と労働者がソヴィエト政権に
    反発して暴動を超し、民主化と自由を要求。 → 反革命として弾圧さえる。
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カ.ネップとソ連の成立 用語リストへ
 新経済政策(NEP)  1921年 戦時共産主義を転換し、生産力の回復を目指す。
・穀物徴発制を廃止。
・a 農民の余剰生産物の自由販売 を認める。
・小規模なb 私企業の私的営業 を許す。(銀行・大工業・貿易の国営は維持。)
  → 農民の生産意欲の向上・商業の復活。27年ごろまでに生産が戦前水準に戻る。
  → 各地に富を蓄えた小地主(ネップマン)や富農(クラーク)が出現。
 ソヴィエト社会主義共和国連邦  の成立
ソ連国旗

B ソ連 国旗 1936年制定

・1920~21年 旧ロシア帝国内の諸民族の地域に次々とソヴィエト政権が成立。
・1922年 a ロシア ・b ウクライナ ・c ベラルーシ ・d ザカフカース 
  の4共和国が連邦 = 略称e ソ連 (USSR)を結成。
  → 15のソヴィエト共和国、20の自治共和国となる。  →1991年 崩壊。
・1924年1月 f ソヴィエト社会主義憲法 (ソ連憲法)確定。 
   全連邦ソヴィエト大会を最高機関とし、ソ連中央執行委員会が代行する。
   民族自決の権利、プロレタリアート独裁の過渡的憲法とされた。
補足:中央アジアのソ連邦加盟と民族問題
C ▲国際社会への復帰
 ・ソ連のA 新経済政策(NEP) への転換を受けて、通商関係、外交関係が回復した。
  1921年  英ソ通商協定 成立。資本主義国との通商関係始まる。
 ・各国のa ソ連承認 
  1922年 b ラパロ条約 :最初にドイツと国交を樹立。
  1924年 イギリスのマクドナルド労働党内閣がソ連承認。
  1925年  日ソ基本条約 が締結される。
 ※アメリカは最も遅れ、1933年にローズヴェルト大統領のときに承認した。
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この節の小見出し
ア.第一次世界大戦の勃発
イ.戦時外交と総力戦
ウ.大戦の結果
エ.ロシア革命
オ.ソヴィエト政権と戦時共産主義
カ.ネップとソ連の成立

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界