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第8章 アジア諸地域の繁栄

4 ムガル帝国の興隆と衰退

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ア.ムガル帝国の成立とインド=イスラーム文化の開花 用語リストへ
 ムガル帝国 の建国 
・ティムールの子孫a バーブル 、アフガニスタンの カーブル から北インドに侵入、
 1526年 b パーニーパットの戦い でデリー=スルタン朝最後の王朝ロディー朝を破り
   デリーを占領、c ムガル帝国 ※を創始。スンナ派イスラーム教を信奉。
   = ペルシア語、アラビア語に通じ、回想録 『バーブル=ナーマ』 を残す。
  ※この国名はモンゴル人のの国の意味である。ティムールはトルコ系モンゴル人であった。
・▲第2代 フマーユーン ベンガル地方のアフガン勢力にデリーを奪われ、サファヴィー朝に亡命。
  → サファヴィー朝の支援でデリーを奪回する。
 アクバル  第3代 1556年即位 首都をa アグラ に移す。
 ▲さらに1569年に新都ファテープル=シークリーを造営。後、ラホールに移る。
・1576年までにラージプート諸侯を従え、インドの大半を支配。

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・官僚制の整備と中央集権化
 b マンサブダール制 ※:位階に応じた給与地を与える制度。
  官僚に位階(マンサブ)を与えて等級をつけ、位階に応じて騎兵・騎馬の数を定め、
  それに応じた給与地(c ジャーギール という徴税権の形をとる)を与える。
 → その実施を通じ、全国土を測量して徴税する制度を導入。
解説:
C.新宗教への対応
・15~16世紀 イスラーム教とヒンドゥー教の融合が進む。
 a カビール  ヒンドゥー教のバクティ信仰とイスラーム教のスーフィズムの融合を説く。
   → 人類は平等であると主張して、不可触民への差別を否定した。
 b ナーナク  aの影響を受け、愛と献身によりカーストの区別無く解脱できると説く。
   →c シク教 の成立。
 = イスラームの影響を受けたヒンドゥー教の改革派。パンジャーブ地方にひろがる。
・d アクバル 帝のヒンドゥー教徒との融和政策
 1564年 e 人頭税(ジズヤ)の廃止 
  自らもヒンドゥー教徒の女性と結婚、官吏にヒンドゥー教徒を登用。
 ▲新宗教 スーフィー信仰による一神教(ディーネ=イラーヒー)を創出。宮廷外には普及せず。
・第4代  ジャハンギール (在位1605~27年) ヒンドゥー教徒との融和政策を継承。
  → イラン(シーア派)のサファビー朝 アッバース1世 と争う。
タージ=マハル

 タージ=マハル  

 インド=イスラーム文化 の成熟。
・a シャー=ジャハーン  第5代 在位1628~58年
 宮廷中心にイラン文化とインド文化の融和が進む。
・絵画:b ミニアチュール(細密画) の発達。
 → ▲c ムガル絵画 と▲d ラージプート絵画 に発展。
・e ウルドゥー語 :公用語の ペルシア語 とインドの地方語と融合。
 →現パキスタンの国語。インド人の言葉はf ヒンディー語 という。
・文学:『バーブル=ナーマ』、『 アクバル=ナーマ 』などの編纂。
・建築:g タージ=マハル  シャー=ジャハーンの王妃の廟。右図
 = インド様式とイスラーム様式の融合したムガル時代の代表的建築。

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★ムガル帝国時代の南インド
 14世紀 a ヴィジャヤナガル (ヒンドゥー教の王国)が成立
  → 16世紀初め、全盛期となる。綿花・サトウキビなどの交易で栄える。
  → 17世紀以降、ムガル帝国などイスラーム勢力との抗争で衰える。
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イ.ムガル帝国の衰退と地方勢力の台頭 用語リストへ
 アウラングゼーブ帝  第6代 在位1658~1707年 
・外征を繰り返しa デカン高原 を征服し、ムガル帝国の領土最大となる。
・支配の弱体化が始まる。
 農村・都市で商品生産が活発になるが、支配層は地租の徴収の強化だけに努める。
・宗教政策の転換
 b イスラーム教(スンナ派)信仰を強化し、アクバル帝以来の融和政策を放棄。 
  → ヒンドゥー教寺院を破壊。
・1677年 c 人頭税(ジズヤ)の復活 
  → 南西部のラージプート族や、デカン高原のマーラーター族などの反発強まる。
 地方勢力の台頭 
・a マラーター王国 。デカンのヒンドゥー教徒を率いた▲ シヴァージー が王国を建国。
   ムガル帝国に反抗。後に マラーター同盟 となる(イギリスのインド支配に抵抗)。
・b シク教徒 の反乱。西北インド(パンジャブ地方)で反乱を起こす。
・1707年 c アウラングゼーブ帝 の死後、帝位継承をめぐる争いが続く。
  → ベンガル、デカンに独立政権ができる。
  → ムガル帝国の衰退。デリー周辺のみを支配する地方政権となる。
ムガル帝国の時代は同時にイギリス・フランスなどのインド進出が強まった時代だった。
  → 参照 第10章 ヨーロッパ諸国の海外進出 2節 アジア市場の攻防

ムガル帝国の領域の拡大

ムガル帝国の領土

  1. バーブル の時の領土
  2. アクバル の時の領土
  3. アウラングゼーブ の時の領土
 重要地名
  a. カーブル 
  b. デリー 
  c. アグラ 
  d. ボンベイ(ムンバイ) 
  e. ゴア 
  f. カリカット 
  g. ポンディシェリ 
  h. マドラス(チェンナイ) 
  i. カルカッタ(コルカタ) 
  j. シャンデルナゴル 
 主な反ムガル勢力
  A. シク教徒 
  B. ラージプート諸侯 
  C. マラーター王国 


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この節の小見出し
ア.ムガル帝国の成立とインド=イスラーム文化の開花
イ.ムガル帝国の衰退と地方勢力の台頭

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界