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第6章 ヨーロッパ世界の形成と発展

3 西ヨーロッパ中世世界の変容(後)

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キ.イギリスとフランス 用語リストへ
・13~14世紀の西ヨーロッパ諸国
・国王によるa 身分制議会 の開催が始まる。
  =b 国王が貴族・聖職者・都市の代表の身分別代表を召集し、課税などの政策を諮問する会議 
  → 国王の権力強化、統一的支配をめざす。
  → ヨーロッパ各国でc 王権の伸長と中央集権化 が進む。
(1)イギリス
 ノルマン朝 
 1066年 a ノルマン=コンクェスト で成立
・イギリス王権の特長 征服王朝であったのでb 他のヨーロッパ諸国に比べ、はじめから王権が強かった 
 1154年 断絶。
 プランタジネット朝  1154~1399年
・フランスの有力諸侯a アンジュー伯 (プランタジネット家)のb ヘンリ2世 が即位。
 → イギリス王でありながら、フランス国内にノルマンディー、ギエンヌ地方などの領土をもつ。
 = イギリス王としては フランス内に領地を有し、形式的にはフランス王の臣下である という状態になる。
 大憲章(マグナ=カルタ) の制定
・国王a ジョン の時、フランス王フィリップ2世と争いギエンヌ地方を除くフランスの領土を失う。
 さらに、b カンタベリー大司教 の任命をめぐり教皇c インノケンティウス3世 と争い破門される。
・1215年 王が財政難から貴族に対し重税を課税。 → 貴族が一致して反抗。
  国王、C 大憲章(マグナ=カルタ) を発布。
   内容=e 国王の徴税権の制限、教会の自由、都市の自由、不当な逮捕の禁止など 
   → 貴族の従来の特権を王が認め、王権を制限した(王といえども法に服するという原則ができる)。
 意義 e イギリス立憲政治の出発点とされ、現在もイギリスの憲法の一部となっている 
 イギリス議会制度 の始まり
 13世紀 a ヘンリ3世 の失政→ 貴族の反抗強まる。
・1265年 b シモン=ド=モンフォール  国王軍を破り、議会を招集。

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  = すでにあった貴族、聖職者の会議に、各州代表の騎士、都市の代表を加える。
  → このc モンフォール議会 がイギリス議会の起源とされる。
・1295年 d エドワード1世 がe 模範議会 を召集。
    f 高位聖職者・大貴族の他に各州2名の騎士と、各都市2名の市民代表 が出席。
  = イギリスにおけるg 身分制議会 の成立。
 議会制度 の定着 14世紀 エドワード3世のとき、二院制となる。
 ・a 上院 :貴族、聖職者の代表  ・b 下院 :各州と都市の代表
    議会の権限 :c 法律の制定・新税の課税についての下院の承認 など。
 ・d ジェントリー の成長:かつての騎士階級が土着し、小地主として州の代表となる。
参考: 英語の歴史
(2)フランス
 ・a カペー朝 の王権は弱く、各地に封建諸侯が分立し力を持っていた。
 フィリップ2世 (尊厳王) 12世紀末 都市と結び諸侯を押え王権を次第に伸張させる。
 → イギリス王b ジョン王 から、フランス国内のギエンヌ地方を除くイギリス領を奪う。
 ▲1214年  ブーヴィーヌの戦い で、神聖ローマ帝国・イギリス王国などの連合軍を破る。
  → フランス王権確立の第一歩となる。
 ルイ9世 (聖王) 13世紀 第6、第7回十字軍、アルビジョワ十字軍を起こす。
・南フランスの異端派キリスト教 a アルビジョワ派(カタリ派) に対する弾圧終わる。
   → フランスの王権、南フランスに及び、国内の統一進む。
 フィリップ4世 (端麗王) 14世紀初め、フランスの国家統一を達成、絶対王政を準備。
・教皇 a ボニファティウス8世 と対立。
 1302年 b 三部会 召集:c 聖職者、貴族、都市の商人 の各身分代表を集め、
    国王の課税権を承認させる。教会を王権の支配下に組み入れる。
    =フランスにおけるd 身分制議会 の始まり。
  → 1303年 e アナーニ事件 起きる。1309年には、f 教皇のバビロン捕囚 を実行。
 1312年 ▲g テンプル騎士団 (巨大な財産を有していた)を解散させ財産を没収。
イギリスとフランスの王権強化が進み、互いに対立するようになる。

