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第4章 内陸アジア世界の変遷

1 遊牧民とオアシス民の活動

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ア.遊牧民の生活と国家 用語リストへ
内陸アジア:モンゴル高原からカスピ海西部に及ぶ草原地帯。a 乾燥気候 →農耕に不適。
  → 羊・牛・馬などの家畜を飼育し、草地を求めて定期的に移動するb 遊牧民 が活動。
  食糧は乳製品、肉類。衣服は毛皮、住居はフェルトの天幕(ゲル)。
前9~前8世紀 c 騎馬遊牧民 の登場。青銅製の馬具や武具を持ち、機動力を発揮、
  しばしば定住農耕地帯に侵入。 → 世界史上に大きな影響を与える。

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はじめ氏族を単位に行動したが、次第に連合し、指導者の下にd 遊牧国家 を形成。
 その特色:

 部族名を国家名とするが、その支配下には多くの遊牧民と共にオアシス民・農耕民を含む。 
 能力があれば、血統や種族を問わず登用されることが多い。
 

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イ.スキタイと匈奴 用語リストへ
 スキタイ   前6世紀頃 
・最初の遊牧国家。南ロシアの草原地帯を支配。(イラン系か)
 スキタイ文化  
 高い騎馬技術と、動物模様を特徴とする金属製馬具・武具の製造技術を有する。
 → 前4世紀 内陸アジアの遊牧民に騎馬文化が伝わる。
 遊牧国家 の形成  前4世紀
1.a 匈奴   トルコまたはモンゴル系。陰山山脈付近で遊牧国家を形成。
部族連合国家として強大となる。
 統率者はb 単于 といわれ、国王とシャーマンをかねる。
前3世紀に南下し、オルドス地方を占拠、中国北辺のc 漢民族 を脅かす。
  → 戦国時代の各国がd 長城 を建設。(2章3節参照)
前3世紀 秦のe 始皇帝 の征討を受け一時後退。
2.f 烏孫  トルコ系か。天山山脈の東、ジュンガル草原で遊牧国家を形成。
→ 後に、イリ地方を入り月氏を圧迫。
3.g 月氏   イラン系かトルコ系。初め甘粛地方・タリム盆地東部でh 中継貿易 を行う。
→ 匈奴に圧迫され、西方のイリ地方に移動。=▲i 大月氏  
▲さらに烏孫に圧迫されてアム川流域に入りバクトリアのj トハラ (大夏)を滅ぼす。
 匈奴 の全盛期  前209年 a 冒頓単于 即位(父の頭曼単于を殺す)。
・甘粛地方に進出、b 月氏 を制圧してシルクーロード沿いのオアシス地帯を支配。
  → 漢と抗争。c 高祖(劉邦) の軍を破る。→ 漢、和親政策をとる。
    皇帝の娘(公主)を単于に嫁がせ、絹などを贈る。

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 匈奴 の衰退  前2~1世紀 漢に圧迫される。(第2章3節参照)
・漢のa 武帝 、大月氏・烏孫に使節(張騫)を派遣、匈奴を挟撃する態勢を作る。
 → 漢がb 西域 に進出。敦煌など河西四郡を置く。
 → 前1世紀  匈奴の分裂  東西に分裂。後1世紀 東匈奴が南北に分裂。(第3章1節参照)
 五胡 の活動  4世紀 ユーラシアの東西で遊牧民の活動活発になる。
・東:a 鮮卑 など五胡の華北侵入(第3章1節参照)
・西:b フン人 の西進 → ゲルマン民族の大移動の契機となる。
 → 4世紀の遊牧民の活動は、ヨーロッパでも東アジアでも、統一帝国を解体させ、
   動乱の時代を迎えることになる。
 4~5世紀の東西世界に共通する「動乱の時代」:
  c ローマ帝国の分裂と西ローマ帝国の滅亡。後漢の滅亡と魏晋南北朝の分裂期。 
※<補足>5世紀のモンゴル高原と中央アジア 
 ▲モンゴル高原には、a 柔然 が活動。モンゴル系の遊牧民。君主は 可汗 と称する。
  → 中国北朝の北魏(鮮卑族の建国)と対立。 → 6世紀 突厥に滅ぼされる。
 ▲中央アジアには、b エフタル が活動。トルコ系とも、イラン系とも言われる。
  → 6世紀中頃、ササン朝ペルシアと突厥に挟撃され、滅亡。
6世紀のモンゴル高原と中央アジア トルコ系の突厥が進出、大帝国をつくる。→ 隋、唐と対立。
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ウ.オアシスの生活 用語リストへ
乾燥地帯の砂漠・草原で、地下水を利用できるa オアシス では定住生活が可能。
 →b オアシス都市 が生まれる。:市場や寺院を持つ市街と、周辺の農村部からなり、
    長距離交易の拠点としても重要になる。
 特に、c タリム盆地 の周縁に発達。
  = d 敦煌  高昌 楼蘭 クチャ(亀茲) ホータン カシュガル (疏勒)など
  → e 隊商交易 の中継地として栄える。
・東西交易の利益が大きくなるに従い、中国の漢や唐などの王朝と草原地帯の遊牧国家が
 オアシス都市の支配をめぐり争う。
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この節の小見出し
ア.遊牧民の生活と国家
イ.スキタイと匈奴
ウ.オアシスの生活

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界