印刷 |  通常画面に戻る |

第5章 イスラーム世界の形成と発展

3 インド・東南アジア・アフリカのイスラーム化

Text p.119

ア.イスラーム勢力の進出とインド 用語リストへ
 イスラーム勢力の侵入 
・a ガズナ朝  10世紀末 アフガニスタンのトルコ系王朝。 マフムード が北インドに侵入。
・b ゴール朝 12世紀後半 イラン系。北インドも支配。
 → 民衆にイスラーム教を強制し、ヒンドゥー教の寺院や神像を破壊。
   ヒンドゥー教徒(c ラージプート という)は分裂していたため、対抗できず。

ガズナ朝とゴール朝

ガズナ朝とゴール朝

  A. ガズナ朝 
  B. ゴール朝 
 主な地名
  a. サマルカンド 
  b. ブハラ 
  c. バルフ 
  d. ゴール 
  e. ガズナ 
  f. ラホール 
  g. デリー 



 デリー=スルタン朝 
・a 奴隷王朝 :1206年 ゴール朝の将軍b アイバク ※(奴隷出身)が
  c デリー に自立。
 = アッバース朝カリフからスルタンの称号を認められたトルコ系イスラーム王朝。
   インド最初のイスラーム建築であるクトゥブ=ミナールを建設。
解説:
・d ハルジー朝 :1290~1320年 トルコ系。一時、インドほぼ全域を支配。
   → モンゴルの侵攻を防ぐ。地租の金納化などの経済改革を行う。
・e トゥグルク朝 :1320~1413年 トルコ系。南インドも支配。
   → アラブの旅行家イブン=バットゥータが訪れる。
  1398年 ティムールの侵攻を受け衰退。
・f サイイド朝 :1414~1451年 トルコ系。ティムールの部将が建国。
   → デリー周辺のみを支配。
・g ロディー朝 :1451~1526年 アフガン系。バーブルに敗れ滅亡(後出)。
クトゥブ=ミナール

クトゥブ=ミナール

Text p.120

・▲南インドの状況
 デカン高原:1347年 バフマン朝が成立。トゥグルク朝の武将が独立。イスラーム教国。
  → 16世紀初めまでに5王国に分裂。ムガル帝国に征服される。
 南インド:1336年 ヴィジャヤナガル王国が成立。ヒンドゥー教国。インド洋交易で繁栄。
  → 16世紀に全盛期となるも、イスラーム勢力との抗争により次第に弱体化し、各地に土豪が自立。
 ★1498年、ヴァスコ=ダ=ガマがカリカットに到達、ポルトガルの進出始まることに注意。
 インド=イスラーム文化  の成立
・イスラーム勢力の進出 → インドでのa 仏教 の消滅、ヒンドゥー寺院の破壊
 実際の統治ではイスラーム信仰は強制されず、民衆に受け入れられる。
・神への献身を求めるb バクティ 、苦行を通じて神との合体を求めるc ヨーガ信仰 
  に類似したため、d カースト差別 でくるしむ都市民に受容される。
次第にヒンドゥー教との融合も進む。
先頭へ
イ.東南アジアのイスラーム化 用語リストへ
 東南アジアのイスラーム化 始まる。
・8世紀以降 a ムスリム商人 の活動 東南アジアを経由して対中国貿易を行う。
 → イスラーム教、東南アジアに伝えられる。
 12世紀以降、b イスラーム神秘主義(スーフィズム) による布教が活発化。
 ▲13世紀 スマトラ島の サンドラ=パサイ王国 でイスラームが受容される。
  → マルコ=ポーロ、イブン=バットゥータも来訪。
 ▲ジャワ島ではヒンドゥー教国のc マジャパヒト王国 が栄える。
  = 東南アジア最後のヒンドゥー教国となる。
 マラッカ王国   15世紀、国王がイスラームに改宗。
・マライ半島南西部を拠点に、東南アジアの国際貿易都市として繁栄。
  → インドネシアの島々、フィリピン南部(ミンダナオ島)に広がる。
 マタラム王国   16世紀末
・マジャパヒト王国(ヒンドゥー教国)にかわり、ジャワの内陸部を支配。
  → イスラーム、インドネシアに広がる。
  ▲ジャワ島西部にはa バンテン(バンタム)王国 、スマトラ島北部にはb アチェ王国 
  → いずれもポルトガルとの香辛料貿易で栄える。
 現在も東南アジアのマレーシア、インドネシア、フィリピン南部はイスラーム圏
先頭へ
ウ.アフリカのイスラーム化 用語リストへ
1)イスラーム以前のアフリカ
 クシュ王国   ナイル川上流にあった、エジプト以外のアフリカ最古の国家
・前8世紀 一時エジプト王朝を滅ぼす → 前667年 アッシリアが侵入 後退する

