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第9章 近代ヨーロッパの成立

2 ルネサンス

Text p.187

ア.ルネサンス 用語リストへ
 ルネサンス 

Text p.188

・時期:a 14世紀 に始まり、b 15世紀 が最も盛んで、c 16世紀 にひろがる。
 地域:d イタリア 、ついでe ネーデルラント に始まり、西ヨーロッパにひろがる
 意義:f 人間性の自由・解放を求め、個性を尊重しようとする文化運動であった。 
 意味:g ギリシャ、ローマの古典文化を手本とし、それを再生すること。 
 精神:人間らしい生き方の探求=i ヒューマニズム(人文主義、人間主義) 
 背景:j 封建社会 がくずれ、商工業が復興し、都市が発展したこと。
 イタリア・ルネサンス 
★研究:ルネサンスがイタリアに始まった理由を考え、4点にまとめよ。
  a ローマ古典古代の伝統があったこと 
  b 地中海貿易によりビザンツおよびイスラム文化と接触したこと 
  c 地中海貿易による都市の発達と豊かな市民生活の形成があったこと  
  d 大商人・ローマ教皇などによる保護があったこと 
マキァヴェリ

 マキァヴェリ  

C.新しい政治思想の芽生え
・a マキァヴェリ (1469~1527)
 b フィレンツェ 共和国の政治家、歴史家。
  c メディチ 家を追放したサヴォナローラが失脚した後、共和国政庁の書記として
   フランスやローマ教皇庁との外交折衝に当たる。
 1513年頃 d 『君主論』 を著す。(刊行は32年)
  → イタリアの分裂を解消し、統一を実現できる君主の出現を期待した。そのためには
    君主の政治にはf ライオンのような勇猛さと狐のような狡猾さ であると説く。
  = g マキァヴェリズム と言われる近代的政治思想の始まりとされる。  
 内容:e 政治を宗教や道徳から切り離し、現実的な権謀術数による必要があるという思想。 
・補足:その時代背景
 ルネサンス期のイタリア   14~16世紀のイタリアの情勢
・北イタリアの有力な都市共和国と中部のローマ教皇領、南部のナポリ王国に分裂。
・a フィレンツェ :トスカナ地方の中心都市。東方貿易、毛織物生産、金融業で繁栄。
 1434年 金融財閥のb メディチ 家※ フィレンツェの実権を握る。
  ※15~16世紀 ルネサンス最盛期にその保護者となった。
  ▲c コシモ=ディ=メディチ はフィレンツェに▲d プラトン=アカデミー を開設した。
   孫の ロレンツォ=ディ=メディチ は専制君主としてフィレンツェに君臨する。
 1453年 e ビザンツ帝国 の滅亡後、ギリシアから古典学者が多く亡命、
  → フィレンツェのメジチ家の保護を受ける。
・f ミラノ :ロンバルディアの中心都市。毛織物生産、武器生産で繁栄。
   はじめミラノ公ヴィスコンティ家が支配、次いでスフォルツァ家が権力を奪う。
・g ローマ教皇  教皇 ユリウス2世 によるh サン=ピエトロ大聖堂 の修築。
   次いで、教皇 レオ10世 は、その費用を得るために免罪符を発行 → 宗教改革の発端。
D ルネサンスの拡大と限界
・イギリス・フランス・スペインでは国王に保護され、貴族的な性格が強くかった。
 そのため、a 政治・教会・社会体制の批判には至らず、芸術面での革新にとどまった。 
・しかし、次の宗教改革とともに、ヨーロッパの近代社会を生み出す前提となった。
E イタリア・ルネサンスの衰退
 ・1494~1544年 a イタリア戦争  イタリアをめぐるドイツ・フランス・スペインの抗争
   → イタリアが戦場となって荒廃し、文化の中心がイタリアからアルプス以北に移る。
 ・15~16世紀 b 大航海時代 の到来 → 交易の中心、大西洋岸に移る
 イタリア諸都市の衰退。(後出)

Text p.189

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イ.文芸と美術 用語リストへ
1.文芸(文学)と思想
A ルネサンスの文芸  14世紀 イタリアを中心に花ひらく
・イタリア
 a ダンテ :フィレンツェの人、ゲルフとギベリンの争いにまきこまれ、
   追放されてラヴェンナで晩年を過ごす。1293年、『新生』を著す。
   1304~21年b 『神曲』 をラテン語でなくc 口語(トスカナ語) で著す。
    = カトリックの世界観にたちながら人間精神の解放を主張。
 d ペトラルカ :人間の自由を唱った叙情詩人。『抒情詩集』など。
   フィレンツェ生まれだが諸国を遍歴、アヴィニヨンに滞在。
 e ボッカチオ :(フィレンツェ)。1348~53年f 『デカメロン』 人間の赤裸々
   な欲望を描く。近代小説の先駆。
  → 1353年のイタリアでのペストの流行が描かれている。
・イギリス
 g チョーサー :イタリアに旅行しデカメロンの影響を受ける。
    1387~40年 h 『カンタベリ物語』 を著し、中世末期の庶民生活を描く。
エラスムス