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ク.百年戦争とバラ戦争 用語リストへ
 英仏の対立   イギリス・フランス両国で100年以上にわたり継続した戦争。
・原因 フランス、毛織物工業のa フランドル地方  の支配をねらう。
     → イギリス 自国の羊毛の輸出先であるので、阻止を図る。
    他にぶどう酒の産地b ギエンヌ地方 をめぐっても両国は対立。
    c 王位継承 問題=仏のカペー朝断絶、フィリップ6世がd ヴァロワ朝 を創始。
クレシーの戦い

クレシーの戦い
右がイギリス軍、左がフランス軍

     → イギリスのe エドワード3世 、フランスの王位継承権を主張。
 百年戦争  a 1339 年※に開戦、b 1453 年まで断続的に継続。
 ※英が仏に挑戦状を出したのは1337年、英軍上陸は38年。
  すべてフランス国内が戦場となる。
 1346年 クレシーの戦い イギリスの長弓隊が活躍、フランス軍を破る。
 1356年 c エドワード黒太子 のイギリス軍、ポワティエの戦いで勝利。
  → 前半はイギリス軍が優位に進め、フランス北西部を奪う。
C 戦争の長期化 特に戦場となったフランスの荒廃すすむ。
・フランスは国内でa 黒死病 が流行する。
・農民一揆の発生
 フランスでは、1358年にb ジャックリーの乱 が起こる。(前出)
 イギリスでは、1381年にc ワット=タイラーの乱 が起こる。
・イギリスの王朝交替 1399年  ランカスター朝 が成立。
・フランスの内乱  ブルゴーニュ公 がイギリスと結び、オルレアン=アルマニャック派と対立。
  → 内乱に乗じてイギリスのランカスター朝のヘンリ5世が侵入、アジャンクールの戦いで大勝。
・1428年 d ジャンヌ=ダルク が登場、オルレアンの包囲を解き、シャルル7世を救う。
  → 1429年 シャルル7世、ランス大聖堂で即位式を行う。
    1430年、イギリス軍にとらえられ、魔女としてルーアンで火刑となる。
D 百年戦争の終結
1453年  戦争終結 フランスの勝利。イギリス、フランス内の領地を カレー を除き失う。

