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第17章 現代の世界

4 現代文明

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ア.現代科学と生活・環境の変化
1. 20世紀の科学  
 前半の理論面での進歩、後半では実用化 → 1901年  ノーベル賞 の創設
 ・物理学 a アインシュタイン の相対性理論(1905年、1916年)
  → 原子物理学の発達 → b 原子爆弾 など核兵器の開発・原子力発電への利用
 ・生物学 c DNA の発見(1953) → d バイオテクノロジー に進む。
  → 遺伝子操作技術 → クローン技術の開発とその問題の発生
 ・医学 ペニシリン・e 抗生物質 の導入 → 平均寿命の飛躍的伸び
  → 一方で、AIDS、SARS、BSEなどのあらたな難病の出現
2.科学技術の実用化
 ・ライト兄弟によるa 航空機 の発明(1903) → プロペラ機からジェット機へ
    → 戦争形態の決定的変化・交通機関の変化
 ・第2次大戦中のb ロケット の開発 → 戦後、核ミサイルとともに利用
    → 宇宙開発競争 → 気象・通信・観測衛星としての利用
    1957年 ソ連のc スプートニク1号  世界最初の人工衛星
    1969年 アメリカのd アポロ11号  月面往復に成功

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 ・電子工学(e エレクトロニクス ) レーダー・トランジスタ・集積回路(IC)
    →f コンピュータ の発達 1946に発明 → 1980年代に爆発的普及
    →▲g IT革命 
 ・自動車 g フォード のコンベヤ方式によるオートメーションでの大量生産(1913) 
    → 道路、ガソリン、タイヤなど関連産業の発展 → 生活スタイルの変化
 ・化学工業 人工繊維(h ナイロン )・i プラスティック の開発、PETの発明
3.先進工業国での諸問題
 a 産業構造の変化 = 重厚長大型工業からハイテク産業と金融・流通・サービス産業へ
 b 雇用形態の変化  = 終身雇用制から、実力主義への転換→ 労働組合運動の停滞
 c 高齢化社会  = 医療、社会保障、住宅、などさまざまな問題の発生
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イ.現代文明による危機
1.人口問題 停滞と減少( 少子化 )に直面する先進地域と、a 人口爆発 に悩む発展途上国の格差。
   →b 途上地域から先進地域への人々の移動が先進地域の社会構成に影響している。 
2. 環境問題
 1980年代 先進地域での各種資源の大量消費 → 大量の排泄物・廃棄物の排出 →
  a 地球温暖化 、b 砂漠化 、c オゾン層破壊 など環境汚染と生態系破壊が地球規模の拡大。
  原発事故の発生 1979年 ▲d スリーマイル島 (アメリカ)
          1986年 e チェルノブイリ (ソ連) →現在も深刻な影響
 1992年 地球サミット リオデジャネイロで開催され、▲f アジェンダ21計画 を採択。
 1997年 地球温暖化防止会議(京都)▲g 京都議定書 採択。途上国の反発、米の反対。
3.a グローバリゼーション の問題 あらゆる経済活動が世界的規模となった結果、
  特にアメリカの大企業(強者)によって低開発地域や先進国の弱者が支配されるという問題意識。 
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ウ.現代文明
1. 現代の思想  
 19世紀末~20世紀前半 ニーチェの近代合理主義批判の影響が強い。
 ・▲a 実存哲学 ・ ドイツのヤスパース(『哲学』)・ハイデッガー(『存在と時間』)
    ・フランスのb サルトル (『存在と無』)など不条理の哲学。
 ・c 精神分析学 の創始 d フロイト  無意識(深層心理)の解明。
 ・社会科学 e マックス=ウェーバー   『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
     社会学・宗教学など、近代社会の成立・官僚制などの分析。
 ・f プラグマティズム  ジェームズ、デューイ→ アメリカ合理主義の基盤
 ・マルクス主義 g レーニン 『帝国主義論』、h 毛沢東 『実践論・矛盾論』 
    → ソ連の崩壊に伴う、社会主義思想の後退。価値観の多様化が進む。
 ・▲i 近代経済学 の創始 j ケインズ  『雇用・利子および貨幣の一般理論』1936年
    → 自由放任主義の終焉、経済の安定的発展のための国家の役割の重視(修正資本主義)。
    → ニューディール政策、戦後のイギリス労働党政権、アメリカ民主党政権に影響。
 ・歴史 ▲k シュペングラー  『西洋の没落』 第1次大戦後の西洋文明の衰退を予測。
 20世紀後半の思想
 ・▲a 構造主義   実存主義を主観的な判断に偏りすぎていると批判
   ソシュール(言語学)、モース(社会学)、b レヴィ=ストロース (文化人類学)、
   フーコー(哲学)、ラカン(精神分析)、アルチュセール(哲学)など
    →その克服を目指す脱構築の哲学が起こる。ドゥールーズ、ガタリ、デリダなど
 ・▲c フランクフルト学派  アドルノ、ホルクハイマー、ハーバーマスなど戦後ドイツ思想。
 ・d フェミニズム運動 の台頭 → 性差別批判、ジェンダー=フリーの思想
 ・▲e 新自由主義 (シカゴ学派経済学) 1970年代、ケインズ経済学を批判し台頭。
 ・歴史学 社会史が盛んになる。 → フランスのアナール学派(ブロック、ブローデルなど)
        ウォーラーステイン 『近代世界システム』論