 エラスムス 

 ヒューマニスト の活動  15~16世紀 西ヨーロッパ諸国
・古典研究が教会批判と結びつき、人間精神の解放をめざすようになる。
  ロイヒリン :ドイツ 1506年 『ヘブライ語入門』を著す。自由な古典研究を行い、
    カトリックの保守的な神学者によって異端として訴えられる。
 a エラスムス :ネーデルランド 1509年 b 『愚神礼賛』 を著し、人文主義
    によるカトリック教会批判を展開。ルターとは対立し、宗教改革には反対。
 c トマス=モア :イギリス 1516年 d 『ユートピア』 を発表、理想社会を
    描き、当時のイギリス社会を風刺。国王ヘンリー8世の離婚を批判して刑死。
 e ラブレー  :フランス 1532~64年 カトリック教会や社会の因襲を風刺。
    f 『ガルガンテュワとパンタグリュエルの物語』 を著す。
 g モンテーニュ :フランス 1580~88年 ユグノー戦争の時期、h 『随想録』 (エセー)
    を著し、人間性の探求。
シェークスピア

 シェークスピア 

C ルネサンス末期の文学 16~17世紀 各国の国民文化が形成される
  a セルバンテス :16~17世紀 スペイン レパントの海戦に参加して負傷。
   b 『ドン=キホーテ』 による封建制の批判、スペイン風刺文学の傑作とされる。

  c シェークスピア :16~17世紀 イギリス絶対主義、エリザベス朝の人。
   四大悲劇d 『ハムレット』、『リア王』、『マクベス』、『オセロー』  の他に、
   『ベニスの商人』、『ロミオとジュリエット』、『リチャード三世』など多数の
   人間心理の葛藤をテーマにした脚本を残し、後世の文学、演劇に大きな影響を及ぼした。
2.絵画・建築
 近代美術 のめばえ  14世紀イタリア、フィレンツェを中心に開花
・13~14世紀  フレスコ画 から 油絵技法
 a ジョット :ダンテの肖像画、「聖フランチェスコの生涯」等
・15世紀
 b マサッチョ :c 遠近法 の確立。写実主義の基礎を築く。
  ギベルティ  :彫刻家 「聖ジョルジョ像」
  ドナテルロ  :彫刻での写実主義の確立。
・補足:初期のルネサンス絵画

Text p.190

 ルネサンス様式 の建築  ドームとギリシア風列柱の組み合わせによる建築様式。
・a ブルネレスキ :14~15世紀 フィレンツェのb サンタ=マリア大聖堂 
 c ブラマンテ  :15~16世紀 ローマのd サン-ピエトロ寺院 を最初に設計。
C ルネサンス美術の最盛期  15~16世紀 イタリア
・a ボッティチェリ :15世紀 『ヴィーナスの誕生』 、『春』
・b ラファエロ :15~16世紀 『聖母子像』、『アテネの学堂』
・c ミケランジェロ :16世紀 『天地創造』、『最後の審判』、『ダヴィデ像』
    建築家としてはd サン=ピエトロ大聖堂 の建築に参加。
・e レオナルド=ダ=ヴィンチ :15~16世紀 『モナ=リザ』、『最後の晩餐』
    絵画だけでなく自然科学・医学も研究、ルネサンスのf 万能人 の典型。
D アルプス以北のルネサンス美術
・ネーデルランド(オランダ)
  a ファン=アイク兄弟 :14~15世紀 油絵技法を完成し、b フランドル派 を開く。
  c ブリューゲル :16世紀 農民を題材にした絵画。「農民の踊り」など
・ドイツ 15~16世紀
  d デューラー 、「自画像」 e ホルバイン :「エラスムス像」、「トマス=モア像」
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ウ.科学と技術 用語リストへ
1.新しい科学  大航海とルネサンスの時代に興る。
 ・a 地動説 
  b コペルニクス (ポーランド)1530年ごろ 天体観測に基づき地動説を主張。

Text p.191

 ▲c ジョルダーノ=ブルーノ (イタリア) 地動説・汎神論を説く。1600年焚刑。
 → カトリックの世界観=聖書の天地創造説にもとづく天動説に対する挑戦となる。
 → 17世紀の「科学革命」につながる。(後出)
2.ルネサンスの三大発明
 ・a 羅針盤   中国の宋 → イスラム商人 → 14世紀イタリアで改良
   → b 遠洋航海 を可能にする → 15世紀末 大航海時代をもたらす。
 ・c 火薬   中国の元で実用化 → イスラム商人 → ヨーロッパに伝来
   → ヨーロッパでd 火砲(鉄砲) が発明される。→ 騎士の没落。
 ・e 活版印刷術   1440年 ドイツのf グーテンベルク ※が改良
    ※活字合金を鋳型で鋳造し、加圧式の印刷機で大量に印刷。
   →g 製紙法 の伝播と結びつき、書物の迅速・安価・大量な出版を可能にした。
   → 聖書の大量印刷を可能にし、h 宗教改革 が広がる。
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この節の小見出し
ア.ルネサンス
イ.文芸と美術
ウ.科学と技術

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界