印刷 | 通常画面に戻る |

ヨーロッパ連合/EU

1993年、マーストリヒト条約の発効により成立した、ヨーロッパ諸国の連合体。第二次世界大戦後に始まったヨーロッパ統合の到達点であり、次の国家統合の段階を目指しているが、その実現には多くの問題がある。

 第二次世界大戦後のヨーロッパの統合の動きは、マーストリヒト条約の成立によって一つの段階を越えることに担った。1993年に条約が発効してヨーロッパ共同体(EC)がヨーロッパ連合(EU)に転換し、これによって将来の政治的統合を目指して各国の主権を移譲した地域的国際機関が成立した。欧州議会、理事会、委員会など主要機関はベルギーのブリュッセルに置かれている。
 その前提は、東西ドイツの統一(1990年)に象徴されるヨーロッパの政治的、イデオロギー的分断の消滅であった。1995年にはフィンランドスウェーデンオーストリアが加盟し15ヵ国体制となった。さらに2002年には統一通貨ユーロの一般での流通も始まり、2004年にはEUの東方拡大が進展、旧東欧圏の諸国が加盟し、25ヵ国体制となった。
 2004年10月、ローマで「欧州憲法制定条約」が加盟国25ヵ国首脳によって調印され、ヨーロッパ連合(EU)の憲法である欧州憲法(EU憲法)が制定されたが、2005年にはオランダ、フランスが国民投票で批准を拒否するなど、批准が終わっておらず、まだ発効していない。
 ヨーロッパ連合(EU)の機構には次のようなものがある。

欧州議会

 1979年に始まる、現在のヨーロッパ連合の主要機関。欧州議会は各国の人口を基本に、加盟25ヵ国で直接選挙された732人(2006年現在)が議員を務める。本会議場はフランスのストラスブール、委員会審議はブリュッセルで行われている。議会は欧州委員会と理事会が定めた予算案を修正、拒否する権限と欧州委員長の人事を承認したり総辞職させたりすることができる。また、欧州議会は閣僚理事会と欧州委員会に対して協議決定する権限を持ち、議員は直接選挙で先取される。欧州議会には国を超えた横断的な政治会派として、欧州人民党(キリスト教民主勢力)、欧州社会党(社会民主党系)、欧州自由民主党(リベラル派)、緑の党(環境に取り組む)などがある。各政党ごとの比例代表制で当選が決まる。<脇阪紀行『大欧州の時代』2006 岩波新書 p.33->

その他のEUの機構

欧州理事会は各国首脳で構成する首脳会議を最高議決機関とし、その議事は半年ごとに交替で持ち回りとなっている議長国首脳がつとめる。その下に通商、農業、環境など政策分野ごとの閣僚理事会、加盟国大使がつくる常駐代表委員会がある。欧州理事会事務局長は共通外交安保政策を担当するEUの顔となる。
欧州委員会はEUの内閣に当たるもので専従のスタッフ(EU職員)をもち、閣僚理事会に提案権を持つ。欧州委員長が委員会を統括する。
・その他 フランクフルトにある欧州中央銀行(ECB)、ルクセンブルクにある欧州司法裁判所、欧州環境庁、欧州人種偏見・外国人排斥監視センター、ネットワークと情報安全庁などがある。

Episode 世界最大の通訳・翻訳者集団

 EUの欧州委員会には、正規雇用の通訳500人のほか、フリーランスの通訳約2700人と契約している(05年現在)。1日平均で約50の会合をこなすために、約700人の通訳が働いているという。翻訳担当も重要な政策文書を20の公用語に訳すために約2000人が働いている。EU諸機関全体では通訳は950人、翻訳者は3000人に達する、国連を上回る「世界最大の通訳・翻訳者集団」である。それはEUの掲げる各国言語の尊重主義のためだ。人口わずか50万のマルタ語もEUでは公用語と扱われている。共通語としての英語の影響力はEUにも及んでいるが、英語圏の国だけが有利になることのないよう、首脳会議の発言や記者会見は必ず自国語を使うという。<脇阪紀行『大欧州の時代』2006 岩波新書 p.17-20>
印 刷
印刷画面へ
ノートの参照
第17章1節 イ.先進経済地域の統合化
書籍案内

脇阪紀行
『大欧州の時代』
2006 岩波新書