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2.現代の文化
 ・a ヨーロッパ市民文化への批判  → 非ヨーロッパ文明圏の文化の価値認識へ
 ・b アメリカの大衆消費社会  → 大衆文化の隆盛 ジャズ、ミュージカル、映画など
 ・第2次大戦後 大衆文化のアメリカ以外の先進国への拡大
  →c マスコミュニケーションの発達 → ラジオ(1920年)・テレビ(1936年)の普及
 ・通信手段の変革 電話 → d インターネット の普及 → 情報革命(IT革命)
 ・e カウンター・カルチャー  1960年代後半のアメリカの若者に広がった、
  ベトナム反戦運動を背景とした、既成文化に対する「対抗する文化」のこと。
  1969年  ウッドストック の野外コンサート 40万の若者が集まる。
 ・多文化共存への模索が続いている。
 
▲20世紀の主な芸術
1.文学
 ・フランス a ロマン=ロラン  『魅せられたる魂』 『ジャン・クリストフ』
     b アンドレ=ジッド   『狭き門』  c プルースト  『失われた時を求めて』
   実存主義の影響 d カミユ  『異邦人』 e アンドレ=マルロー  『人間の条件』 『王道』
 ・ドイツ f ヘルマン=ヘッセ  『車輪の下』 g トーマス=マン  『魔の山』
     (演劇)h ブレヒト  『三文オペラ』 『ガリレオの生涯』
 ・イギリス(アイルランド) i ジョイス  『ユリシーズ』
     j バーナード=ショー  『人と超人』
 ・アメリカ k ヘミングウェー  『武器よさらば』  l スタインベック  『怒りの葡萄』
 ・ロシア m ゴーリキー  『どん底』  ショーロホフ 『静かなるドン』
   n ソルジェニーツィン  『イワン・デニーソヴィッチの一日』 『収容所列島』
 ・その他 (チェコ)o カフカ  『変身』  (インド)p タゴール (詩人)
      (中国)q 魯迅  『阿Q正伝』
2.美術  19世紀の印象主義の影響を脱する試み。
 ・a 表現主義   パウル=クレーなど主としてドイツで流行
 ・b フォーヴィズム(野獣派)   フランスのマティス、ルオーら
 ・c キュービズム(立体派)   ブラック、d ピカソ  『ゲルニカ』スペイン内戦に取材
 ・ダダイズム → e 超現実主義   ダリ  フロイトの精神分析の影響
 ・メキシコの 壁画運動  1920年代 メキシコ革命の中で シケイロス らが展開した。
3.音楽
 ・フランス 印象派の音楽 a ドビュッシー  『海』、b ラベル  『ボレロ』
 ・ドイツ  c R=シュトラウス  『バラの騎士』  シェーンベルク(12音音楽)
 ・アメリカ d ガーシュイン  『パリのアメリカ人』  e ストラヴィンスキー  『火の鳥』
 ・ロシア  f ショスタコーヴィッチ  『第5交響曲』
 ・現代音楽 シェーンベルク(12音音階)、ウェーベルン、メシアンなど
 ・大衆音楽
  g ジャズ  黒人音楽から発展 ディキシーランドスタイル → スウィング →
     モダンジャズ  ビバップ → ファンキー →  クロスオーバー ……
  h ロック   i エルビス=プレスリー  『監獄ロック』などのスター出現
     1960年代からj ビートルズ の出現
4.新しい芸術分野
 ・a 映画 の発達
  1891年 b エディソン の発明 → 1895年 c リュミエール兄弟 が実用化
   → ヨーロッパ諸国とアメリカで映画制作が始まり、興業化される。
  1910年代 d ハリウッド の全盛期
   サイレント(無声映画)→→ トーキー → カラー化  → シネマスコープ
   → 大衆娯楽、芸術の先端となる。
   e チャーリー=チャップリン 『街の灯』『独裁者』など。マッカーシズムに抗議し離米。
 ・1950年代 f テレビジョン の普及で映画館は衰退。
  1990年代 媒体の多様化が進む。
 
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以上、世界史ノート (山川詳説準拠版)終わり。以下のページを造るのは、皆さん自身です。

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この節の小見出し
ア.現代科学と生活・環境の変化
イ.現代文明による危機
ウ.現代文明

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界