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・影響:戦争の長期化 → フランスでa 諸侯・騎士(貴族)の没落 
   b シャルル7世 の中央集権体制が強まる。税制の改訂、常備軍の創設が進む。
 バラ戦争   1455~85年 百年戦争後のイギリス王位継承をめぐる内戦。
 → a ランカスター家 :赤バラ b ヨーク家 :白バラ をそれぞれ紋章とする。
 1455年 ランカスター朝の不当性を主張するヨーク家のエドワードが挙兵。
   → 1461年に即位= ヨーク朝 の成立。
   → ヨーク家の リチャード3世 が王位を奪うなど混乱続く。
 1485年 c ヘンリ7世 が即位して終結。d テューダー朝 を開く。
   e 星室庁裁判所 を設置。(ウェストミンスター宮殿「星の間」に置く。)
    → 諸侯・騎士の没落。f 絶対王政 の基礎できる。
・ケルト系諸国の状況
 g ウェールズ :13世紀にイギリス(イングランド)に併合。
 h アイルランド ・i スコットランド :なおもそれぞれ王国として独立を継続。
ヨーロッパの絶対王政の時代へ
★研究:百年戦争中に起こった英仏以外のヨーロッパとその周辺の動きで重要なことをあげよ。
 1.イタリアでの動き:a 14世紀 イタリアでルネサンスが始まる。 
 2.ドイツでの動き:b 金印勅書と、領邦化の進行。 
 3.カトリック教会の動き:c 大シスマと、教会批判の始まり(フス戦争)。 
 4.東ヨーロッパの動き:d ビザンツ帝国の衰退と滅亡(1453年)。 
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ケ.スペインとポルトガル 用語リストへ
 レコンキスタ  a イベリア半島 =8世紀から後ウマイヤ朝に支配される。
  Aの意味:b キリスト教徒による、イスラーム教勢力からの国土回復を目指す運動。 
 ▲半島北部のキリスト教諸国の成立
  718年 北西部にアストゥリアス王国成立 → 10世紀c カスティリャ 王国に発展。
  9世紀 北東部にナバラ王国成立 → 11世紀 d アラゴン  成立
・1031年 後ウマイヤ朝滅亡 イスラーム勢力、小国に分裂。
 → 1085年 c カスティリャ 王国、e トレド を奪回。
 → 1086年 北アフリカからムラービト朝が半島に侵攻、キリスト教勢力後退。
・12世紀 北アフリカからムワッヒド朝が侵攻 
・1143年 f ポルトガル がc カスティリャ から分離。
▲1212年 c カスティリャ ・d アラゴン ・f ポルトガル の三国連合軍が
  イスラーム軍を破る。1236年コルドバ、1248年セビリャを奪回。
 → 1269年 ムワッヒド朝滅亡、イスラーム勢力分裂。
・12~13世紀、カスティリャのe トレド でイスラーム文献のラテン語訳が行われる。(前出)

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 スペイン(イスパニア)王国 
・1469年 カスティリャの王女a イサベル とアラゴンの王子b フェルナンド が結婚。
・1479年 両国が合同しB スペイン(イスパニア)王国 が成立。
  = 二人は共同統治に当たり、「カトリック両王」といわれる。
  → 都市と結んで封建貴族を抑え、主権国家体制を整備する。
・c 1492 年 イスラム最後の拠点d グラナダ を占領。=e レコンキスタ の完了。
 この年、コロンブスの西インド到達。海外発展を開始。(後述)
 ▲この年、ユダヤ教徒追放令を発布。さらに1502年、イスラーム教徒を追放。
 ポルトガル 
12世紀、カスティリャから独立
15世紀後半a ジョアン2世  諸侯を抑え、海外発展の基礎を築く。(後述)
16世紀 ポルトガル・スペイン全盛期
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コ.ドイツ・スイス・イタリア・北欧 用語リストへ
(1)ドイツ(神聖ローマ帝国)
 イタリア政策   
・ドイツ王は神聖ローマ皇帝を兼ねることが多く、歴代ともアルプスを越えてイタリア経営に力を注ぐ。
  → 本国ドイツでは皇帝の支配力は弱く、諸侯が自立。
・a シュタウフェン朝 (ホーエンシュタウフェン朝)
  ▲b フリードリヒ1世 (赤髭王)ロンバルディア同盟軍と戦う。第3回十字軍で小アジアで溺死。
  ▲c フリードリヒ2世 (1220~1250)両シチリア王・ドイツ王となる。ほとんどシチリアに滞在。
   ローマ教皇( インノケンティウス4世 ら)と対立。(後出)
七選帝侯

七人の b 選帝侯  

 大空位時代 
・1256年 シュタウフェン朝断絶後、1273年まで皇帝不在続く。
  → 外国の干渉、大諸侯の対立、自治都市の成長が進む。
  ▲1273年 ハプスブルク家ルドルフが帝位につくが、混乱続く。
 金印勅書 
・1356年 神聖ローマ皇帝a カール4世 ※が発布。
  ※ルクセンブルク家のボヘミア王
 =b 皇帝の選出権を7人の聖俗の諸侯に認める。 
 → c 選帝侯 :マインツ、トリール、ケルン、ベーメン、
    ブランデンブルク、ザクセン、ファルツの諸侯(右図)
 意義:d 諸侯の皇帝に対する優位が確定し、ドイツの領邦による分権体制が固定化された。 