Text p.121

  前670年ごろ~後350年a メロエ を都とし繁栄。この間をb メロエ王国 とも言う。
    c メロエ文字 の使用(未解読)
 アクスム王国   4世紀にクシュ王国を滅ぼす。
・アクスム人はセム系民族で、アラビア半島南端のイエメンから、移住したセム系民族。
  アビシニア高原のa エチオピア に王国を建設(前120年頃)。
  4世紀にキリスト教(▲b コプト教会 )を受容する。
2)西アフリカのイスラーム化
 ガーナ王国  8世紀以前に、西アフリカのニジェール川上流域に成立。
・a 金 を産出。ムスリム商人が来訪し、サハラのb 塩 との交易を行う。
  1076年、イスラーム勢力のc ムラービト朝 によって征服される。
  → 西アフリカのイスラーム化か始まる。
・アフリカ中央部のイスラーム教国
  9世紀 ▲d カネム=ボルヌー王国 がチャド湖東岸に成立。11世紀末、イスラーム化。
  → 14世紀にチャド湖西岸に移り再興され、19世紀まで奴隷貿易で繁栄。
 マリ王国   1240~1473 西アフリカ、ニジェール川上流域に成立。
 → マンディンゴ人が建設し、イスラーム教徒が支配。
   交易都市 a トンブクトゥ の繁栄、「黄金の国」と言われる。
  14世紀前半、国王b マンサ=ムーサ ※の時、全盛期となる。
  → アラブの旅行家イブン=バットゥータが来訪。
解説:
 ソンガイ王国   1473~1591 マリ王国を滅ぼしニジェール川上流に成立したイスラーム教国。
・西アフリカの隊商都市を支配、北アフリカ(マグリブ地方)との交易に従事。都はガオ。
  交易都市a トンブクトゥ の繁栄。内陸アフリカにおけるイスラーム信仰の中心となる。
   → 16世紀末、モロッコ(サード朝)の攻撃によって滅亡。
・補足 東海岸の黒人王国
  ベニン王国 ニジェール川河口、現在のナイジェリアに13~17世紀に栄える。(後出)
  コンゴ王国 ザイール川流域に14世紀~19世紀に存続。
 15世紀以降、ポルトガルなどが進出し、奴隷貿易を開始し、黒人王国は衰退する。
3)アフリカ東岸のイスラーム化
 ムスリム商人の進出 
・東海岸にa モガディシュ など、アラビア・イランとの交易による海港が発達。
  →10世紀頃から、ムスリム商人によるインド洋貿易の拠点として海港都市が形成される。
  他に、b マリンディ 、c モンバサ 、d ザンジバル 、e キルワ 
  ▲f モザンビーク 、▲g ソファラ などが繁栄。

Text p.122

 → 海岸部でアラビア語の影響を受けたh スワヒリ語 が共通語として広く用いられる。
 モノモタパ王国  11世紀ごろ ザンベジ川の南部に成立。
・金など鉱物資源とインド洋貿易で繁栄。
 → a ジンバブエ ※の遺跡。11~18世紀に建設された、巨大な石造建築遺跡。 → 解説

アフリカの主な王朝  エジプトの王朝とファーティマ朝までのイスラーム王朝を除く

アフリカの王朝

 主な王朝
  1. クシュ王国 
  2. アクスム王国 
  3. ガーナ王国 
  4. マリ王国 
  5. ソンガイ王国 
  6. ムラービト朝 
  7. ムワッヒド朝 
  8. カネム=ボルヌー王国 
  9. ベニン王国 
  10. コンゴ王国 
  11. モノモタパ王国 

 重要地名
  a. メロエ       b. アクスム 
  c. モガディシュ    d. マリンディ 
  e. モンバサ      f. ザンジバル 
  g. キルワ       h. ソファラ 
  i. ジンバブエ     j. トンブクトゥ 
  k. マラケシュ 


先頭へ

前節へ : 目次へ : 次節へ

ノート表示メニュー
全解答表示
未解答クリア
全解答クリア
印刷メニュー
解答なし
解答あり
この節の小見出し
ア.イスラーム勢力の進出とインド
イ.東南アジアのイスラーム化
ウ.アフリカのイスラーム化

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界