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 ハプスブルク家 の支配  スイスから興り次第に領地を拡大。
 → a オーストリア 全域を支配。b ウィーン を拠点とする。
 → 15世紀後半以降 神聖ローマ帝国皇帝(ドイツ皇帝)の位を独占するようになる。
 領邦 の分立  帝国の分裂状態続く。
  大小の諸侯と自由都市などの約300のa 領邦 (地方主権)に分立。
★ドイツ周辺の動き
 ・a 東方植民  十字軍運動衰退後の12~15世紀 ドイツ人は盛んに東方に進出、
   → エルベ川以東のb スラブ人 ・マジャール人の居住地区に諸侯国を建設。
 ・c ブランデンブルク辺境伯 領:12世紀に成立。後にホーエンツォレルン家領となる。
 ・d ドイツ騎士団領 :もと宗教騎士団。13世紀にバルト海沿岸に進出。後のプロイセン。
   エルベ川以東では15世紀以降も領主権と農奴制が強化される。
(2)スイス
 a スイス の独立 13世紀以来、オーストリア(b ハプスブルク家 )から独立運動。
  1316年 3州の自治権認められ共和政実施。1499年 ハプスブルク軍を破る。
   → 1648年 三十年戦争後のウェストファリア条約で独立承認される。(後述)
(3)イタリア
 神聖ローマ帝国の皇帝の干渉(イタリア政策)をうける →イタリアの分裂状態が続く。
 ・南部は a 両シチリア王国   シチリアとナポリに分裂 →※
 ・中部には b ローマ教皇領 
 ・北部はc ヴェネツィア ・d フィレンツェ ・e ジェノヴァ ・f ミラノ が自立。
   →さらに、各都市内部でも g 教皇党(ゲルフ) (都市の大商人層)と
     h 皇帝党(ギベリン)  (貴族・領主層)の対立があり、国内統一進まず。
※補足 中世の シチリア島 と南イタリア
 両シチリア王国  a ノルマン人 の地中海進出。
・1130年 b ルッジェーロ2世 がイスラーム勢力を抑えシチリアとナポリ地域を支配。
  = c ノルマン朝  キリスト教とイスラームが併存する独自の文化が形成される。
 シュタウフェン朝 の支配  1194年 ドイツ王ハインリヒ6世が王位継承。
 ▲a フリードリヒ2世 ※ 中央集権的な官僚制を整備。首都▲b パレルモ の繁栄。(上掲)
 → イタリア統一をめざし、ローマ教皇・ロンバルディア同盟などと激しく争う。
補足:
 アンジュー家 の支配 1266年 フランスのアンジュー伯シャルルが征服。
・1282年 シチリアの反フランス暴動▲a シチリアの晩祷  事件起きる。
    → スペインのアラゴン家が介入、シチリアを支配。
 両シチリア王国 の分離   シチリアはアラゴン家、ナポリはアンジュー家が分割支配。
   =a シチリア王国 とb ナポリ王国 の分離。(1815年再統合。~1861年まで。)
(4)北欧諸国
 a デンマーク ・b スウェーデン ・c ノルウェー =北欧3国形成
 1397年、デンマーク女王d マルグレーテ のもとで、e カルマル同盟 を形成
  → 同君連合の王国(デンマーク連合王国)を形成。
  バルト海沿岸のf フィン人  → 13世紀以降、スウェーデンに統合される。

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この節の小見出し
キ.イギリスとフランス
ク.百年戦争とバラ戦争
ケ.スペインとポルトガル
コ.ドイツ・スイス・イタリア・北欧

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界